2023年11月21日7:00
インドネシア中央銀行(BI)とシンガポール金融管理局(MAS)は、2023年11月17日、インドネシアとシンガポール間の国境を越えたQR決済の連携を開始した。同連携により、参加金融機関の顧客は、既存のモバイル・バンキング・アプリケーションを使用して、インドネシアとシンガポールの加盟店がそれぞれ表示するQRIS(クイック・レスポンス・コード・インドネシア標準)またはNETS QRコードをスキャンし、シームレスなクロスボーダー小売決済を行うことが可能だ。
今回の連携により、決済の利便性が高まることで、零細企業や中小企業は互いの経済圏の新たな顧客層を開拓できるようになる。また、2023年上半期には、シンガポールからインドネシアへの入国者数が60万人、インドネシアからシンガポールへの入国者数が110万人に達するなど、パンデミック後の旅行需要の回復に伴い、両国間の旅行者数にも大きな恩恵をもたらすとしている。
BIとMASはまた、現地通貨決済の枠組みを構築するための意向書(LOI)にも署名した。同枠組みが2024年に運用開始されれば、インドネシアとシンガポール間のQR決済、貿易、投資を含むクロスボーダー決済がそれぞれの現地通貨で円滑に行われるようになる。これにより、企業やその他の利用者は、為替リスクやコストを軽減することができる。このLOIは、2022年8月に両国の中央銀行が自国通貨による二国間取引を促進するための協力枠組み(LCTフレームワーク)に関する覚書に署名したことに続くものだ。
LCTフレームワーク導入後、クロスボーダーQR決済連携イニシアティブでは、ACCD(Appointed Cross Currency Dealer)銀行が提供する現地通貨為替レートの直接提示を利用する予定だ。
QRISとNETSのQR決済連携は、シンガポールとインドネシアをまたがる、個人や中小企業による国境を越えた電子商取引活動や観光消費を促進するという。BIとMASによる今後の現地通貨決済フレームワークは、クロスボーダー決済におけるインドネシア・ルピアとシンガポール・ドルの使用を容易にすることで、同決済連携を補完する。
今回のQRIS-NETS QR決済連携は、BIとMASが主導する業界連携に加え、インドネシア決済システム協会(ASPI)、RAJA(Rintis、Artajasa、Jalin、Alto)、Network for Electronic Transfers(Singapore)Pte. Ltd.(NETS)および参加金融機関と緊密なパートナーシップを結んでいるとした。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
カード決済、PCI DSS、ICカード・ポイントカードの啓蒙ポータルサイト