2023年11月30日9:20
日本電気(NEC)は、国際ブランドのMastercardとアジア太平洋地域における生体認証決済の提供に向けた戦略的パートナーシップの覚書(MOU)を締結したが、2023年11月15日~17日まで開催された「Singapore Fintech Festival2023」でデモを実施した。
国際ブランドとの提携で面の広がりに期待
世界トップクラスの顔認証技術を活用
NECの顔認証技術は、世界でトップクラスの精度、採用実績を持ち、FinTech領域に加え、交通機関、デジタルIDなど多様なシーンで活用が進んでいる。決済領域への活用も進めており、例えば、愛知県蒲郡市にある海陽学園では、学園内の自販機および売店に顔認証による決済サービスを導入した実績がある。これまで顔認証決済では学校や施設など閉域的な活用が目立っていたが、今回のMastercardとの提携によりオープンでの活用が期待される。
NECとMastercardの提携の背景として、2022年5月にNECが「Biometric Checkout Program(バイオメトリック・チェックアウト・プログラム)」に参画したことが挙げられる。Mastercardは、顔をかざす・手をふると言った簡単な動作だけで決済が完了する仕組みの実現に向け、他社と連携するためのBiometric Checkout Programを提供している。同プログラムは金融機関や加盟店、テクノロジーベンダーが遵守すべきセキュリティデータ保護・プライバシー等の要件を定めている。同プログラムにより、待ち行列の短縮・セキュリティ強化・衛生面の向上といった効果を得ることができ、さらに、ロイヤリティ・プログラムをチェックアウト・システムに統合できるという。
NEC 金融ソリューション事業部門 デジタルファイナンス統括部 ディレクター 行武徹也氏は「弊社の技術をMastercardに知っていただき、NECの技術とMastercardの決済ネットワークを合わせることで新たなサービスを創出できるところから会話が始まっています」と説明する。MastercardとはNECの技術やサービスについて膝を付け合わせて会話を重ねてきた。今回のMoU締結もNECが持つ世界トップクラスの顔認証技術を活用することで、安全性と利便性を兼ねた決済を実現することができると感じてもらったからだとした。Mastercardでは、Biometric Checkout Program提供後、生体認証ベンダーとMoUを締結する初のケースとなった。
国際ブランド連携で汎用的な活用が可能に
提供形態や普及の構想は?
顔認証技術は、利用者はカードや現金を持ち歩くことなく支払いが可能だ。利用者は、スマートフォンで自撮りをして顔情報を登録し、店舗でそのまま決済に使える。例えば、Mastercardブランドのカードへの入会、また、マスターカードの新しいサービスへの入会時に顔認証を登録する形などを想定している。
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。