2024年6月7日8:00
ニトリホールディングスが5月14日に発表した2024年3月期決算は、業種・業態の垣根を越えた競争激化や原材料価格の上昇、円安の影響で減収減益となった。一方で、店舗へのバーコード決済導入やタイムリーなポイントキャンペーンなどが寄与し、アプリ会員が大幅に増加。強化しているライブコマースの視聴者数も順調に伸び、ニトリ事業のEC化率は11.2%まで拡大した。今後はEC分野でのさらなる成長を目指し、マーケットプレイスの立ち上げに力を注ぐ。
通販研究所 渡辺友絵
記事のポイント!
①アプリ会員数が拡大
②アプリ会員が年間購入回数や金額に寄与
③決済サービスやポイント施策見直し
④島忠はポイント内製化でビッグデータ活用可能に
⑤「2032年に3,000店舗・売上高3兆円」に
⑥「暮らし」を提案する総合企業へ転換
⑦ITデジタル従事者を1,000人規模に
⑧「EC事業の変⾰」で「EC化率20%」実現へ
■アプリ会員数が目標を超え年間購入回数・金額も拡大
2023年に決算期を変更した影響で比較はできないものの、2024年3月期のグループ全体の売上高は8,957億円、経常利益は1,323億円と予想を下回った。ニトリ事業の売り上げは7,854億円、そのうち通販事業は885億円だった。全体の減収は通販事業にも影響したと見られる。
ニトリ事業を見ると、2024年3月期末のアプリ会員数は当初目標だった1,900万人を超える1,933万人と増加。アプリ会員の年間購入回数は、クレジットカードやLINE、ECなどを通じた非アプリ会員に比べて1.5倍、年間購入金額は1.7倍と拡大した。2025年3月期末には2,200万人のアプリ会員獲得を目指す。
ライブコマースも好調で、2024年3月期のライブコマース視聴者数は累計633万人を突破。年間で計132回配信し、週3回配信の定型化や切抜き動画の自動作成機能搭載で集客につなげた。
■決済方法拡充やポイント施策見直しに着手
当期は、グループ全体の決済サービスやポイント施策についても見直しを図った。
2024年2月には、顧客の要望に応えて「ニトリ」「デコホーム」「Nプラス」の店舗で新たにバーコード決済サービスの取り扱いを開始。先行してコード決済に対応している「島忠」に続き、「PayPay」や「楽天ペイ」、「d払い」、「メルペイ」「auPAY」「atone」「FamiPay」などが利用できるようにした。
バーコード決済導入を記念し、PayPay利⽤で最大10%のPayPayポイントが戻ってくる「PayPayクーポン」や、事前に取得したクーポンを1回5,000円以上のau PAYで使える最大20%引きの「au PAYクーポン」の提供を期間限定で行った。
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