2011年7 月1日2:06
Visaバーチャルプリペイドカードの発売を開始
ネット決済専用の「Vプリカ」で国内のNew Paymentを開拓へ
ライフカードはビザ・ワールドワイドジャパンと共同で、2011年6月30日から、国内初となるVisaバーチャルプリペイドカード「Vプリカ(V-PreC@)」の発売を開始した。Vプリカは「インターネット決済をもっと安心・安全に!もっと便利に!」をコンセプトに、ネット決済専用のプリペイドカードとしてサービスの提供を行う。そのため、プラスチックのカードは発行せず、Vプリカの購入、利用明細確認や残高確認はすべてWeb上で行われるという。
ライフカード/ビザ・ワールドワイドジャパン
販売券種は5種類
インターネット決済の上限は3万円
「Vプリカはクレジットカードのような審査や本人確認は不要です。利用者は『Myページ』から24時間365日、クレジットカードで購入が可能となっています」(ライフカード 代表取締役社長 磯野和幸氏)
販売券種は、3,000円(手数料200円)、5,000円(同300円)、1万円(同500円)、2万円(同800円)、3万円(同900円)の5種類。2011年9月末までは販売手数料が半額となる。また、アカウントを開設した利用者の中から毎日1人に3万円のVプリカを抽選でプレゼントするキャンペーンも実施する。
利用者は最大5枚のVプリカを並行して購入することが可能だ。Vプリカは使いきりのプリペイドカードのため、残高がなくなった時点で無効となる。利用者は新しいVプリカを購入する時に既存のVプリカの残高をそのまま移行することができる。ただし、移行後の残高は3万円が上限となる。また、父親がクレジットカードで購入したVプリカを、その家族が利用することも可能だ。
なお、購入したVプリカが3カ月間未利用の場合は、休眠カード維持費として125円が発生する。また、有効期限は1年間となり、その間に利用のなかった金額は失効し、ライフカードの収益となる。
セキュリティロック機能を装備
3-Dセキュアに対応しているサイトでも利用可能
ライフカードでは、Vプリカはこれまでの決済サービスにはなかった特徴を備えていると自信を見せる。まず、Visaのインターネット加盟店であればクレジットカードなどと同様に利用できるため、ネットワーク電子マネーなどと比べて使用できるサイトが多い点が挙げられる。
また、セキュリティロック機能があるため、カードホルダー自らがカードの停止を設定できる。利用者は、サイトを利用しない間、セキュリティロックを行えば、第三者に不正利用される心配はない。
Vプリカは、カード番号と有効期限のほかに本人専用のパスワードを入力することでイシュア(カード発行会社)が利用者を確認・認証する「VISA認証サービス」をはじめとした「3-Dセキュア」に対応しているサイトでも利用できる。ビザ・ワールドワイドジャパン 新技術推進部 e-コマース イニシアティブ ディレクター 鈴木章五氏によると、「チケット、旅行、オンラインゲームなどの業界では3-Dセキュアが高い確率のサイトで導入が進んでいる」という。
利用者はVプリカのアカウント開設時に「名前」「メールアドレス」などの届出に合わせて、英字10文字のニックネームを登録する。Vプリカでは、そのニックネームが会員の名前となるため、匿名性を確保しているという。5種類あるバーチャルの券面には16桁のカード番号、有効期限、セキュリティコードとともにニックネームを印字。決済を行う際には、ニックネームの入力が必要となっている。
利用者にとっては匿名性が確保されているため、例えば、クレジットカード番号などの情報を入力することに抵抗がある、海外のWebサイトなどでも安心して利用できるメリットがある。
Vプリカで決済を行った利用者には、ライフカードから登録のメールアドレスに利用確認メールを送信する。また、利用明細や残高の確認は、会員専用の「Myページ」から行うことが可能だ。
なお、Vプリカ購入の希望者は、3-Dセキュア対応のVisa、MasterCard対応のクレジットカードが必要となる。JCBに関しては3-Dセキュアに対応しているカードであっても現時点では利用できない。
ライフカードでは、3-Dセキュアによる認証とセキュリティロックの機能に加え、万が一の第三者の不正利用に備え、会員保証制度も付帯している。また、同社ではPCI DSSに準拠した決済センターで処理を行うことも強みとして挙げている。
ただし、現状のVプリカの利用はPCサイトやスマートフォンに限られ、携帯サイトでは使用することができない。また、月次課金のサイトなどでは、一部利用ができないという。
初年度30万枚の販売を目指す
コンビニでの販売も検討
ライフカードでは今後、Vプリカを新たな事業展開の核とし、初年度30万枚の販売を目指す。また、コンビニエンスストアでの販売も検討するとともに、リチャージカードやギフトカードなどの商品も追加する予定だ。さらに、特定のeコマースサイト専用のVプリカなどのアライアンスも検討していきたいとしている。ただし、ライフカードでは「あくまでもインターネットに特化したサービスだと捉えており、リアルのVisa加盟店でのVプリカの利用は現段階で考えてはいない」(前出・磯野氏)という。
ビザ・ワールドワイドジャパン 代表取締役 岡本和彦氏は、「インターネット決済市場が一段と拡大する中、VプリカやVISA認証サービスの利用の拡大を期待している」と話す。改正割賦販売法などの影響により、クレジットカードビジネスを取り巻く環境は厳しくなっている。そんな中、ブランドプリペイドに注目するカード会社は多い。
いずれにせよ、国内のNew Paymentビジネスの拡大には、ブランドプリペイドの成長は欠かせないだろう。