2025年3月6日8:30
オリエントコーポレーション(オリコ)は2025年2月26日、第二回記者懇談会を開き、約1,000兆円の市場規模が見込まれる企業間キャッシュレス決済市場に対する戦略について明らかにした。ターゲットにしている中小事業者へのアンケートに基づき、「資金繰り関連業務の負担軽減」、「キャッシュフローの改善」、「ファクタリングの迅速化・簡素化」のニーズを把握したうえで、小規模事業者や個人事業主を最優先のターゲットにした新たなソリューションをローンチする方針を明らかにした。(ライター:小島清利)

2023年からOBS提供し、
企業間決済の強化に乗り出す
オリコはデジタルガレージと連携して2023年春から、ビジネスカードを利用した事業者間取引の請求書カード払いサービス「OBS(Orico Business payment for SME)」の提供を開始している。オリコ独自の経済圏やみずほグループの顧客基盤を活用し、SME(Small and Medium Enterprise)支援に力を入れ、さらなる成長が期待されるBtoB決済を強化していくのが狙いだ。
デジタル・マーケティンググループ副グループ長兼企画グループ特命担当で執行役員の高畠健一氏は「国内の金流規模はB2Cで300兆円、B2Bは1,400兆円程度という巨大市場です。B2Bのキャッシュレス化比率は高くなく、カード利用額は5兆円程度と伸び代が大きく、デジタル給与解禁などの動きもあり、B2Eにも事業機会が出てくるとみています」と、B2B決済市場の成長性を見込む。
さらに、オリコが注力しようとしているSME分野については、法人間決済全体の決済規模の1,120兆円(368万社)のうち従業員数50人未満の企業(329万社)によるカード化可能範囲は約20兆円で、うちカード未利用範囲は15兆円程度と想定されているという。国際ブランドが実施した中小企業者へのインタビューによると、運転資金の確保(資金繰り)やそれに要する業務負荷、スピードは依然として大きな課題となっていることが判明したほか、OBS登録者のコメントからは、サービスキーワードとしては、「シンプル」や「まとめる」などのニーズがあることが分かったという。
既存顧客基盤を利用すれば、
ターゲット層の3分の1にアクセス可能
企業間キャッシュレス決済の事業性とニーズを把握したうえで、オリコが進むべき方向性として、ターゲットを中小事業者と大企業のカテゴリーに分けた戦略を推進する方針を示した。そして、中小事業者向けの戦略について、規模は「従業員20名未満、売上高は5億円未満」とし、「従業員5名未満、売上高1億円未満」の企業向けサービスを優先して、ソリューションを開発する方向を打ち出している。
具体的には、サービスの機能性を高め、網羅性を広げるほか、視覚的なUIを構築し、資金繰りアプリを開発したり、支払い、請求を一元管理するサービスなどを盛り込む。オリコは法人カード以外のソリューションも充実しており、どの法人セグメントに対してもアプローチが可能。高畠氏は「既存ビジネスカード、既存加盟店など既存の顧客基盤を活用すれば、ターゲット層の3分の1にアプローチすることができます」と自信を示す。
与信力と総合力が強み、
SME支援ビジネスで存在感示す
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。