2025年12月2日8:40
ファミリーマートはこのほど、ポケットカードと連携して発行するクレジットカード「ファミマカード」をリニューアルし、ファミリーマート店舗での最大5%割引、JCB加盟店で1%還元を開始した。同カードのリニューアルの背景と「ファミペイ」との連携、今後目指す世界について、ファミリーマートとポケットカードに話を聞いた。

若年層の会員獲得が課題
請求時の割引サービス導入
ファミリーマートとポケットカードは、クレジットカードの発行において協力して会員を募集や利用促進を行ってきた。「ファミマカード」は、ポケットカード会員の500万人のうち最も会員数が多いカードだ。前身の「ファミマTカード」は2007年に発行開始。ファミリーマート 金融事業本部 金融事業部部長 寺田晴彦氏は「そこから18年経ち、20代から30代の方が年齢を重ねて、40~50代になっています。喫緊の課題として若年層へアプローチできていません」と説明する。「ファミマカード」のリニューアルを機に若年層にカードの魅力を伝えていきたいとした。カードフェースも旧カードはファミリーマートが把握できる券面デザインだったが、「どこに出しても使い勝手が良い、お財布に入れても安心して使えるカードを意識しました」と寺田氏は話す。

従来のカード特典では、カードの利用に応じてTポイントを付与していた。ファミリーマートでは、2019年から楽天ポイント、dポイントとのマルチポイントを採用しているが、顧客はそれぞれの経済圏でポイントを貯めており、必ずしもVポイントを貯めているわけではない。また、PayPayなどのコード決済の普及により、ポイントカードの提示をせずコード決済を選択するケースも増えたそうだ。そのため、請求時の割引サービスを導入し、幅広い顧客に対応できるようにした。
「ファミペイ」推進で存在感薄れた?
ファミリーマートで最もお得にリニューアル
同社では、自社決済サービスとして、スマホアプリ「ファミペイ」を提供しており、ポイントを紐づけられるため、「ファミペイ」を提示すれば同時にポイントカードを提示する必要はない。「ファミペイ」は2,700万会員に拡大しているが、その反動として「ファミマTカード」の会員数も大きな伸びがみられなくなった。今回、「ファミマカード」を「ファミペイ」と連携させ、ファミリーマートで「ファミマカード」を利用して決済すると5%還元が受けられるように、両サービスのシナジーを強化した(未連携の場合は3%)。
政府の発表によると、日本のキャッシュレス決済比率は4割を超えたが、ファミリーマートでも同水準で利用されているそうだ。中でもバーコード決済の伸び率が大きいが、次いでクレジットカード、電子マネーの順となる。クレジットカード決済もインバウンド決済の増加などに伴い、利用が伸びている。ファミリーマートでは他社発行のクレジットカード利用者も多いが、ファミリーマートで最もお得な「ファミマカード」の利用を伸ばしていく方針だ。寺田氏は「ファミリーマートに来店されるお客様に対しては、「ファミペイ」「ファミマカード」、もしくは現金でお支払いいただくのが理想です」と打ち明ける。
ファミリーマートでは現在、他のクレジットカード会社がコンビニエンスストアで展開しているようなポイント付与施策を行っていない。「ファミマカード」は、ポイント還元施策に頼らず、請求時に代金から差し引く形だ。
「ファミペイ」はアプリによるお得、独自電子マネーの2つの側面がある。「ファミペイ」は買い物に対してクーポンを打てるため、ファミリーマートの利用者はすべからく使ってもらいたいと考えている。一方で、決済手段が多様化する中、「ファミペイ」はチャージをする必要があるため、敬遠する顧客もいる。そういった顧客に最もお得なクレジットカードであることを訴求することで、決済に利用してもらうことを目指している。
「ファミペイ」との一体サービス検討
外部加盟店も1%還元でメインカード化目指す
また、現在は、店員が顧客の「ファミペイ」を読み取り、その後「ファミマカード」を提示する必要があるが、今後は一体化したサービスも検討する方針だ。ポケットカード 営業本部営業第一部長 小川岳生氏は「スマホ決済のニーズが高いことは事実ですので、今後の検討課題です」とした。
「ファミマカード」は、ファミリーマートに加え、外部加盟店でも0.5%から1%に還元率が高まった。日常の買い物で利用してもらうことで、メインカード化を促進し、収益性の高いカードを目指す。現在も外部加盟店の方がファミリーマートよりも利用率は高いというが、一部のイシュアが実施しているような特定の加盟店に絞られず、幅広い加盟店で1%還元が基本になる点が強みだ。小川氏は「割引のためポイントの有効期限切れの概念がない、競争力のあるカードです」と自信を見せる。
なお、ポケットカードは「P-oneカード」で割引サービスを提供していたが、同仕組みを活用している。寺田氏は「どこでも1%還元でお使いいただけるため、結果、ファミリーマートの利用も伸びるとみています」と期待する。カードリニューアル後のSNSなどの反応を見ると、好意的な声が寄せられているそうだ。
今後は、より「ファミマカード」と「ファミペイ」との親和性を高める施策を検討していく。「ファミマカード」は10月から新規募集を開始したが、ファミペイは2,700万会員を有するため、「伸びしろは十分あると思っています」(寺田氏)。将来的には、ファミマメンバーズプログラムの特典にファミペイを組み入れることも検討していきたいとした。
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