2012年3月15日8:00
NFCのSP-TSM事業をグローバルに展開
コンテンツプロバイダに喜ばれるサービスの提供を目指す
スウェーデンに本社を構えるエリクソンは、世界180カ国以上に展開するグローバル企業だ。世界各国の通信環境をサポートしており、サービスプロバイダとしてNFCビジネスにも積極的に取り組んでいる。
大手企業はもちろん中小企業に喜ばれる
ASPサービスの提供を目指す
エリクソンでは、グローバルにNFCのビジネスをサポートしているが、国内においてもサービスプロバイダTSM(SP-TSM)を展開する準備を進めている。具体的な提供イメージとしては、「個別での対応はもちろん、ASPサービスとして、ポイントやクーポンなどのサービスを適正な価格で多くのコンテンツプロバイダに提供していきたい」とエリクソン・ジャパン ビジネスデベロップメント 本部長 木下直樹氏は意気込みを語る。
NFCはグローバル・インター・オペラビリティな技術であるが、エリクソンでは世界中でサービスをサポートしているため、「国内で展開する他のサービスプロバイダに比べ、海外展開を行う企業をサポートできる強みがある」(木下氏)としている。さらに、大手企業はもちろん、中小規模の加盟店においても導入しやすいサービス提供を目指すという。
2013年にSP-TSMのサービス開始を予定
3,000社のサービス利用を目指す
国内での展開については、決済からスタートする予定だが、ポイントやクーポンなど、幅広いラインアップを揃える予定だ。まずは、来年以降、決済ブランドやアクワイアラと協力し、サービスを開始する予定だ。
「FeilCaを利用したおサイフケータイの場合は、各社の役割、責任の分界点がはっきりしていました。しかし、NFCの場合、キャリアのスペックではない移動機となるケースが多く、運用面のルールで定まっていないことが多いです。また、各国でのローカルルールの整理も必要になります」(木下氏)
同社では世界各国の関係企業との関係も深く、国内においても関係企業と協力して、運用面のルールを整理していく方針だ。決済時にセキュアな領域を確保する点については、ICカードの標準化団体であるグローバルプラットフォームの技術などをベースに行うが、「弊社では、グローバルプラットフォームの他、NFCForumなどの関連団体に積極的に関与している点が強みとなります」と話す。
将来的には、3,000社のコンテンツプロバイダにエリクソンのサービスを利用してもらいたいと考えている。また、国内企業が海外に進出する際のサポートも積極的に行う予定だ。
2011年はスペインで
NFCの実証実験を実施
すでに2011年には、スペインのマドリードで決済と交通の実証実験のトライアルを行うなど、SP-TSMを展開している。
現状、日本のアクワイアラ(カード会社の加盟店開拓部隊)はおサイフケータイの決済サービスで費用対効果を確立できていないところも多いため、NFCに関しては慎重な姿勢を見せているところもあるが、TypeA/Bを利用した決済端末を設置する動機づけがあれば、一気にインフラが普及する可能性は十分にあると考えている。
木下氏は、国内の大手キャリアにおいて、モバイルペイメント、モバイルコンテンツ、おサイフケータイやNFCのビジネスに長い間携わってきた。NFCについては、GSMA(GSM協会)において、Pay-Buy-Mobileプログラム開始後より、日本のキャリアを代表して、各国のキャリアのNFC担当者と議論を行ってきたこともあり、国内での普及や推進に向け、積極的に取り組んできた第一人者である。
木下氏はその当時から今でも、「多くのコンテンツプロバイダに喜ばれるプラットフォームを提供したい」という気持ちは変わっていないという。木下氏は最後に、「大切なのは、あくまでもコンテンツプロバイダに利用していただく環境をいかに整備するかです。国内で展開する体制を1日も早く整え、コンテンツプロバイダにとって実のあるNFCサービスを展開していきたいと考えています」と力強く語った。