2013年4月6日9:00
企業提携は男女の仲と同じ。蜜月もあれば、破綻もある。破綻のあとのつきあい方はむずかしい。アウトドアブランドのLLビーンとバンクオブアメリカのバトルが消費者を巻込み混迷している。
提携のはじまりは1996年にさかのぼる。LLビーンは当時提携カードで名を馳せていたMBNAとクレジットカード契約を締結した。
しかし2006年、MBNAの経営危機からバンクオブアメリカがMBNAを買収。そこから雲行きが怪しくなる。顧客からのクレーム数が急増したのだ。
2008年6月、LLビーンは提携を解消。かわって英国に本拠をおくバークレイズカードを提携先に選んだ。しかし、バンクオブアメリカにとってLLビーンのポートフォリオは手放しがたいものだった。
そこで有効期限切れの顧客には、LLビーンのカード券面そっくりのアウトドアイメージのカードを配布したのである。
怒ったLLビーンは、法廷闘争に持込んだ。バンクオブアメリカは故意に顧客を欺いたと。これに対し、バンクオブアメリカは山やアウトドアのイメージはLLビーンだけの権利ではないとして真っ向から対決していた。
2009年、法定はLLビーンの言い分を棄却。両社は最終的に調停することで合意した。しかし、顧客のなかにはバンクオブアメリカのカードをLLビーンのカードとまちがえて使っている人もいるという。
提携解消後のサービスは、顧客に十分な告知が必要だ。顧客を巻込んでのバトルは、結局顧客離れにつながる。結婚後の子供を巻込んでの離婚劇とおなじだ。
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※本記事は日本カードビジネス研究会代表 佐藤元則氏の「カードBizと僕の勝手気ままログ」をご紹介しています。