5通貨に対応したVisaプリペイドカードを発行(ジャックス)

2013年6月25日8:00

日本初の多通貨対応型のVisaプリペイドカードを発行
2014年夏には加盟店でのショッピング機能も提供へ

ジャックス、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)、シティバンク銀行の3社は、2013年6月24日に記者会見を開催し、日本初のマルチカレンシー(多通貨対応)型プリペイドカードを2013年7月1日から共同で提供すると発表した。

米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドルの4通貨および日本円に対応
手数料はチャージで4%、海外のATM引き出しで200円程度

今回発行する日本初のマルチカレンシー(多通貨対応)型プリペイドカードはジャックスが発行。Visaのトラベルプリペイドカードに、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドルの4通貨および日本円をチャージ・管理できるマルチカレンシー機能を備えている。シティバンク銀行のマルチマネー口座および円普通預金口座を保有する顧客向け専用カードとして提供を開始する。

左からジャックス 取締役社長 CEO兼COO板垣康義氏、ビザ・ワールドワイド・ジャパン代表取締役 岡本和彦氏、シティバンク銀行 代表取締役社長兼CEO 城野和也氏

また、Visaの保有する海外ネットワークを利用し、会員専用サイトにおいてチャージした各国の通貨をVisa のATM ネットワークを示すVisa・PLUS マークの付いた海外のATM 200万台(2013年2月末現在)で現金を引き出すことが可能だ。
入金額の上限は100万円(日本円換算)で、有効期限は5年となっている。カードの発行手数料は1枚1,050円で、年会費は初年度無料、次年度以降1,050円。利用者は、円から各通貨へのチャージの際に4%、海外のATMで引き出すときに200円程度の手数料が必要となる。

現在は、ATMからの引き出しがメインだが、「来年の夏にショッピング機能の提供を予定している」(ジャックス 取締役社長 CEO兼COO板垣康義氏)そうだ。

日本人の海外決済の市場規模は約2兆円であると言われているが、その決済手段はクレジットカードが42%で、現金やトラベラーズチェックで57%を占める。従来は、外貨を円に転換するコストや為替リスクの影響があったが、同カードは外貨をそのまま利用可能だ。また、カードの利用上限が入金額の範囲であるため、使いすぎや紛失・盗難・偽造等の被害を最小限に抑えることができる。

さらに、引き出し利用のオン/オフが可能なため、支出をコントロールできる。ジャックスでは、チャージや利用の際にメールで通知する機能を提供。利用者は、PCやスマートフォンからWeb経由で即時照会が可能となっている。

空港VIPエスコートサービスなどの付帯サービスも提供
ジャックスは“Gonna”の名称でプリペイドサービスを展開

また、付帯サービスも「ワンランク上のサービスである」とジャックス カード企画部 カードネットワーク課長 外海 幹彦氏は自信を見せる。ジャックスではSOSジャパンと提携し、ファストトラック サービス(空港VIPエスコートサービス)、エアポートトランスファー(空港送迎サービス)、コンシェルジェデスク(海外専用)、渡航先情報サービスを提供する。ファストトラック サービスは、入国・出国手続きを優先的に行えるサービスとなっている。エアポートトランスファーは、税関検査を終えると、ネームボードを持って出迎えるのが特徴だ。コンシェルジェデスクは、プレミアカード並みのデスクとなり、24時間365日、日本語でホテルやレストランの予約を行える。渡航先情報サービスは、現地の最近の情報を提供している。

カードデザイン。左から表面、裏面

シティバンク銀行は、外貨、外為に強い銀行であり、「数多くのお客様から外貨預金口座にある外貨をそのまま海外で使いたい」(シティバンク銀行 代表取締役社長兼CEO 城野和也氏)という要望があったという。同社では、米ドルについては、そのまま利用できるサービスを提供していたが、今回、さらに3通貨が利用できるようになる。

ジャックスでは、プリペイドカードサービスの事業構想は2年前から温めていたが、今回のサービスを機に本格的にサービスを開始。ジャックス板垣氏は、「シティバンクと連携することで日本発となる今までにない価値を提供したい」と意気込みを見せる。ジャックスではこれまで、ショッピングクレジットやオートローンを中心に業容を拡大させてきたが、2012年12月に資金決済法への登録を完了。同商品を皮切りに“Gonna(ゴナ)”のブランド名でプリペイドカードサービスを展開。5年後には、トップラインの約20%を新事業による収益にすると掲げているが、その約半数の売上を同商品にしていきたいということだ。

なお、Visaでは現在、クレディセゾンの「NEO MONEY(ネオ・マネー)」、JTBの「MoneyT Global(マネーティー グローバル)」と、2種類のトラベルプリペイドカードを展開している。

「今まで、若年層や海外旅行初心者、クレジットカードに抵抗のある方がターゲットに設定されていましたが、今回はシティバンク銀行の口座所有者を対象にしていますので、海外旅行に慣れている方、あるいは為替の変動に敏感な方にも新たにご利用いただけると楽しみにしています」(ビザ・ワールドワイド・ジャパン代表取締役 岡本和彦氏)

また、Visaでは、日本人の現金所有者が海外で犯罪のターゲットとなっているため、海外プリペイドカードの浸透により、より安全・安心な旅行が増えると期待しているそうだ。

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