2015年12月16日8:46
大手加盟店の利用が加速し、決済処理売り上げが好調
GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)は、非対面の決済代行事業者として国内を代表する企業の1つである。通販などのネットショップやデジタルコンテンツへの決済サービス提供はもちろん、日本年金機構や東京都等の公的機関などの公金分野にもサービスを提供している。また、海外でのサービス展開、トランザクションレンディング、早期入金サービス、後払い、オムニチャネルのスマホ決済サービスなどの展開により、日本の№1からアジアの№1への成長を目指している。
5万9,559加盟店が利用
大型案件の獲得が増える
GMO-PGの決済サービスは、2015年9月現在、5万9,559加盟店が利用している。GMOペイメントゲートウェイ 企業価値創造戦略 統括本部 経営企画部 部長 井上昭彦氏は、「国内のシェアの把握は正確には難しいですが、大手決済処理事業者として他社をリードしている感覚はあります。現状、2015年9月期の経常利益は30億円であり、毎年20%以上の成長を目指していきたいと考えています」と話す。
GMO-PGの成長を後押ししているのは、既存大手加盟店の伸びに加え、大型案件を獲得できていることが大きい。井上氏は、「これまで以上に大型加盟店との取引が始まっています」と口にする。競合との争いもあるが、「弊社をお選びいただくケースが多いような感覚を受けます」と井上氏は成果を口にする。その理由については、「営業部隊は、70人以上と、他社に比べると厚い陣容であり、お客様に合った提案ができています」と自信を見せる。また、自社の営業に加え、インターネットなどを活用した営業も強化している。
データセンター統合を2014年9月期に完了
税金のプラットフォームやガス・電気などに適したサービスを確立
さらに、データセンター統合を2014年9月期に完了し、決済処理時の暗号化も実装したそうだ。
「システム対応人員も80人以上を有しており、年間1.6兆円の決済処理を実現できる安定したシステムと、それを支えるインフラやセキュリティなどに対する技術開発力を備えています」(井上氏)
同社では、「PGマルチペイメントサービス」により、複数の決済サービスをまとめて導入できる体制を整えている。取り扱いについては、クレジットカードが9割以上を占めており、次いでコンビニ決済が多いそうだ。
また、税金のプラットフォームを確立し、東京都へ提供を開始した。それに加え、電気・ガス・水道・通信など毎月定期的に料金を徴収する事業者に適した決済サービスを2016年1月より提供開始する。すでに、電力小売自由化に参入する既存電力会社や新電力会社などの導入が決定している。
SMBC GMO PAYMENTを設立し、銀行の顧客に営業開始
MSBとFintechへの取り組みを強化
さらなる成長に向けて、2015年6月9日に、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友銀行、GMOインターネットと資本業務提携。11月2日にSMBC GMO PAYMENTを設立し、代表取締役社長には村上 知行氏が就任した。SMBC GMO PAYMENTでは、2016年1月から、GMOペイメントゲートウェイの「PGマルチペイメントサービス」を利用して、三井住友銀行の取引先に決済サービスを提供する予定だ。
また、BtoB市場として、Visaが提供する「Visa Business Pay」のシステムを受託。さらに、BtoB用ショッピングカートとの連携を強化している。
成長の加速に向けて、マネーサービスビジネス(MSB)※とFintech(フィンテック)関連への取り組みを強化している。具体的には、トランザクションレンディング、早期入金サービス、後払い、対面でのスマートフォン決済サービス、送金サービスなどとなる。
※マネーサービスビジネス(MSB):トランザクションレンディング・早期入金サービス・後払い・送金サービス・その他からなる事業の総称
トランザクションレンディングは、EC事業者向けに成長資金を融資するサービスで、子会社のGMOイプシロンで先行してスタートしたが、GMO-PGの加盟店への提供も開始している。早期入金サービスは、毎月の締め回数・締め日・入金までの期日を選択でき、「毎日締め」「2営業日後入金」も可能になる。
2013年1月には、後払い型の決済手段を提供するGMOペイメントサービスを設立。「GMO後払い」を展開しているが、「最初に立てた事業計画よりも早いスピードで成長している」と井上氏は話し、笑顔を見せる。今期の安定した売上成長は後払いが支えている部分もあるという。
スマートフォンを活用した対面での決済サービス「GMO Pallet」については、将来的にスマートフォン決済サービスは、大きなポテンシャルがあると感じており、新サービスを仕込み中だ。
2030年にはアジアで№1を目指す
2016年9月期の利益は37億円を見込む
海外展開としては、海外決済サービス「GMO-PG Global Payment」および決済特化型ファンド「GMO Global Payment fund」の二軸で展開。井上氏は、「2020年にはASEANで№1になり、2030年にはアジアで№1になる目標を立てています。当社としてはその軸は変わりなく、長期的な事業エリアを伸ばしていくためには、海外が重要です」と意気込みを見せる。
海外に関しては、自社ではなく海外の各地域で強いプレイヤーと連携してサービスを提供している。今後も海外現地で展開する企業への投資などにより、海外の各地域で強いプレイヤーとの連携を強化していきたいとしている。
GMO-PGでは、2016年9月期の利益を37億円と見込んでいる。2020年には、グループを含めて経常利益100億、2025年に250億を目指している。さらに、その先の2030年には、1,000億円の経常利益を掲げている。井上氏は、「市場が伸びていくことに加え、弊社の強みも発揮できることから、実現可能な目標であると認識しています」と語り、自信をみなぎらせた。