2016年3月1日8:15
OTIと連携してNFCリーダの販売にも力を入れる
ビリングシステムは、インターネットを利用した個人投資家の株式の売買、為替・金融先物取引に付随する銀行口座、証券口座間の資金移動を、リアルタイムでサポートする「クイック入金サービス」を始め、収納代行・決済代行、送金サポート、支払代行サービス、ファイナンス関連サービス等様々な決済関連サービスを長年に渡って提供してきた。2013年4月からは、同社と資本・業務提携にある Powa Technologies PLCの「Powa Tag(パワタグ)」および「Powa POS(パワポス)」の日本での販売を行っているが、新たに、Tenpay Payment Technology Co., Ltd.(Tenpay)の「微信:WeChat(SNS型コミュニケーションアプリ)」および「QQ(インスタントメッセンジャーサービス)」、中国の北京新空気網絡科技股份有限公司(本社:北京)と、銀聯カードを用いたモバイル決済サービスの提供で提携した。また、On Track Innovations Ltd(本社:イスラエル)と連携して提供するリーダー/ライターの販売にも力を入れる方針だ。
Powa Tagは自治体への販売を強化
BtoB決済も市場の創出に期待
PowaTagは、QRコードをメインのインターフェースにしているが、自治体に強い企業と提携し、払込票の一次元バーコードを利用者自身が読み取ることにより、公共料金などの支払いができるサービスを強化する。ビリングシステム 営業本部長 長田隆史氏は、「すでに自治体と来年の導入に向けて話が進んでいます。利用者にとっては、登録などの必要なく払込票での支払いが可能となるため、便利にお使いいただけます。また、自治体にとってもシステム投資を抑えられるメリットもあり、払込票をベースとした既存のコンビニ収納システムをそのまま活用し、カード決済チャネルを追加することが可能なため、システム投資が大幅に軽減できます。」と口にする。
また、コストコホールセールジャパン(コストコ)のビジネスメンバー(法人会員)向けサービスを開始。同サービスは、コストコが大口顧客向けに提供するサービスのうち、定期的に購入するビジネスメンバー向けの決済処理を「PowaTag」を活用することにより大幅な合理化を実現。BtoB決済は、まだまだ合理化の余地が大きく、取引金額も大きいため、ほかにもニーズは数多くあるとみている。
WeChat、QQ、銀聯をセットで提供へ
銀聯は加盟店への送客も含めて展開
今後は、Tenpayの「微信:WeChat」および「QQ」、銀聯カードを用いたモバイル決済サービスの展開にも力を入れる。
「WeChat、QQ、銀聯、および従来から提供するPowaTagをワンセットにして提供する予定です。お客様にとっても、グローバルで提供される決済をワンストップで導入可能なため、メリットは大きいはずです」(同社 営業本部 営業推進部 次長 橘 悠介氏)
例えば、WeChatおよびQQ は、2015年11月時点でそれぞれ 6億5,000万人、8億6,000万人のアクティブユーザーを有している。すでに国内でも注目を浴びており、生活密着型のサービスとして、今後の伸びも期待できそうだ。まずは、中国で7,000万人規模の会員を有する海外旅行コミュニティ・ポータルサイト「穷游网」と連携し、加盟店への送客を図る。
一方、銀聯については、中国で金融機関向けのモバイルアプリを提供している北京新空気網絡科技股份有限公司、WeChatおよびQQについては日本の大手広告代理店の博報堂と提携し、加盟店への送客にも注力する予定。Powa Tagと同様に、QRコードを中国人旅行者のスマホで読み取ることにより、銀聯カードでの支払いが可能だ。国内での加盟店開拓、プロモーション提案は博報堂も協力して実施。従来、銀聯決済を導入している加盟店は同様の決済手数料でモバイル決済が導入できる。
「北京新空気網絡科技股份有限公司は、日本に旅行に来られる中国人向けに、銀聯のアカウントをスマホで登録できるサービスを提供しており、日本で利用できる加盟店の店舗を紹介したり、お土産リスト、旅程リストなどからクリックできるクーポンにより、高い送客効果を実現します」(橘氏)
これらのサービスにより、Powa Tagで利用できるVisaとMasterCardに加え、銀聯決済、WeChatおよびQQが可能になり、世界の三大国際ブランドに対応することになる。今後は、大手に加え、商店街に加盟している店舗も含め、1万店舗での導入を目指す。
OTIは無人機のリーダとしての販売を想定
2016年度に3万台の販売を目指す
また、タブレット端末(iPad, Android、Windows等)を活用したPOSアプリケーション「POWA POS」については、ディストリビュータでの取り扱いの契約が進んでいる。これまで日本になかったマルチOS対応のスタイリッシュなPOSソリューションとして、POSやタブレットのアプリを動かすための高機能周辺機器として売り出している。なお、販売価格は約10万円を想定。2016年4月から導入を開始する予定で、初年度1,000台の導入を目標としている。
さらに、NFCリーダ等のソリューションを提供するoti社と、国内での独占販売ライセンスを取得。最初のターゲットは自動販売機など無人機のリーダとして、飲料、券売機、駐車場などへの提供を予定している。FeliCa性能検定M クラスの認定の取得を進めており、夏前に出荷を開始することを計画中。国際ブランドがグローバルに提供する非接触決済サービス、日本の電子マネー双方への対応を想定しており、リーダ本体価格は3万円未満で販売する予定だ。
「お客様からは非接触のNFCリーダとしてのご要望が多いですが、クレジットカードリーダー(EMV/磁気)をはじめ、在庫管理機能やカード会社への接続などを含め、マルチアプリケーションをクラウドで提供していく予定です」(長田氏)
さらに、POSに接続可能なEMV対応の接触・非接触リーダーライターの提供も強化していきたいとしている。同リーダは、名刺サイズほどの大きさで、コンパクトなつくりが売りとなる。
OTIのリーダに関しては、2016年度に1万台の販売目標を掲げる。また、OTIでは、国際ブランドからの依頼を受け、リストバンド型のICカードを製造しており、イベントなどの用途での採用を見込む。
「Ponta」運営のLMからQCSの全株式を取得
2020年までにさらなる売上・利益の確保を目指す
そのほか、共通ポイントサービス「ポンタ」を運営するロイヤリティマーケティングから、インターネット決済代行事業を会社分割により新設したQCSの全株式を取得。今後は700社あるQCSの取引先に対してもサービスを提供していく。
ビリングシステムでは、2015年度が14億円の売上だったが、新たなグローバル決済サービスの提供に力を入れることで、2020年の東京オリンピックまでにインバウンド決済のインフラ整備などを行い、さらなる売上、利益の確保を目指す。