2016年4月20日2:27
預金払いは25行に対応し、銀行口座から即時引き落とし可能
Yahoo! JAPAN初となる電子マネー「Yahoo!マネー」を提供
ヤフー(Yahoo!JAPAN)は、2016年4月19日に記者会見を行い、ID決済サービス「Yahoo!ウォレット」において、25行の銀行に対応した「預金払い」と電子マネー「Yahoo!マネー」を初夏から提供すると発表した。「Yahoo!ウォレット」ではリアル決済への参入準備も進めており、2017年春を目標にサービスを開始する予定だ。
「Yahoo!ウォレット」の登録数は3,300万
現金市場の切り崩しに向けた新サービスを提供
「Yahoo!ウォレット」は、Yahoo!JAPAN IDに支払い方法を登録しておくと、クレジットカード番号などの入力なく、簡易に決済できるサービスとなる。ヤフーでは、2002年から「Yahoo!ウォレット」を開始している。
Yahoo! JAPANでは、2004年に独自のポイントサービス「Yahoo!ポイント」をスタートし、その価値を高めるため2012年に共通ポイントサービス「Tポイント」に変更した。2013年には、Yahoo!ショッピングの出店料や手数料などを無料にする「eコマース革命」が始動し、それ以降順調にECの取扱高が伸び、「その成長と共にヤフーの決済の取扱高も伸びてます」とヤフー 執行役員 決済金融カンパニー長 谷田智昭氏は口にする。また、2015年4月にクレジットカード「Yahoo! JAPANカード」の発行を開始し、「Yahoo!ウォレット」のクレジットカードの登録者がさらに便利になる世界を実現した。
さらに、2016年1月には「ヤフオク!」の落札代金の支払い・受け取りを行える決済サービス「Yahoo!かんたん決済」の手数料を無料化するなど、決済領域の強化に取り組んできた。
現状、「Yahoo!ウォレット」の登録数は3,300万を超え、Yahoo!ショッピングの40万加盟店やYahoo!オークションの出品者など、「多くの人に、多くの場所で使われるID決済サービスに育っています」と谷田氏は成果を話す。
「Yahoo!ウォレット」の取り扱いも年々順調に拡大しているが、その一方でネットでは約32%、リアルでは79%が現金で支払われている。今回、現金市場の切り崩しとして、初夏には「Yahoo!ウォレット」の新たな決済手段として、銀行口座から決済代金が即時に引き落とされる「預金払い」とYahoo! JAPAN初の電子マネー「Yahoo!マネー」を追加する。谷田氏は、「まずはヤフーのECで新しい電子マネー、預金払いの基盤を作っていきたい」と意気込みを見せる。また、割り勘・個人間送金の機能に特化したアプリ「さっと割り勘 すぐ送金 from Yahoo!ウォレット」(iOS・Android対応予定)の提供を予定している。
預金払いは “手数料無料”で支払いできる
「Yahoo!マネー」は、“受け取る”“支払う”“送る”機能を提供
「預金払い」は、銀行などの預金残高を利用して“手数料無料”で支払いができるのが特徴だ。対象の口座を「Yahoo!ウォレット」に登録すると「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「LOHACO(ロハコ)」での買い物において利用できる。また、「Yahoo!マネー」へのチャージが可能だ。利用者は、使いすぎを防止するため、月間の利用上限金額を設定できる。
登録できる提携銀行は、サービス開始時点で大手銀行4行(三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行)、ネット銀行1行(ジャパンネット銀行)、地方銀行20行の25行に対応している。また、年内に13行の対応を予定している。
「Yahoo!マネー」は、“受け取る”“支払う”“送る”機能が利用できるYahoo!JAPANの電子マネーとなる。預金払いと同様に、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「LOHACO」での買い物に1円単位で利用できる。また、チャージは「預金払い」に対応している銀行口座から100円以上1円単位で行うことが可能だ。さらに、「ヤフオク!」で出品した際の落札代金を「Yahoo!マネー」で受け取ると、いつでも落札代金の2%が「Yahoo!マネー」として上乗せされる。
割り勘・個人間送金に特化したアプリを提供
「LINE」や「Facebook Messenger」経由での送金も可能
一般的な電子マネーと違い、友人に対しての送金、口座に対する払い出しが可能だ。今回、送金をさらに簡単に利用してもらうために、割り勘・個人間送金に特化したアプリ「さっと割り勘 すぐ送金 from Yahoo!ウォレット」を提供する。
送り手は、同アプリをダウンロード後、Yahoo! JAPAN IDでログインして「Yahoo!マネー」の利用登録を行い、「預金払い」に対応した銀行口座を「Yahoo!ウォレット」に登録。送金する相手を選択後、金額を入力して「Yahoo!マネー」を贈ることができる。
「他社の送金サービスにない特徴として、友達リストへの登録者はもちろん、『LINE』や『Facebook Messenger』の友だちに送金することも可能です」(ヤフー 決済金融カンパニー 決済コンシューマ本部 決済サービス部長 白石陽介氏)
受け手は、「Yahoo!マネー」の利用登録をしていれば、1タップで「Yahoo!マネー」を受け取ることができるという。
また、「割り勘」機能では、総額に対して、割り勘する金額と人数を入力すると、自動で割り勘リストが作成される。さらに、手動で金額の調整も可能だ。
まずは、自社のECでサービスをローンチするが、今秋から「GYAO!」「Yahoo!ゲーム」など他のサービスでも「預金払い」と「Yahoo!マネー」に対応予定。さらに、来春にはリアル決済にも参入する予定だ。2017年春には、「Yahoo!ウォレット」として初めてリアル決済領域への参入も予定しているという。
「Yahoo!ウォレット」は外部加盟店として6,500のサイトで利用可能
リアル決済で提供するサービスの形態は?
「Yahoo!ウォレット」は、ヤフー内の決済はもちろん、外部の物販やコンテンツ利用代金の支払いにも利用できる。現在、外部加盟店として6,500サイトを有しており、「ID決済単体としては日本最大となります」と白石氏は自信を見せる。
今回の「預金払い」の特徴として、「ヤフオク!」で出品した際の落札代金を「Yahoo!マネー」にチャージできる起点を持っているのが強みとなる。現在、グローバルにおいて送金で成功しているプレイヤーはメッセンジャーを起点にしているタイプ、「Alipay」のようなコマースによるモデルの2種類があるが、ヤフーではコマースを軸としてサービスを展開していきたいとしている。
ヤフーでは、オンラインの口座登録の障壁を如何に取り除くかが成功に向けた鍵になるとみており、「そのハードルをセキュリティも担保しながら下げていくことにチャレンジしていきたいです」と谷田氏は意気込む。
また、2017年からは、「Yahoo!ウォレット」として初めてリアル決済に進出するが、その方式については、カードになるか、モバイルを活用するのかは検討中としている。また、加盟店開拓については、国際ブランド等に相談しながら、ベストな形を模索しているそうだ。
「Yahoo!マネー」によるリアルでの支払いに関しては、「Yahoo! JAPANカード」のクレジット支払いや「Yahoo!ショッピング」利用時に付与される「Tポイント」によるポイント特典を想定している。
なお、Tマネー社でもTポイントが貯まるプリペイド電子マネー「Tマネー」を提供しているが、「『Tマネー』はリアルの売り場でチャージできる電子マネーとして展開していますが、『Yahoo!マネー』はネットが起点であり、現状はそれぞれの別の道を歩んでいます」と谷田氏は説明していくれた。