2017年1月17日8:30
ビットコインに対応した「CoolWallet」、各種カードを集約できる「SLEKT」、そしてOTPカードを提供
日本でもPCのような機能を持つ多機能カードの普及が期待されている。台湾のSmartDisplayerは、世界に先駆け、カード券面にワンタイムのトークンを表示したり、クレジットカードのセキュリティコードを可変させるディスプレイカードを提供しており、デジタルセキュリティベンダーのGemalto等と提携し、世界に同技術を広めている。SmartDisplayer ビジネス・デベロップメント Michael Ou氏に、ビットコインに対応する「CoolWallet」、複数のカードを集約できる「SLEKT」について説明してもらった。
SDはGemaltoと提携し、世界各地にディスプレイカードを提供
日本ではジャパンネット銀行で採用
――日本でもディスプレイカードを採用する企業が徐々に増えていますが、まずは貴社の強みからお聞かせください。
Michael Ou:弊社は2002年に設立した会社であり、ディスプレイカードの生産を行っています。もともと弊社のチェアマンが1996年からリサーチを開始し、台湾の政府のプロジェクトがあったことをきっかけに開発スタートさせました。また、人々の財布の中には、現金に加え、用途に合わせたカードが数多く入っていますが、弊社の最終目的はICカードがPCのように動作するものを作るというスローガンとなっています。現在、その目標の80~90%まで達成できました。
弊社のカード(SLEKT)が優れている理由として、EMVのコンタクト(接触)、コンタクトレス(非接触)、磁気ストライプがすべて搭載されている製品を製造できます。一枚のカードにすべての機能が付いている製品は他社では作れないと自負しています。3つのうち1つでも欠ければ、他のカードも持ち歩く必要があるため、これは重要な要素となります。
また、販売パートナーとして、世界中でさまざまな銀行と取引があるジェムアルト(Gemalto)が名を連ねています。さらに、国際ブランドとして、Mastercard、Visa、JCBなどの認定を取得しています。
さらに、世界30カ国50軒以上の銀行に提供しています。欧米ではスタンダードチャータード銀行、バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ 、UBS等、日本でもジャパンネット銀行で採用されています。現在の導入実績として、韓国のワンタイム・パスワード・カード(OTPカード)では20軒の銀行が弊社のカードを使っています。
「CoolWallet」はビットコインのセンシティブ情報をカードに格納可能
Bluetooth機能も搭載
――Trustechで展示されている「CoolWallet」と「SLEKT」の特徴についてご説明ください。
Michael Ou:弊社が販売を強化するCoolWalletとSLEKTもボタンやディスプレイスクリーンが付いており、外部とコミュニケーションできる製品となっています。
CoolWalletは、特に「ビットコイン」のような仕組みには向いています。ビットコインは、従来の為替や現金のトレードとは違ったものになっており、より高いセキュリティが求められます。セキュリティが高くなればなるほど、利便性が損なわれる傾向がありますが、弊社の製品は使いやすく、そのうえハイセキュリティなのが特徴です。
その理由として、ビットコインの秘密鍵をクラウド上ではなく、カードの中に直接入れることができます。従来、ビットコインでハッキングされて盗まれていた秘密鍵は、自身のPCやクラウド、携帯等に入れて保管しているケースがほとんどでしたが、このカードの中に入っている限り、弊社であってもハッキングして取り出すことは不可能です。また、ただ単にセキュリティが高いだけではなく、使い勝手が良いです。さらに、Bluetooth機能も搭載しています。
カードを集約でき、スマートショッピングが可能な「SLEKT」
銀行のお得な情報を収集可能
――「SLEKT」についてはいかがでしょうか?
Michael Ou:「SLEKT」は、クレジット、デビットカード、ロイヤリティカードなどをまとめることが可能です。日本、台湾、韓国などでは、複数枚のカードを持ち歩く人が多いですが、使う側にとっても、銀行にとっても便利になる商品です。
このカードの中には、カードの暗証番号や本人の誕生日、個人情報など、セキュリティが求められる情報が入りますが、利便性とセキュリティを兼ね備えています。たとえば、使っていない状態はスリープ状態になり、ディスプレイも見れない状態となります。スイッチを入れる場合は、パターン化したボタンの押し方をしなければならず、仮に3回間違ったら中にある情報が1回全部消されます。ただし、利用者自身のスマートフォンとシンクロナイゼーションすれば元通り使えるようになります。
また、もう1つ大きな特徴として、スマートショッピングが可能です。このカードの中には各種クレジットカードを入れることができるため、カード自体が各カード会社のウェブサイトと連携しており、それぞれの会社のプロモーション情報をまとめることができます。その情報を見せるだけではなく、人工知能(AI:Artificial Intelligence)として考えが整理されます。その結果、店舗に行く途中でセールが行われている場合、その店舗を地図で示すことができ、どのカードがお得かを表示できます。
さらに、自身が契約している以外の銀行でお得な情報がある場合、その情報を銀行から受けることができる仕組みもトークンシステムを使って作り上げます。これまで銀行は、伝統的に莫大な広告費を使って新しいクレジットカードを紹介していましたが、このカードでは一人一人の消費者にあわせた情報を紹介することができますので、まったく新しいプロモーションが形となります。
韓国で採用が進むSLEKT
CoolWalletは日本市場で販売へ
――実際に、SLEKTとCoolWalletの導入は進んでいるのでしょうか?また、目標についてお聞かせください。
Michael Ou:韓国など、大手企業ではSLEKTという名前は使わずに消費者に進めるケースもありますが、国によってはSLEKTカードとして紹介されるケースもあります。
CoolWalletについては日本市場に参入を予定しており、提携先から消費者への販売が行われる予定です。価格は、SLEKTが韓国の例では100US$程度、CoolWalletが米国ドルで119US$となります。市場で発表されている多機能カードは150US$ほどなのでお得な値段となり、しかも現状消費者に届いていないカードがほとんどです。
また、2017年の目標として、SLEKTは200万ユニットの販売を目指しています。また、CoolWalletは3万枚販売できればと考えています。すでに多くのプロジェクトが進んでいます。
※取材は2016年11月29日~12月1日まで、フランス・カンヌで開催された「TRUSTECH(トラステック)」にて