2017年8月28日14:37
AnyPayは、2017年9月より仮想通貨による資金調達方法「ICO(Initial Coin Offering) 」のコンサルティング事業へ参入すると発表した。併せて仮想通貨発行システムの提供も開始。ICO実施に必要なすべての業務をワンストップで提供するという。
bitFlyerなど仮想通貨関連企業とのリレーションを構築
2017年以降、ICOでの調達は加速度的に増加
AnyPayは、オンライン決済サービス「AnyPay(エニーペイ)」、わりかんアプリ「paymo(ペイモ)」を提供している。また、インドや韓国を中心に仮想通貨・フィンテック領域への投資を実施。これまでの実績として26社に累計22億円の投資を実行している。決済領域では、仮想通貨取引所のbitFlyer、モバイル決済サービスを展開するコイニーに投資している。AnyPay 代表取締役 木村新司氏は、前述のbitFlyerをはじめ、日本や韓国の仮想通貨関連企業とのリレーションを構築していることも強みとした。
現在、仮想通貨の時価総額は、合計で10兆円を突破。世界中で注目度が高まっているが、金融環境として、日本の金融システムは優秀であり、送金・決済の不便がないという見方もある。また、「怪しい。怖い。要らない」という意見も一部である。さらに、マウントゴックス社事件がネガティブなイメージを与えた過去や、投機性の高い通貨というイメージを抱く人もいる。
AnyPay ICO事業推進担当 山田悠太郎氏は仮想通貨のポテンシャルとして、「次世代のさまざまな技術の根幹になる可能性があり、既存金融の中央集権性の問題を払拭し得る」とした。実際、海外では、エストニアのように国策で仮想通貨を前向きに利用する動きもあるそうだ。
山田氏は、ICOは、事業独自のトークン(仮想通貨)を発行し、事業資金を調達する手法であるとした。トークンは、調達資金で作るサービス内で利用できる。また、「投資家=サービス利用者」としてサービスを世に広める役割もある。2017年以降、ICOでの調達は加速度的に増加。その理由として、ブロックチェーン実装、コイン発行のみで資金調達が可能なため、実施企業が増加している。また、投資が増えるにつれて、さらなる実施企業・投資が登場している。
事前準備から設計、実装、実施までサポート
外部のプロフェッショナルを含めた体制を構築
発行されるコインは、①ビットコインやライトコインなど、通貨として複数のサービスにて利用が可能な「純通貨型」、IC実施企業の提供サービス内にて通貨として利用、もしくは 特別割引などの優待を受けることが可能な「サービス型」、コインが株式のような役割を担い、保有者に対して企業経営・プロジェクトの収益の一部が還元される「株式型」がある。
実施企業には、資金調達のコストが低いことに加え、資金調達規模の自由度が高いメリットがある。また、投資家候補をグローバルで募集可能だ。さらに、高いキャピタルゲインを獲得できる可能性があり、事業の内容やプロジェクト単位で投資を判断できる点も特徴となる。
とはいえ、参加している投資家は限定的であり、特に日本ではまだ始まったばかりである。また、発行・販売を行う国の法規制には、留意が必須だ。さらに、仮想通貨か否かに加え、第三者型前払式の場合、発行者は登録の上、供託金を積む必要が出てくる。そのほか、有価証券性を持つ場合、国によって登録や届出が求められ、事業者側にコスト負担や時間がかかるケースもある。
AnyPayのICOコンサルティングでは、通常の資金調達に必要な検討事項に加え、法律や会計観点からのスキーム検討、トークン(コイン)発行・組成、国内外へのPR・マーケティングなど、ICOに必要なノウハウをワンストップで提供する。AnyPay社内の戦略コンサルティングファーム、投資銀行出身者等に加え、創法律事務所の斎藤創先生の法務アドバイスなどを実施。併せて、海外仮想通貨発行企業の技術サポートなど、仮想通貨発行システムも提供するという。
AnyPayがICOコンサルティングを実施する上での4つの強みとは?
著名人やスポーツチームなど、知名度が高いプロジェクトへの展開も想定
AnyPayでは、同サービスを提供する上での強みとして、①仮想通貨/金融業界への深い理解、造詣、②投資家/取引所含む業務提携先などグローバルで質の高いネットワーク、③企業の意思決定/事業推進に必要な戦略コンサルティングのケイパビリティ、④本業のシステム開発で培った高い技術・エンジニアリング力――の4つを挙げた。
今後の展開として、エリアを固定せずに、グローバルにICOコンサルティングを実施する方針だ。また、スタートアップ・未上場中小企業/著名人など、資金調達需要がより高い企業を優先していく。さらに、著名人やスポーツチームなど、知名度が高いプロジェクトへの展開も想定。すでにICOコンサルティングサービスを検討中の企業もあり、年内に数社の支援を予定している。