2018年5月10日8:00
■APS(日本代理店:日本パーソナルセキュリティー株式会社)
APS カードは、セキュリティに特化し、安全なカードとなります。APS社の地元であるルクセンブルクでは、複数の銀行がAPS CARDを発行しています。日本では、2018年3月末までPSSが代理店業務を行っていましたが、4月からは日本パーソナルセキュリティーがAPSカードの取り扱いに関してすべての業務を行っています。今回は、APS A.S. Executive Director Hunz Lee氏より、APSカードの概要について紹介します。
APS A.S. Executive Director Hunz Lee氏
利便性と汎用性を軸としてセキュリティを追求
カードのデータは常にCPUで隠され、DynamicCVC番号を表示
現在の決済業界の変革として、世の中では急速にキャッシュレス化に進んでいます。シンガポール・オランダ・フランス・スウェーデン・カナダ・ベルギー・イギリスなどでは支払いの70%以上が現金なしで行われ、キャッシュレス比率は毎年増加しています。その理由は紙幣やコインを扱うということの非効率性と高いコストの問題です。日本ではこれらの管理費用が年間で8兆円にのぼります。
統計によれば毎年25億枚のカードが発行され、世界中で136億枚のカードが利用されています。ここでの問題は詐欺被害です。2006年にはさまざまな詐欺によって163億ドルが失われました。モバイル決済における詐欺被害は2021年までに3倍にもなると予想されています。ご提示した統計はカードとモバイルの支払いが毎年増えている反面、現金での使用が減少していることと、カードの不正決済の額の増加を示しています。
この問題を解決するためにセキュリティ搭載カードが2010年から開発され、2015年に初めて導入されました。Oberthur社(現IDEMIA)が開発し、フランスのSOCIETE GENERALE銀行が採用したDynamicCVC/CVVカードです。このカードの表面は従来のカードと同じですが、カード背面にあるCVV番号が数分ごとに毎回変更され、Card Not Present決済(CNP決済)で高いセキュリティを提供しています。
しかし、すべてのカード番号が公開されているので、カード決済の時のセキュリティ性は依然として疑問です。それでもこのカードはかなり成功したと言えます。SOCIETE GENERALE銀行では、発行開始以来1年半で、年間15万枚のカードを12ユーロの追加レンタル料金(年間レンタル)で提供しました。これはセキュリティに対するエンドユーザーの懸念が高いことを示しています。
また、三井住友カードは今年1月、米国・ラスベガスで開催された「CES2018」でキーパット内蔵型カードを発表しました。このカードは対面のCP決済で高いセキュリティを提供していますが、カードを提示しないCNP決済についてはまだ考慮していません。発売日や価格も未定です。
カードとモバイル決済が増加する中で、最も重要なことはセキュリティです。APSカードは常に利便性と汎用性を軸としてセキュリティを追求しています。APSカードには画面があり、カードのデータは常にCPUで隠され、DynamicCVC番号を表示します。さらにこのカードはプリペイドカードの場合、残高を表示できることにより、決済カード業界で革新的なものになれると思います。
スマートフォンと連動してカードを活性化
カード内蔵のバッテリーを充電せずに5年間使用可能
APSカードを活性化するためには、常にスマートフォンと連動する必要があります。皆さまがお持ちのカードとは異なり、このカードにはバッテリーが搭載されており、電源がOFFの場合はEMVチップとNFCを利用できません。支払いの前にカードをタップしてカードを活性化し、カードの持ち主がアプリを立ち上げたら、認証プロセスが始まります。正当な認証が行われるとカードが起動され、カード番号が画面に表示されます。それらがすべて、ほんの数秒の間に行われます。
APSカードの開発コンセプトをお伝えします。まず、既存のカード決済端末をそのまま利用できます。そしてカード内蔵のバッテリーを充電せずに5年間使用できます。したがって、クレジットカードの充電は不要です。そして、とてもお手頃な価格で提供が可能です。過去のビジネス結果から、イシュアや銀行は商品がどれだけ良くてもそれが高すぎると買わないことは証明されています。
※本記事は2018年3月2日に開催された「ペイメントカード・セキュリティフォーラム2018」のAPSの講演をベースに加筆を加え、紹介しています。
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