2018年5月25日14:16
「スマホで買って、翌月コンビニ払い」を実店舗で展開
クレジットやデビットに抵抗がある“現金派”の取り込みを図る
ネットプロテクションズは、会員制BtoC後払い決済サービス「atone(アトネ)」に、QRコード決済機能を追加すると発表した。これにより「atone」が実店舗でも利用可能となる。QRコード決済はキャッシュレス化推進の切り札となると期待されながら、利用率はいまだに低水準にとどまっているのが現状。「atone」のQRコード決済は、翌月以降に届く請求書をもとに、1カ月分の利用料金をまとめてコンビニまたは口座振替で支払う仕組みで、従来のクレジット型、デビット型、デポジット型に抵抗のある“現金派”の取り込みを狙う。2018年8月を目途に初期リリースを行い、実証実験を開始する予定だ。
スマホひとつで誰でもその場で決済できる「atone」
ネットプロテクションズは、2002年3月に、日本初の未回収リスク保証型の後払い決済サービス「NP後払い」の提供を開始。以来、前年比約140%で成長を続け、現在では累計利用者数は1億人を突破、後払い決済サービスにおいて約48%の市場シェアを占めている。これで得たユーザー基盤をベースに、いわば「NP後払い」の進化形として2017年6月にリリースされたのが、会員制BtoC後払い決済サービス「atone」である。
「atone」は、クレジットカードを持っていなくても、会員登録をすればすぐに利用を開始でき、携帯電話番号とパスワードの入力のみで買い物ができる。利用代金は翌月以降に届けられる請求書をもとに、1カ月分をまとめてコンビニ払いまたは口座振替で支払う仕組み。「atone」の会員登録や利用にかかる料金は、毎月の請求費用90円のみ。さらに、「atone」を利用して買い物をするとポイントが貯まり、利用代金に充当することができる。
業界最安水準の手数料で事業者の導入ハードルも低いと自負
この「atone」に、QRコード決済機能が追加されることになり、ネットプロテクションズでは5月24日、東京・赤坂にて「新決済手法発表会」を開催した。新機能の追加により、これまでECを中心に導入されていた「atone」が、実店舗でも利用可能となる。8月より、まず事業者を限定して実証実験を行う予定で、現在、追加で参加事業者を募るスタートアップキャンペーンを実施中だ。
「atone」の事業者向け提供価格は、ECの場合、決済金額の1.9%と30円~のトランザクションフィーという業界最安値であるとネットプロテクションズでは自信を見せる。実店舗向けのテスト価格は、初期費用と月額固定費ゼロ、トランザクションフィーもゼロで、決済金額の1.9%~が予定されている。
「atone」のQRコード決済の流れは以下の通り。ユーザーがスマホにアプリをダウンロードし、会員登録を行う。会員登録は約1分で完了できるという。次に、事業者(店舗)側がタブレットレジでQRコードを生成。ユーザーがこれをスマホアプリで読み込み、金額を確認して「決済する」ボタンを押せば、決済手続きが完了する。ユーザーが後日、請求書に基づき、支払いを完了すると、利用金額の0.5%のポイントが付与される。
クレジットカードに次ぐ社会インフラになることを目指す
キャッシュレス化推進の切り札と言われるモバイルペイメント。中でもQRコード決済は、大きな注目を集め、参入企業も多い。しかし国内のモバイル決済利用率は2016年時点で6%(日本銀行「モバイル決済の現状と課題」より)と、低水準にとどまっているのが実情。その大きな理由の1つが、現金主義が根強い日本のユーザーの心理的障壁だ。
現在行われているQRコード決済は大きく、デビット型、クレジット型、デポジット(プリペイド)型に分けられるが、銀行口座やクレジットカード番号を登録するのが不安、事前入金は面倒と考えるユーザーは多い。一方、「atone」は、銀行口座やクレジットカード情報の登録も、事前入金も不要。「ほかのサービスにはない独自性を有しており、“現金派”にも幅広く受け入れられる決済手段だと思います」と、ネットプロテクションズ 企画室 マネージャー 杉山崇氏は説明する。
ネットプロテクションズの調査によると、実店舗で最もよく利用する決済手段が「現金」であると回答したユーザー(768名)のうち、実店舗での買い物の際に「手持ちの現金がなかったために買い控えたことがある」人の割合は約70%に上る。QRコード決済に対応した「atone」は、現金派のユーザーにも好まれるキャッシュレス決済手段として、このような販売機会ロスの解消にも寄与するだろうと同社は見る。
「atone」は今期中に月間取扱額12億円、単体売上2.7億円、利用店舗数500店舗、会員数100万人を目標としており、「達成できる見込み」(杉山氏)。さらに3年後には、年間取扱額1,000億円、会員数1,000万人を目指す。