近鉄グループ、2回目のデジタル地域通貨「近鉄ハルカスコイン」実証実験

2018年9月11日8:00

参加者の規模を拡大、19年度の実用化目指す

近鉄グループホールディングス(本社・大阪市)は、三菱総合研究所(本社・東京都千代田区)などと、2018年10月1日から12月10日まで、ブロックチェーン技術を活用したデジタル地域通貨「近鉄ハルカスコイン」の2回目の実証実験を行う。17年に続く取り組みで、参加者はスマートフォン(スマホ)の専用アプリで買い物をする。前回よりも規模を拡大して実施し、19年度中の実用化を目指す。(ライター・南文枝)

専用アプリでスムーズな買い物を実現
参加施設は前回の倍、約400店舗に

前回の実験では、近鉄グループの「KIPSカード」会員から5000人を募集したが、今回は、スマホを持っているカード会員なら、一定の手続きを経て誰でも参加できる。実験期間中にカードに入会して参加することも可能だ。

実証実験の内容を説明する近鉄グループホールディングスの事業開発部長 山本寛氏(右)と三菱総合研究所の主席研究員 奥村拓史氏

今回は、大阪市や周辺の商店会、テナントビルなどの協力を得て、参加施設を前回の約200店舗から約400店舗に拡大。前回参加した超高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の近鉄百貨店やあべのハルカス美術館などに、新たに大阪市立美術館や天王寺動物園、あべの巴通り商店会、阿倍野筋一丁目東商店会の店舗なども加わった。

実験の参加者は、スマホに専用アプリをダウンロードして、近鉄百貨店のKIPSカウンターや専用のチャージ機で現金を支払い、金額に応じて「近鉄ハルカスコイン」を受け取る。

その際に、期間限定プレミアムとして現金の10%分のコインを付与される。1コインは1円相当。例えば、5000円をコインに変えた場合、5000コインとプレミアムの500コインが発行される。支払う現金は1000円単位で、10万円相当の10万コインまでチャージできる。コインから現金への換金は行わず、実験終了後、コインは消滅する。

参加者は、店舗で商品やサービスを購入する際に、専用アプリを起動してログインし、レジで精算する。店舗のスタッフは、商品をレジに通した後、備え付けのタブレットの画面で購入情報のQRコードを提示。参加者がスマホのカメラで読み取り、支払金額を確認して承認すると、コインが支払われる。スマホだけで、スムーズに精算できるのが特徴だ。

参加者間でのコイン譲渡など新機能を追加
将来は企業や自治体へのプラットフォーム提供も

今回の実験では、いくつかの新たな試みも実施する。例えば、前回は、店舗のスタッフはタブレットを使って購入情報のQRコードを提示していたが、店舗側の負担を減らそうと、今回は、店舗に設置した固定QRコードを用いて決済する方式も採用。参加店舗は、店の運営形態に合わせて運用しやすい決済方式を選択する。

今回の実証実験では、地域通貨の発行額の1割が期間限定のプレミアムとなる。参加店舗の負担を減らすため、固定のQRコード決済方式も導入した

また、専用チャージ機でのコインの追加発行を可能にしたほか、参加者同士でコインの受け渡しができるようにした。コインの譲渡もスマホの専用アプリを使う。飲食店での代金の割り勘などに利用してもらう狙いだ。

新たに実験参加者の端末操作だけで、他の参加者に地域通貨を譲渡できるようにした

2018年9月7日にあべのハルカスで開かれた説明会では、前回の実験結果も報告された。17年9月から約1カ月行われた実験では、現金5000円に対して1万コインを発行(1コインは1円相当)。期間中は1.5万回の決済処理が行われたが、そのうちトラブルは計13件と全体の0.1%未満で、おおむね問題なく処理できることが分かった。

参加者(利用者)へのアンケートでは、10代から80代までの3180人が回答し、半数を30~50代女性が占めた。全体の88.8%がスマホでの支払いを「簡単だった」とし、85.7%が「今後も使ってみたい」と答えた。ハルカスコインに現金やクレジットカードを追加しての支払いも一定数行われ、消費の促進効果も見られた。

世界的にキャッシュレス化が進む中、近鉄などは、実証実験を通してデジタル地域通貨のプラットフォーム確立を図り、19年度中の本格運用を目指す。将来的には、沿線の自治体や企業と連携して地域の活性化につなげる狙いだ。

近鉄グループホールディングス 事業開発部長 山本寛氏は「今回の実験でコインの使い勝手や効果を確認し、本格実施に向けて機能の充実を図りたい。汎用性が高いプラットフォームを確立し、まずは沿線、将来は全国の自治体や企業にも提供していきたい」と話した。

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