2018年10月5日8:00
「九州キャッシュレス観光アイランド推進コンソーシアム」にJR九州や西鉄等が参加
九州全域にキャッシュレス決済インフラを整備し、中国等インバウンド観光客の誘致と域内消費の最大化を目的とした「九州キャッシュレス観光アイランド推進コンソーシアム」が2018年10月4日に立ち上がった。同日には、福岡市のホテル日航において、記者説明を開催した。
観光・インバウンド関連企業、金融機関、自治体などが連携
キャッシュレスについての勉強会等を開催
「九州キャッシュレス観光アイランド推進コンソーシアム」は、九州の観光・インバウンド関連企業、金融機関、自治体などが連携し、九州全域にキャッシュレス決済を整備することで、訪日中国人などインバウンド観光客の誘致と域内消費の最大化を実現し、九州地域の経済活性化に貢献することを目指すものだ。今後は、キャッシュレスの仕組みについての勉強会などを開催するという。
2018年10月4日現在、理事企業は、岩崎産業、JR九州、第一交通産業株、 西日本鉄道、フェニックスリゾート、福岡地所、三菱地所・サイモンとなる。また、賛助会員には、アイリッジ、NTT ドコモ、ぐるなび 、佐賀銀行、GMO ペイメントゲートウェイ、十八銀行、西日本フィナンシャルホールディングス、ふくおかフィナンシャルグループ、PayPay、LINE Payが名を連ねる(予定も含む)。
JR九州 代表取締役会長執行役員 唐池 恒二氏が座長を、副座長にはA and Live 代表取締役 V・ファーレン長崎 代表取締役社長 髙田 明氏が務める。
海外からの旅行者に加え、国内からも九州に呼び込む
九州の半数の店舗でのキャッシュレス環境整備を目指す
JR九州とアリババグループ(阿里巴巴集団)は、2018年7月に提携し、中国人インバウンド客の送客と九州域内消費の拡大を通じて、九州地域経済の活性化を目的に提携した。2018年10月~2019年3月は、アリババグループより5万人送客を実現させ、2023年度に中国から九州へ100万人、うちアリババグループより50万人の送客を目指すと発表しているが、提携前と比べ、九州への誘客で成果を感じているそうだ。唐池氏は、海外からの旅行者のキャッシュレス環境と、国内の人々へのキャッシュレス環境を両方整備していくことがコンソーシアムの趣旨であると説明した。
コンソーシアムのロゴには、「九州ワクラク観光宣言」の文字が記載されているが、「“ワクワク”しながら“ラクラク”観光をして九州の観光を楽しんでもらいたい」と副座長の髙田氏は話す。また、チェーン店はもちろん、個店などにおいても、スマートフォンで決済できる環境を作っていくことが必要であるとし、九州の半数の店舗(15万店ほど)でキャッシュレス環境を2年以内に整備していきたいとした。なお、高田氏が副座長を引き受けた理由は、“入会費、運営経費が0円”であり、分割金利手数料を負担するジャパネットたかたも驚きの条件であることが大きかったそうだ。
第一交通や三菱地所・サイモンなどがインバウンド決済導入で成果
LINE PayやPayPay、銀行独自のスマホ決済も紹介
発足発表会には、理事や賛助会員の役員や担当者も登壇。第一交通産業では、滴滴出行と提携し、大阪府内でタクシーの配車サービスを開始しているが、1日80人の利用があるという。そのうち、約7割がAlipayの利用者だ。西日本鉄道では、運営する商業施設「ソラリアプラザ」、「ソラリアステージ」、「チャチャタウン小倉」でAlipay等に対応。 まずは15店舗にて先行導入し、2019年3月からは同3施設約260 店舗に拡大予定だ。三菱地所・サイモンでは、2施設でAlipay決済を導入しているが、昨年比で2.7倍の伸長率となっているそうだ。
NTTドコモでは、ICT(情報通信技術)やビッグデータを活用してもらえるように取り組んでいくそうだ。また、決済・送金サービス「LINE Pay」を提供するLINE Payは、「福岡市実証実験フルサポート事業」の「キャッシュレス」に関する実証実験プロジェクトに採択されており、空港、動植物園、屋台などで決済サービスの導入を進めている。LINE Payは、日本に加え、台湾、タイ、インドネシアでも展開しているので、中国人観光客以外も九州に訪れてもらえるようにしていきたいとした。
なお、同会にはスマホ決済提供のPayPay、「YOKA! Pay」を提供するふくおかフィナンシャルグループなども参加しており、国内のスマホ決済も紹介していく予定だ。
事務局を務める アリババ の代表取締役CEO/アント フィナンシャル ジャパン 代表の香山誠氏は、スマートフォン決済は設備投資が不要であり、個店では印刷されたプリント型QRコードを設置すればよいため、コストを抑えることができるメリットを強調した。