2018年11月15日7:00

2012年までは金融イノベーションとか金融オンラインサービスとか呼ばれていた金融革新の動きは、2013年にFinTechと呼ばれるようになり、金融の三大業務である「預金」「融資」「決済・為替(資金振替、送金サービスを含む)」を代替する新しい金融サービスが世界中で開発されている。FinTechによって特に進化しているのが、資金の振替を含む送金サービスである。「フューチャーペイメント要覧」の第8章では、FinTechと送金サービスについて紹介している。

移民からの送金が多い国はインド、中国、フィリピン

世界銀行(WORLD BANK)の『移民と送金に関する報告書』2017年度によると、移民から低所得国と中所得国の家族や知人への送金額は、2016年度の4,290億ドル(約47兆円)から2017年度は4,660億ドル(約51兆円)と8.6%増加し、2018年度は4,850億ドル(約53兆円)とさらに4.0%の増加が見込まれている。世界規模で見てみると、送金額は、2016年度の5,730億ドル(約63兆円)から2017年度は6,130億ドル(約67兆円)と6.9%増加し、2018年度は6,420億ドル(約70兆円)とさらに4.7%の増加が見込まれている。

国別の移民からの送金が多い国は、2017年度でインドの690億ドル、中国の640億ドル、フィリピンの330億ドルがトップ3である。インドや中国は5年前の2012年度に比べて減少しているのに対して、フィリピンは240億ドルから330億ドルへと37.5%増加し、メキシコも240億ドルから310億ドルへと29.1%増加している。

中国やフィリピンを含む東アジア・太平洋の低所得国と中所得国への送金額は、1,300億ドル(約14兆3,000億円)5.8%増で、シェアは最も高い28.3%である。米ドルに対するユーロ高の影響を受けて、欧州・中央アジアの低所得国と中所得国への送金額は、480億ドル(約5兆2,800億円)21.0%増で、シェアは10.4%である。ラテンアメリカ・カリブ海諸国への送金額は、800億ドル8.7%増で、シェアは17.4%であるが、今後アメリカの移民政策の変更による影響が懸念される。エジプトを含む中東・北アフリカへの送金額は、530億ドル9.3%増で、シェアは11.5%である。インドを含む南アジアへの送金額は、1,100億ドル5.8%増で、シェアは23.9%と、東アジア・太平洋エリアに次いでいる。ナイジェリアを含むサハラ砂漠以南のアフリカへの送金額は、380億ドル11.4%増で、シェアは8.2%である。

世界の小口の国際送金マーケットはビッグ3のプロバイダーの影響力が強い

2018年第1四半期における送金額200ドル(約22,000円)に対する送金コストは世界平均で7.1%、14.20ドル(約1,560円)と高く、サハラ砂漠以南のアフリカに限ると9.4%、18.80ドル(約2,070円)とさらに高い。送金手数料などの送金コストの削減が困難なのは、銀行や郵政サービス、送金サービスプロバイダー間の独占的なパートナーシップの存在で、インターネットやスマートフォンアプリなどのより効率的なテクノロジーの導入や暗号化とブロックチェーンによる送金サービスの利用を阻んでいる。世界の小口の国際送金マーケットは、Western UnionやMoney Gram、Ria Money Transferといった“ビッグ3”と呼ばれる大手の送金サービスプロバイダーの影響力が極めて強い。

世界銀行では、移民や出稼ぎ労働者などから低所得国や中所得国の母国に住む家族がより多くのお金を受け取れるようにするには、送金手数料などの送金コストの引き下げが求められるとしている。送金コストの引き下げには、これまでの慣習から抜け出し、市場の競争の改善を図り、インターネットやスマートフォンアプリ、ブロックチェーンによる送金サービスなど効率的で安全な技術が導入されなければならない。

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