2019年4月16日8:00
国際的非営利団体ISIC 協会の日本総代理で、日本国内のISIC カードの発行事業を統括しているスチューデント・カード・サービス(ISIC Japan:アイジック・ジャパン)は、三井住友カードと提携し、アイジック・ジャパンが発行する国際学生証に、200 以上の国と地域で取り扱われている国際ブランド「Visa」を付した「ISIC Visa プリペイドカード」の会員募集を行っている。同カード発行の経緯と、今後の展開について話を聞いた。
133カ国で500万枚以上の国際学生証発行
「ライフスタイルカード」として世界展開
ISIC(International Student Identity Card:国際学生証)カードは、世界で唯一、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が推奨する世界共通学生身分証明書だ。アイジック・ジャパン セールス・マネージャー 高野文生氏は「第二次世界大戦後、多くの学生団体や組織が設立され、国際間の連携を通して和平活動をしていましたが、その中の学生団体の1つが1953年にコペンハーゲンで3回目の国際学生会議(ISC)を開き、全国学生組合やデンマークのCOSECなど学生団体が参加。これらの学生団体によって、『早期にできるだけ多くの国で通用する国際学生証を作ろう』という決断が下されました」と説明する。
初年度は31カ国で5万6,000枚の国際学生証が発行され、現在では、毎年世界133カ国で500万枚以上も発行されている。この学生証を提示すると、各種交通機関や宿泊施設、美術館、博物館などの文化施設や、飲食店、ショッピング、エンターテインメントなどでも割引が適用され、世界中、15万点以上の特典が受けられる。また、海外人気都市の市内観光パスが割引になる。
国際学生証であるISICカードは、学生や若者が旅を通じて異文化に触れ理解を深める機会を促進するという考えに基づいて成り立ち、この理念は今もISICカードに根付いている。高野氏は「最初は国を跨いで移動するために必要な航空料金の学割が主なサービスでしたが、2000年代に格安航空券が登場し、その役割が変わってきました。海外に行かなくても、生活のあらゆる場面で学生としてサービスが受けられる『ライフスタイルカード』として世界的に展開を図っています」とした。
使いすぎの心配のないプリペイドを採用
世界中でISIC割引と特典が受けられる
新たに発行を開始した「ISIC Visaプリペイドカード」は、プリペイド(事前チャージ)方式のため使いすぎの心配もなく、また、万が一の時に備え、利用ロックの機能も付いており、現金では対応できない紛失リスクも軽減できる。留学や旅行など、海外へ渡航する学生には便利な一枚だとしている。
対象は満18歳以上の学生で、販売価格は2,300円(税込み)。有効期限は発行日から1年間。ISICの特典は航空券・交通機関・ホテルや観光・美術館・博物館や世界遺産への入場料・飲食店・ショッピング・エンターテイメントなどのISIC割引と特典が受けられる。そのほか、Trip.comの宿泊費が5%オフになるほか、EFオンライン英語学習が90日間無料になる特典もある。ポイントサービスとしては三井住友カードが提供する「ワールドプレゼント」があり、利用金額の合計2,000円(税込み)ごとに1ポイント付与、貯まったポイントでチャージも可能だ。
今後はモバイル展開も見据える
有名大学でのISICカード採用を目指す
高野氏は、「欧州での利用者が最も多かったのが、最近はアジアが急速に増えています。韓国では20万人近く、台湾でも10万人近くが利用しており、日本でも利用者拡大により一層力を入れています」と説明する。各国でそれぞれのカードブランドと提携している。今回、日本ではVisaの機能が付いたプリペイドカードを発行。高野氏は「カードの有効期限がまだ残っていても、2枚目のカードとして申し込む学生もいたほどです」と説明する。海外のISICカードは、モバイルタイプが普及している。日本でもアプリとバーチャル学生証の利用は始まっており、さらなるモバイル対応の展開を検討している。
三井住友カード 東京リテール営業部 グループマネージャー 下川亮氏は、「世界ではキャッシュレスが進んでおり、日本でも最近急速に普及しています。学生時代から、キャッシュレスに慣れることは大切です」と話す。今後は、複数の外貨での利用など機能の拡充も検討する。
海外では、ISICの特典サービスを受けるため、事前にオンラインで店のサービスを申請し、プロモーションコードを取得する利用が多いという。オーストラリアでは、割引大手の専門会社と提携、ビジネスとしても成長性が期待されている。アイジック・ジャパンでは国内の有名大学に、ISICカードの学生証としての採用を働きかける一方、春休みや夏休みのタイミングに合わせてプロモーションを展開し、ユーザーの拡大を目指す方針だ。