2019年10月10日8:10
パルコは、2019年10月から、滋賀大学 データサイエンス学部・河本薫ゼミの学生に、名古屋PARCOの顧客のリピートや買い回りを促し、顧客満足度を高めるためのキーとなる要因を、「現場視察~課題・仮説設定~データ分析~レポーティング」によって明らかにするプロセスを学ぶ、半年間のゼミ全15回の実践形式のプログラムに取り組んでもらっている。10月8日には、滋賀大学の学生が名古屋パルコの現場を視察。また、パルコ 執行役 グループデジタル推進室担当 林直孝氏がパルコのデータマーケティングの取り組みについて学生にレクチャーした。
パルコは保持するビッグデータを滋賀大学へ提供
パルコの旗艦店舗である名古屋パルコは、全国の中でも一番規模が大きい施設となる。東・西・南・midiに分かれ、さまざまなサービスやショップが揃っている。パルコでは、 2014年にパルコの公式スマホアプリ「POCKET PARCO」をリリース。2018年にはアプリの強化を行い、5月に店舗内回遊の促進を目的とした「PARCO WALKING COIN」機能、11月にグループの情報を発信する「オウンドメディア機能」、店舗の情報コラムから買い物できる「コマース機能」を導入している。現在、ダウンロード数は約110万件となり、そのうち約半数がクレジットカード「PARCO CARD」等を登録している。
「POCKET PARCO」では、来店前(記事クリップ・ショップクリップ)~来店中(チェックイン・登録カードによる購買)~来店後(サービス評価)の一連の行動分析を行い、 マーケティング施策を実施している。パルコでは、得られたデータからDo(データ&インフラマネジメント)、Analytics(分析)、Planning(コミュニケーションプランニング)、Communication(プランされたコミュニケーションの実現・実行)という、「DAPCサイクル」を回すことで、個客を理解し、サービスの改善につなげている。
今回、パルコは、保持するビッグデータを滋賀大学へ提供し、データサイエンススキルを持った人材の育成に共同で取り組み、そこで得られた知見を、顧客満足度向上、サービスプログラムの改善に役立てる狙いだ。滋賀大学に提供するデータは、購入店舗、来店時間、金額、店舗内回遊時間、「PARCO WALKING COIN」利用など、購買にかかわる情報のみで、個人情報やクレジットカード等に関する情報は共有しないという。
パルコは買い回り増加や離反防止の施策に向けたアイデアに期待
林氏は、「思いもしないようなご提案をいただけるのを期待しています。いい提案は早い時期に取り込んでいきたいです」と話す。今回は、①どうすれば名古屋パルコの複数の店舗を買い回りしてもらえるのか、②アプリをダウンロードして買い物した顧客の離反を防ぐためにはどうすればいいか、という主に2つの点について学生からアイデアを募集する。
パルコにアイデアを提案する河本薫ゼミの学生は全員3年生で、4チームに分かれて、分析を実施。最終目的は「パルコが採用する有効な施策を提案すること」(河本氏)だという。今回の視察を受け、データを触る前に顧客行動の仮説を立てる。その仮説を基にデータで確認し、分析する。途中実施する中間報告では、パルコに分析結果を報告し、軌道修正を行う。それをブラッシュアップして、2020年1月以降に最終報告する流れだ。
アプリのアップデートで「PARCOポイントサービス」「ポケパル払い」を開始
なお、パルコでは、「PARCO CARD」等のハウスカードの売上比率は、全体の約20%となっており、「POCKET PARCO」を中心として、中期的にはデータ捕捉売上を40%まで拡大することを目指している。
2019年10月中には「POCKET PARCO」アプリをアップデートし、「PARCOポイントサービス」の開始を予定する。新サービスでは、①買い物110円(税込)ごとに2ポイント~最大7ポイントがその場で付与、②100コイン=1ポイント(1円相当)に交換して買い物に使える、③コインの有効期限は最大2年間(従来は毎年2月末で失効)、といったサービスに変更される予定だ。
また、同時にキャッシュレス決済「ポケパル払い」を開始する。これにより、本人確認を行ったPARCO CARDの新規入会ユーザーがアプリにより、QRコード決済による即時利用が可能になる。