2020年5月12日8:00
SB C&Sは、このほどキャッシュレス決済導入を検討中の事業者に向けて決済端末および関連サービスをワンストップで提供する新サービス「PayCAS(ペイキャス)」の提供を開始した。同サービスの特徴について話を聞いた。
QR端末「SmartBox」は大手飲食チェーン等に導入
SB C&Sは、コンシューマー、法人向けのITサービスを幅広く展開している。決済領域では、米国・Dynamics Inc.と協業して、通信機能の付いた次世代クレジットカードの提供を目指している。また、中国・Inspiry Technology Limited(以下、Inspiry)と、国内販売総代理店契約を締結し、二次元コードリーダー「SmartBox(スマートボックス)」の国内独占販売を行っている。
すでにSmartBoxについては大手飲食チェーンなど、約500台の納入実績がある。また、ソフトバンクグループの決済処理事業者であるSBペイメントサービス(SBPS)と連携。SBPSは、Vega3000やSUNMI端末を利用した対面向けの決済サービスを展開しているが、SB C&Sでは台場に倉庫を有しており、輸出入の実績もあるため、決済端末の物流面をサポートしている。
決済関連サービスをパッケージ化して提供
ソフトバンクグループでは、スマートフォン決済サービス「PayPay(ペイペイ)」を起点にさまざまなサービスを付加する戦略が1つの柱となっている。SB C&S IoT・サービス事業本部 新規事業推進本部 副本部長 本松晋作氏は「2年前にPayPayが始まったとき、お客様からQR/バーコード端末についての相談を受け、Inspiry社と総代理店契約を結びました。日本ではクレジットや電子マネーのニーズも高く、政府もキャッシュレスを推進しているため、決済のラインアップを増やしています」と説明する。
新たに開始した「PayCAS」では、決済端末に加え、クレジットカード、電子マネー、QR/バーコード決済のネットワーク、決済関連サービスをパッケージ化して提供可能だ。決済代行サービスはSBPS、端末提供では米国・Verifone(ベリフォン)の国内総代理店を務めるべスカと連携。決済処理は、クレジットをべスカ、電子マネーをTFペイメントサービスが担う。また、SmartBoxなど別途端末が必要となるが、SBPSと連携してQR/バーコード決済の提供も可能だ。店舗の決済手数料は3.24%がベースとなり、「店舗の精算業務を一本化できます」と本松氏は特徴を述べる(決済手数料は決済ブランド、業種によって異なる場合あり)。
「PayCAS」でVerifone端末を選定した理由として、べスカのクレジットのゲートウェイの安定性に加え、POS接続による決済連携がスムーズに済む点が大きかったという。特に100店舗前後の中堅加盟店においてメリットがあり、営業活動でもPOS連携の引き合いが増えている。また、無人機を含めた接続が可能な点、世界、特に米国でトップクラスの納入実績を誇る決済端末の品質面も重視した。
POS連携が可能なマルチ決済端末として提案へ
「PayCAS」の営業活動は、ソフトバンクグループと連携して展開。PayPayの営業部隊に加え、SBPSなどが加盟店に提案している。例えば、PayPayでは、QRコードを顧客のスマートフォンで読み取るMPM(Merchant Presented Mode)のステッカータイプ、タブレット、QRコードリーダー単体に加え、POS連携が可能なマルチ決済端末として提案できるようになった。PayPayの中規模加盟店の中にはMPMを採用するケースも見受けられるが、「利用者に操作していただくよりは、POS連携させることで、二度打ちや金額の相違がなくなるメリットもあります」と本松氏は話す。
SB C&Sの「PayCAS」での収益は、端末費用、月額の保守料金を想定している。加盟店にとっては、同社が保守業務を担うことで、サービス提供後の安心感につながるとした。
本松氏は「今後はITに決済が寄っていきますので、今までとは違う決済テクノロジにより日本のキャッシュレス化に貢献していきたいです」と意気込む。中止になった「リテールテックJAPAN2020」では、顔認証決済のデモ展示を予定していたそうだ。キャッシュレス化と無人化、ソーシャルディスタンスなどにより、顧客の購買動向も変化していくため、決済データと加盟店の購買データ、小口のローンを組み合わせてBtoB向けに提供するなど、次世代の決済スタイルも構築していきたいとした。