2016年6月21日9:06
決済端末の電力を利用して、電池レスで動作可能
世界初の指紋センサーを搭載した非接触決済カードとして話題となったノルウェーのZwipe AS(ズワイプ社)。2014年10月にはMasterCardとの提携が発表されている。また、2016年6月20日には、日立ハイテクノロジーズから、ズワイプ社製品の日本国内における販売代理店契約が発表されており、今後は同製品が日本でも注目を集める可能性もある。
2014年にはMasterCardと提携を発表
指紋認証により、PIN入力なく非接触決済が可能
2009年の設立のズワイプ社は、ICカード等への生体認証機能搭載を可能にする研究を行ってきた。指紋センサー搭載のICカードは、ISO規格準拠の標準的なクレジットカードとして利用できる。2014年にはMasterCardとの提携が発表されたが、ノルウェーの金融機関 Sparebanken DIN(Eikaグループ)での試験運用を実施し、今後発行される「Zwipe MasterCardカード」は、高い安全性を確保することができることが確認されたという。
利用者は、EMVコンタクトレスカードを使って従来通り支払いができるだけではなく、指紋認証により本人確認を行うことが可能だ。また、PIN(暗証番号)の入力なく、本人確認が可能だ。Zwipe シニア・ヴァイス・プレジデント セールス&マーケティング Einar Boije氏は、「指紋認証により、所有者本人以外がカードを使ってもアクセプトできません」と説明する。
カード会員の指紋データは、外部のデータベースではなく、直接カードに記録。カードの利用も指紋をスキャンするだけの簡単なものになるそうだ。
バッテリーなしで動作する独自の技術とは?
グローバルでの普及を目指す
また、「zwipeでは、バッテリーなしで動作する独自の技術を採用しています」と、Boije氏は説明する。MasterCard Contactless(旧PayPass)が搭載された非接触決済カードは、NFC技術を使って決済端末から必要なエネルギーを取り込むため、電池レスで動作することができる。少ないエネルギー消費で動作できるカードとして注目を浴びている。
Zwipeでは、カード発行会社などに指紋センサーのテクノロジを提供し、発行会社からイシュアにカードを収める流れとなる。指紋センサーを搭載しているため、コストアップにはなるが、これまでにない付加価値を提供できるカードとして普及を目指す。
Zwipeではグローバルに利用されるカードを目指しているが、「まずはコンタクトレス・テクノロジーを使っている国への提供からスタートすると思います」とBoije氏は口にする。また、カードに加え、モバイルを利用したサービスでも同社の技術を利用できるようにしていきたいということだ。
※取材は2016年5月31日、6月1日にドバイで開催された「Cards & Payments Middle East」で実施。