2022年3月8日8:30
2021年9月、西武渋谷店1階にOMOストア「CHOOSEBASE SHIBUYA」がオープン。オンラインショップも同時に立ち上がった。6カ月ごとに変わる統一テーマに沿って、ネットのみで販売されてきたDtoC商品を店頭に陳列。顧客は実際の商品を見て触れながら、スマホでQRコードを読み込み詳しい商品情報をWeb上で確認。購入は店頭かオンライン、商品受け取りは店頭か配送の都合の良いほうを自由に選択できる。またキャッシュレス決済の環境も整える。これまでの百貨店の常識にとらわれない新しい商品、新しい購買方法の提案によって、ミレニアル世代、Z世代を新しい顧客層として取り込む戦略だ。
現物を見ながらスマホで商品情報を確認
購入・商品受け取り方法を自由に選択
そごう・西武は2021年9月、ROUTE06などとの協業により、西武渋谷店1階にOMOストア「CHOOSEBASE SHIBUYA」をオープン。同時にオンラインショップも立ち上げた。従来の品揃え、販売方法にとらわれない新しさを打ち出し、これまで百貨店に足を運ばなかったミレニアル世代、Z世代を新しい顧客層として取り込むための実験的な売り場と位置付けている。売り場のテーマは6カ月ごとに変更。2022年2月までは「TIME LIMIT」のタイトルのもと、サステナビリティにつながる商品を提案している。
店頭に並んでいる商品のほとんどは、これまでネットだけで販売されてきたDtoC(Direct to Consumer)商品。50以上のブランドの400超のアイテムを陳列している
「CHOOSEBASE SHIBUYA」の店頭に専任の販売員はいない。商品といっしょにブランド名や簡単な説明書きと、QRコードを付けたカードを設置しており、より詳しい情報が知りたいときはスマホでQRコードを読み取って、Web上で確認する仕組みだ。
DtoCに関してはショールーミングを目的とした“売らない”店舗が話題となる中、同店では在庫をストックし、積極的に店頭販売を行っている。「欲しい」と思ったときに即、商品を購入できる体制を整えることで、販売機会を逃さず売上に結び付けることができると、出品者からも好評だ。
もちろん店頭で買わず、自宅などからオンラインショップにアクセスして注文することもできる。ちなみに「CHOOSEBASE SHIBUYA」の売上は2対8でオンラインよりも店頭のほうが多いが、オンラインの2割という数字は、従来の百貨店事業と比較するとかなり高い比率である。
購入商品の受け取りは、店頭か配送かのいずれかを選択できる。配送も同店が一括して行うので、複数ブランドの商品を購入した場合でも送料は1回分、全国一律550円で済む。
決済方法はキャッシュレスを推奨。店頭ではクレジットカード(Visa、Mastercard、AMERICAN EXPRESS、JCB)とQRコード決済(PayPay、LINE Pay、楽天ペイ)が、オンラインショップではクレジットカードとAmazon Pay、Apple Payが利用できる。
また店内には常設コーナーとして、オーダーメイドのビジネスウェアブランド「FABRIC TOKYO」と、完全キャッシュレスの「TAILORED CAFE」が出店している。
AIカメラが来店客の年齢・性別を判別
購入されなかった商品の情報もわかる
「CHOOSEBASE SHIBUYA」の店内には20台のAIカメラが設置されており、来店客の年齢・性別を自動的に判別。スタート当初は西武渋谷店の中心顧客層である40~50代女性がふらりと立ち寄るケースも多かったが、Instagramなどで話題になるにつれ写真を撮影してSNSに投稿することを目的とする若年層が増え、現在は20代女性の来店が最も多い。
また一方で、商品情報にアクセスするためのQRコードが読み込まれた件数をカウントしており、この情報とAIカメラの情報をかけ合わせて分析。商品にどのような人が興味を持ったのか、興味を持ったものの購入に至らなかったケースがどのぐらいあったのかなどの情報を、同社で活用するほか、出品者にもフィードバックしている。「通常リアル店舗での販売では売上情報しかとれませんが、買わなかった人の情報までわかると喜ばれています」(そごう・西武広報・CI担当 佐藤宏一氏)。テーマに沿った売り場づくりがなされているため商品のブランド価値が損なわれないこと、販売員を手配する必要がないことも好評で、出品を希望する企業は多い。
「CHOOSEBASE SHIBUYA」は西武渋谷店での成果を踏まえ、今後は西武池袋本店、そごう横浜店での展開も検討していくという。
カード決済&セキュリティの強化書2022より