2022年8月24日7:10
ジェーシービー(JCB)、JP GAMESと富士通は、メタバースやゲーム世界におけるデジタルデータの安全な流通・販売に向けた共同プロジェクトを2022年8月23日から1年間実施すると発表した。
同共同プロジェクトにおいて3社は、デジタルデータの発行や所有などの権利管理の明確化を、デジタル署名技術「ハッシュチェーン型集約署名」の応用によって実現するモデルをつくり、検証するそうだ。
メタバースを含むWeb3においては、 複製が容易なデジタルデータの権利関係を明確にできるNFTのさまざまなサービスへの活用が見込まれている。NFTは、現状では、投資・投機目的の利用が注目されていることや、取り扱いに関する一定の法律が存在しないことなどから、利用に対してハードルを感じている個人や企業も存在しているとした。そのため、 Web3において、簡易的にデジタルデータの権利関係を明確化する新たなソリューションへの期待も高まっているそうだ。
3社はデジタルデータの権利関係が明確化され、誰もが安全・安心に活用できるモデルの実現に向けた共同プロジェクトを2022年8月23日より1年間実施するという。同共同プロジェクトで検証するモデルは、JCB、JP GAMESが共同で提供するメタバース基盤に、 富士通独自のデジタル署名技術を組み合わせて構築し、以下の4点を検討していく。
1つ目は、メタバースやゲーム世界で発行されたデジタルデータに対し、デジタル署名を発行・検証可能とする「デジタル登記所」に関するビジネスモデルだ。2つ目は、JCBの提供する本人確認機能および決済機能と連携し、取引で発生し得る不利益からユーザーを保護する技術だ。3つ目は、富士通独自のデジタル署名技術を用いた、未成年や高齢者なども安全・安心に利用できる機能の実装となる。4つ目は、将来的に、既存のNFT市場などとの接続を可能とするインターオペラビリティ確保となっている。なお、 同モデルは、 JCBにてビジネスモデル特許として出願済みだという。
各社の役割として、JCBが日本発唯一の国際ブランドの運営により培ったソリューションや知見を活用し、保有する決済基盤・ID認証基盤に基づいた決済機能・トラスト情報の提供、および取引の信頼性確保に関する新たなサービスモデルの提供となる。JP GAMESがメタバース空間構築技術フレーム「PEGASUS WORLD KIT」で構築するマルチバース、 およびリアルとバーチャル間を越境するユーザーの情報を持ち運ぶパスポートをJCBと共同で開発する。富士通がデジタルデータの権利情報を明確にするデジタル署名技術「ハッシュチェーン型集約署名」および、 ID認証基盤やサービスと連携して本人確認を効率化する透過的トラスト技術の提供となる。
同共同プロジェクトにおいて検討するモデルは、 JP GAMESが開発中のコンソールゲームにも活用予定だ。また、同モデルは、メタバースにおけるデジタルデータの権利関係だけでなく、取引やデジタルデータそのものの信頼性の担保、公証性・監査性の付加を実現することを可能としている。3社は、同共同プロジェクトを通じ、多様な参画者が関与する取引やデータのトレーサビリティへの活用などを視野に入れ、多くの個人や企業が安全・安心に取引を行える社会の実現を目指す。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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