東武グループの共通ポイント「TOBU POINT」、沿線の乗車や買い物で一番便利でお得なサービスを目指す

2023年6月30日8:00

東武グループの共通ポイント「TOBU POINT(トブポ)」は、東武線沿線で一番お得で便利なポイントサービスを目指している。グループ施設の利用でポイントが貯まるほか、TOBU POINTに登録したPASMOで東武線に乗車すると「トブポマイル」が貯まるのが特徴だ。TOBU POINT会員数は当初の想定以上のペースで伸びており、東武鉄道では、ポイントを活用した販促やTOBU POINT会員の属性・購買・移動データを生かしたCRMにも力を入れる。

東武鉄道 グループ事業本部 グループ事業統括部 課長 直井崇嘉氏、同部 マネージャー 柿本勝史氏

アプリや登録済みPASMOでポイントを付与
利用に応じて6つのランクを用意

東武グループのポイントサービスの歴史は、2004年に東武カード利用によるグループ共通ポイントサービスとして「東武グループポイントサービス」を導入した。東武百貨店に加え、東武動物公園などのレジャー施設、東武ホテルといった宿泊施設でもポイントが貯まる環境を早い段階で整えている。2011年には、PASMOと一体となった「東京スカイツリーⓇ東武カードPASMO」を発行し、鉄道と連携して定期券の購入やPASMOのオートチャージでもポイントが貯まる仕組みを導入した。さらに、店舗や施設での取り扱いを拡大しながら、沿線の生活者を主なターゲットにサービスを広げてきた。

「東京スカイツリーⓇ東武カードPASMO」

2020年11月には、ポイントサービスをリニューアルし、アプリを活用した新たなグループ共通ポイントサービス「TOBU POINT」を開始した。従来はクレジットカードのポイントのためカード保有者以外は利用できなかったが、リニューアルを機に、アプリやアプリ登録済PASMOでもポイントを貯められる環境を整えた。

TOBU POINTは、グループ施設での利用で貯まる(施設により付与割合は異なり、0.5%~10%)。貯まったポイントは、グループ施設(一部除外あり)やオンラインモール「TOBU MALL」で1ポイント=1円から利用可能だ。TOBU POINTの利用は当初、東武百貨店や東京ソラマチなどに偏っていたが、2022年11月に東武ストア、2023年3月からTOBU MALLで利用可能になったほか、レジャー施設でも環境が整備され利便性が向上した。東武線は東京、千葉、埼玉、栃木、群馬の1都4県とエリアが広く、沿線内で近隣にポイントを使える施設がない人もいるが、TOBU MALLが加わったことで、Webでも便利に利用してもらえるようになった。

2021年10月からは、TOBU POINTに登録した PASMO で東武線に乗車するとマイルが貯まる「トブポマイル」を開始。モバイル PASMOやApple Pay のPASMOで東武線に乗車すると東武線ご利用金額の3%がマイルとして貯まる「おでかけマイル」、同一月内に東武線の同一金額区間を8回以上乗車すると、乗車回数に応じて4%~12%のマイルが貯まる「リピートマイル」の2つで構成されており、貯まったトブポマイルは「TOBU POINT」に交換するか、1マイル=1円としてPASMOにチャージ出来る。TOBU POINTへ交換する場合、ポイントが 10%相当上乗せされる特典もある。

さらに、毎年1月1日~12月31日のTOBU POINT加盟店での年間利用金額に応じて、6つの会員ランクを設置。会員ランクに応じてさまざまな特典を用意している。上位ランクほど高い特典を設定し、ランク向上のモチベーション高揚に努めている。

「TOBU POINT」のキャラクター「トブタン」

アプリのダウンロード数は45万を突破
トブポマイル開始で男性会員が増加

東武鉄道がTOBU POINTを開始した経緯として、東武カード会員は重要なグループの顧客基盤となっているが、特に若い世代の取り込みに苦労していたことが挙げられる。東武鉄道 グループ事業本部 グループ事業統括部 課長 直井崇嘉氏は「会員の高齢化が課題で、50代以上の方が8割を占めており、10年、20年先を見据えたときにデータを利活用しお客様へサービス提供する際の若返りが必須だった」と話す。

TOBU POINTアプリのダウンロード数は2022年度末で約45万ダウンロードを突破。直井氏は「当初の目標は2022年度末に30万ダウンロードだったが、期中で達成が確実となったため目標を40万に上方修正したが、それも突破した」と成果を述べる。また、リニューアル直後では女性会員が8割を占めていたが、鉄道乗車のトブポマイルを開始したことで、鉄道を利用する男性会員が増加し、「現在は女性が6割、男性が4割の比率となった」と直井氏は話す。

「TOBU POINTアプリ」

TOBU POINTユーザーは、40代以下が過半数を占め、8割強が50代以下だ。特に男性の若い世代を鉄道乗車で貯まるトブポマイルで獲得できている。また、60代以上の利用も想定以上に多い。東武カードを保有する人が多いため、TOBU POINTアプリと紐づけてもらうことでより購買単価が高まるという。現状、アプリ会員で東武カードを紐づけている人は約3割だが、「カードをご利用いただければ最もお得にポイントをためて頂けるので、さらに紐づけを促進していきたい」(直井氏)とした。

なお、2023年3月に20~30万ダウンロードのあった東武線の運行情報を提供する「東武線アプリ」をTOBU POINTアプリに統合したため、ダウンロード数の伸びにつながっている。東武線アプリは、通勤、通学で利用する人が多かったため、鉄道乗車でマイルが貯まるトブポマイルの利用促進にもつながっている。

TOBU POINTで施設に送客
乗車と購買データ活用した販促が可能に

TOBU POINTは、グループ内で還流するポイントであるため、販促施策に有効活用できる。東武グループでは、流通、ホテル、レジャーなど多岐に渡る事業を展開しているが、「鉄道乗車と施設利用によるポイント付与を組み合わせることにより、単価を高めることはもちろん、さまざまなグループの施設で使っていただく相互送客効果を図っている」と同部 マネージャー 柿本勝史氏は話す。

例えば、東京ソラマチが実施している毎月「5のつく日」や、「スペシャルサンクス」開催日に、TOBU POINTに登録したPASMOで東武線に乗車して東京ソラマチに来店し、各店舗で合計税込2,000円以上購入すると、東武線ご利用金額の50%分のトブポマイルが貯まる施策を実施しているが、これにより東武線の広域から集客でき、店舗での利用が高まったそうだ。

会員属性や商品に沿ったクーポンで高い購読・反応率
主要共通ポイントと比べてもアクティブ会員は多い?

東武カードでは顧客との接点がハガキによるDM配信に限られていたが、アプリを活用することで、デジタルにリーチできることになったという。

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