2023年7月20日8:00
2025年4月に開幕する「大阪・関西万博」では、国際博覧会としては初めて、現金の取り扱いを行わない本格的なキャッシュレス決済を導入する。世界各国からの来場者の利便性に配慮し、クレジットカード、IC型および QR 型の電子マネー、合わせて約60種類以上の決済手段に対応する予定。加えて、スマートフォンを使って誰でも参加できる「EXPO 2025 デジタルウォレット」サービスを展開し、独自のポイントおよび電子マネーを通じて、会期前から「大阪・関西万博」への機運醸成を図る。「大阪・関西万博」を日本のキャッシュレス決済推進のための実験場と位置付け、幅広く協賛企業を募り、オールジャパンで取り組みを進め、結果を残したい考えだ。
多彩な決済ブランドを取り揃え
サポート手段としてプリペイドにも対応
2025年4月13日 か ら 10 月 13 日ま で の184 日間、大阪市此花区の夢洲(ゆめしま)で開催される「大阪・関西万博」では、国際博覧会としては初の試みとして、本格的なキャッシュレス決済を導入する。日本全国のみならず世界各国から会期中2,820万人の来場が見込まれている「大阪・関西万博」を、日本のキャッシュレス決済推進のための大がかりな実証実験の場と位置付ける。オールジャパンで取り組み、将来につながる成果を残せるよう、目下、金融業をはじめ、幅広く協賛企業を募集中だ。
「大阪・関西万博」の会場内では現金の取り扱いを行わない。代わりに、国際クレジットカードブランドの Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club はもちろん、銀聯カードへの対応も視野に。さらには、交通系をはじめとする IC 型電子マネー、国内ブランドにとどまらず WeChat Pay や Alipay などアジア地域で主流のブランドを含めた QR型電子マネーを合わせて、総計約60種類のキャッシュレス決済手段を導入する予定だ。それでも要望に応じきれない外国人客や、修学旅行で訪れる未成年客向けには、プリペイドカードの販売などでサポートすることを検討している。これに加えて、「大阪・関西万博」独自の電子マネー、ポイントも運用する。
これらキャッシュレス決済システムの構築・運用は、三井住友銀行、りそな銀行、SBIホールディングス、三菱UFJ銀行の4事業者からなるコンソーシアムが担うことがすでに決まっている。「大阪・関西万博」に出店する店舗には、多様なキャッシュレス決済手段に対応する端末が無償で供与されることになっている。
「EXPO 2025 デジタルウォレット」
専用アプリを2023年度中にリリース
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が独自に展開する決済サービスは、「EXPO 2025 デジタルウォレット」の名称。サーバー管理型、ブロックチェーンの Web2、Web3双方の管理手法を用いたデュアル方式のウォレットアプリを介して、スマホを使って誰もが利用することができる。ただしこのアプリをダウンロードできる地域は、いまのところ日本国内に限られている。
「EXPO 2025 デジタルウォレット」で提供される金融サービスは、大きく独自ポイントと独自電子マネーの2つ。この2つの利用状況によってステータスが決まり、それに応じて「大阪・関西万博」にちなんだ独自の NFTがプレゼントされる仕組みとしている。
独自ポイント、独自電子マネーとも、現時点で具体的な運用方法が固まっているわけではなく、今後どのような企業とどのような協力体制を築けるかによって方向性が定まっていくことになる。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 企画局 参事 谷川淑子氏は、同協会としての意向を、「ポイントは『大阪・関西万博』への機運醸成を図るツールであり、電子マネーはお買物に使える金銭的価値のあるものとして区別をし、入り口の整理をしました」と説明する。ポイントはたとえば「大阪・関西万博」が掲げる目標の1つであるSDGs関連イベントへの参加などで貯まり、「大阪・関西万博」の入場券やオリジナルグッズとの引き換え、会場内でのサービス利用に使えるといったイメージ。電子マネーは銀行口座、クレジットカード、協賛企業が発行するポイントなどからチャージでき、会場内はもちろん、会場外でも便利に日常使いできるものになることを目指している。
「EXPO 2025 デジタルウォレット」専用アプリは、「大阪・関西万博」公式アプリとは別建てで設計し、2023年度中のリリースを予定している。まず基本的な機能から提供を開始し、随時、機能を追加していく方針だ。
谷川氏は「会期前からポイントを集めて『大阪・関西万博』への理解を深めていただいた上で、会場でキャッシュレス決済の快適さを存分に体験していただく。キャッシュレス決済の提供側である企業には、『大阪・関西万博』を、新たな課題を洗い出し、解決につなげる契機にしていただく。『大阪・関西万博』がそのような良い機会になることを願っています」と語った。