2023年8月2日8:30
近年話題の仮想空間「メタバース」は、Facebookが社名をMetaに変更しメタバース事業への注力を宣言したこともあり、急速に注目が集まっている。ゲームやアニメ、音楽などのエンタメ体験にとどまらず、接客や試着を通じてECにつなげる「メタコマース」を導入する企業も目立ち始めた。ただ物販の場合、決済方法が重要課題となっているようだ。
通販研究所 渡辺友絵
記事のポイント!
①メタバース市場は年々拡大?
②メタコマース台頭の背景
③ビームスや大丸松坂屋などが取り組む
④独自のメタバース空間を構築した企業も
⑤QVCジャパンはメタバースを簡易に体験
⑥決済はメタバース外のECサイト遷移が主流に
⑦柔軟な決済システムの構築がカギに
■メタバース市場は年々拡大の予測
バーチャルな世界を体験できるメタバースは、リアルの世界では味わえないさまざまなメリットを生み出せるため、ビジネスチャンスの創出や経済活動の発展につながると言われている。
三菱総合研究所が2022年11月に発表した調査リポートによると、メタバースの国内市場は2025年に約4兆円、2030年には約24兆円まで拡大するという。
また、総務省の「2022年情報通信に関する現状報告の概要」では、2021年に4兆2,640億円だった世界市場は2030年に78兆8,705億円にまで成長すると予想。メディアやエンターテインメントだけでなく、教育、小売りなどさまざまな分野での活用が期待されている。
■「バーチャルマーケット」が参入のきっかけに?
メタバースの活性化に伴い、ECとのシナジーにも注目が集まる。仮想空間に店舗などの顧客接点を設け、ブランド告知や接客、試着などを通じて商品販売につなげる「メタコマース」がそうだ。来訪者がアバターとしてバーチャル店舗で歩き回り、ショッピングを体験する。
メタコマース台頭の背景にあるのが、HIKKY社が2018年に始めた「バーチャルマーケット」の存在といえよう。VRアプリ「VR Chat」のメタバース上に作られた特設会場で、3Dデータ商品や洋服、食品などを購入できる世界最大級のVRイベントだ。
世界中から100万人以上が来訪し、2021年にはギネス世界記録にも認定されている。年2回の開催で、2022年12月のバーチャルマーケットには約70社、540サークルが出展した。
2023年7月に開催された「バーチャルマーケット」で6回目の参加となったビームスは、社を挙げてメタコマースに注力。今回はビーチエリアにウォータースライダーやプール、フォトブースなどリゾート感あふれる店舗を設け、バーチャルならではのさまざまな体験を楽しめるようにした。
ほぼ全ての商品を、アバター用やリアル着用として提供。試着コーナーや、来場者のアバターがファッションモデルになって歩けるランウェイも用意した。開催期間中には原宿店にバーチャル接客拠点を設け、リアル店舗とバーチャル店舗をつないだ。
やはり6回目の参加となった大丸松坂屋百貨店も毎回仮想店舗を設け、これまでにグルメや家具、アート作品などを紹介。来訪者は自由に店内を巡って商品を確認でき、気になる商品の「BUY」ボタンをクリックすると同社ECサイトに遷移して購入できる。
■独自空間を構築して展開する企業も
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