2023年9月4日15:30
宇和島自動車は、KDDIと連携し、宇和島自動車が運行する路線バスにおいて 2023年9月1日からスマートフォン1つでスムーズなバスの乗降車が可能になるキャッシュレスサービスの提供を開始した。同サービスにより、地域住民の日常生活や観光客の移動を支える地域交通機関の利便性向上と利用促進を図る。
交通系ICカードはキャッシュレス化の有効な手段である一方、利用者減少等により特に厳しい経営環境にある地方部においては、導入・維持コスト負担が大きく、地域の足として住民の暮らしを支える交通事業者が導入に踏み切りにくい背景があるという。
宇和島自動車においても同様の背景によりキャッシュレス化が進んでおらず、バス利用は現金払いが基本となっていた。一方で、小銭を持ち合わせていない場合、その都度両替が必要になるなど手間がかかることから、利用者からはキャッシュレス化を求める声が多く上がっていた。地域でもチャレンジできるキャッシュレス化システムを目指し、2022年度に愛媛県主導で同サービスの実証実験を実施してきた。その結果を踏まえ、今年度より継続的な提供を実施する運びとなった。
松山線(城辺・宇和島~松山・道後線)では、営業所窓口やバス車内等に設置したNFCタグに利用者のスマートフォンをかざす、または QR コードを読み込むことでキャッシュレス決済を実現する仕組みを用い、現金が不要となる移動体験を実現するそうだ。
同仕組みを用いることで、交通事業者は交通系 IC カードよりも安価にキャッシュレス化を実現することができ、利用者の利便性向上につながるという。
さらに、今回は大阪線高速バスを除く、宇和島自動車が運行する全ての路線で利用できるフリーパスの購入・利用機能も具備し、地域住民・観光客双方に向けた地域交通の利便性向上に取り組むそうだ。
なお、利用開始に必要なのは、スマートフォンでの Apple IDまたはGoogle アカウントによるサインインと、決済方法 (クレジットカード) の登録のみとなる。アプリのダウンロードやその他の個人情報の入力は不要で、利用を開始できる。
同仕組みは、利用者はバスの乗降時に、車内設置の NFC タグにスマートフォンをかざすと、バスの位置情報とスマートフォンの情報がクラウドシステム上で連携し、乗車バス停、降車バス停を推定する。乗降バス停情報から区間運賃を計算し、登録されたクレジットカードから運賃が引き落とされる。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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