2024年2月29日8:30
複雑化する経営課題を構想段階から実装まで支援・解決できるパートナーが求められる中で、NTTデータは顧客の経営テーマを解決するために戦略検討から実行までのトータル提供を行うサービスインテグレーションを強化している。決済サービスを手段の1つとして提供するだけではなく、新たな商品企画も含めた顧客価値の提供を目指す。国庫金納付のキャッシュレス化を実現したサービスインテグレーションのKOKO PASSや、ショッピングセンター向けのデジタルバックオフィスなどの提供事例が増えている。(決済・金融・流通サービスの強化書2024【PR】)
複雑化・高度化する経営課題に対し、
戦略検討から実行までをトータル提供
NTTデータが、サービスインテグレーションに取り組むようになった転換点は、これまでのキャッシュレス決済システムを提供するだけのビジネスモデルでは、顧客の期待に応えられないと限界を感じたからだった。激しい事業環境の変化に伴って、NTTデータに寄せられる期待は大きく変わっている。顧客の課題は複雑化・高度化し、単一のサービス提供では解決できなくなっている。戦略策定・サービス企画・オペレーションまでend to endで支援できる事業者が求められている。
NTTデータ カード&ペイメント事業部 課長 薄井勇輝氏は「これまでは具体的なご相談をいただき、フィットするサービスを提供することで課題解決ができていました。例えば、店舗をキャッシュレス化したいとか、顧客情報把握のため、ポイント会員制度を始めたいなどといったご相談です。一方、最近のご相談はCX(カスタマーエクスペリエンス)を向上したい、売上拡大するためには購買チャネルをどのように整備したらよいか、などといった大きなテーマをいただき、進むべき方向性から一緒に検討させていただくことが多くなっています。単一のサービス提供では解決できない大きな課題に対して、様々なサービス、プレイヤーを繋ぐことで解決を目指す取り組みがサービスインテグレーションです」と説明する。
サービスインテグレーション(図1)とは、戦略策定から実行までを支援する多岐にわたる取り組みだ。戦略策定では課題仮説・検証、新規事業検討、業務プロセス分析などを行い、サービス提供では決済サービスをはじめとしてデータ基盤、AIなどNTTデータの強みを活かしながら戦略実行に最適な仕組みをトータル提供する。顧客業務も最適化した上で、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)なども行う。薄井氏は「お客様の経営課題を解決するために、戦略から実行まで一気通貫で支援することが重要であり、そこがNTTデータの強みでもあります」と語る。結果的に決済サービス提供による顧客課題の解決になったとしても、その前後にある課題についても一緒に考え、プロセスを再構築しながら業務とITを合わせて提供することで高い付加価値を提供できるという。
「サービス提供は手段の一つであり、目的はお客様事業への貢献です。提供するサービスの前後のプロセスにおいて非効率な部分が発見された時、必要に応じて、NTTデータがその部分を巻き取って、効率化の提案をするなど、オペレーションの部分まで広くお手伝いさせていただいています」と話し、end to endのサービスインテグレーションに関する実例を紹介した。
国庫金納付のキャッシュレス化を実現
サービスインテグレーションKOKO PASS
実際に顧客への提供が始まっているサービスインテグレーションの事例(図2)として、国庫金キャッシュレスサービスのKOKO PASS(ココパス)が挙げられる。薄井氏は「国庫納付する行政機関への手数料は、収入印紙等のアナログな手段で処理されていました。キャッシュレス化するためには、省庁ごとの異なるニーズや国庫納付に関わるルールへの対応が不可欠でした。そこで、省庁が共通利用できるキャッシュレス基盤サービスを開発しました」と提供の背景を述べる。
2021年6月24日から、提供を開始した中央省庁向けの国庫金キャッシュレスサービスKOKO PASSは、国庫金窓口納付処理に必要な複数の関係システムとの連携など、中央省庁固有の会計処理に対応することで、窓口申請でクレジットカードや電子マネー等による決済を可能とする国内初のサービスだ。各省庁がこのサービスを利用することで、個人や法人の国庫金納付の申請者は、これまでのように窓口に現金を持ち込まず納付できるうえ、現金納付で必要だった収入印紙の購入が不要となる。また、オンライン申請においても、クレジットカード番号等の入力のみで決済が可能となるため、利便性の大幅な向上につながる。
社会全体でキャッシュレス決済の普及が進む中、中央省庁の国庫金窓口納付申請においては、個人や法人の申請者が現金で手数料分の収入印紙等を購入し、申請書に印紙を貼付し提出する必要がある。国庫金の窓口納付申請においてもキャッシュレス化が求められる一方で、その実現にはさまざまな課題があり、導入の障壁となっていた。中央省庁におけるキャッシュレス決済導入には、歳入金電子納付システムや官庁会計システムおよび金融機関と官公庁を結ぶネットワーク等の複数の関連するシステムの連携や、各省庁の会計処理に応じた運用設計など、高いハードルがあった。また、中央省庁が定める、高いセキュリティーレベルが確保されたシステムが求められることもあるほか、国民の利便性向上のため複数のキャッシュレス決済に対応するには、クレジットカード会社、電子マネー事業者および金融機関等、多岐にわたる関係事業者との調整・契約が発生することも障壁となった。
これらの課題をクリアし、各省庁、金融機関および決済事業者等の業界を超えた関係者との連携を、円滑かつ迅速に実現するのが、NTTデータの国庫金キャッシュレスサービスKOKO PASSだ。このサービスは、各省庁が共通して利用できるように、NTTデータがキャッシュレス決済に必要な機能をクラウドサービスとして提供し、かつ付随して必要となる関係事業者との調整・契約等も一括して代行するトータルサービスとなる。各省庁はこのサービスを採用することにより、短期間かつ最小限のコストで、国庫金のキャッシュレス決済を実現できる。さらに、このサービス導入後は窓口申請におけるキャッシュレス化だけでなく、オンライン申請時においてのクレジットカード決済も可能となる。
パスポートの更新でもキャッシュレス実現
さらに他省庁へも拡大へ
国庫金キャッシュレスサービスは、省庁の窓口およびオンライン申請のキャッシュレス化を実現するトータルサービスで、その特徴としては、省庁共通サービスを高信頼・高可用性クラウドサービス上に実現したことがある。具体的には、キャッシュレス対応において各省庁で共通して必要となる窓口決済、オンライン決済および国庫金納付等のサービスは、セキュリティーが確保されたNTTデータの公共機関向けクラウド基盤「OpenCanvas for Government」上で提供する。これにより、各省庁の管理レベルに準じた決済情報等の管理を可能にするとともに、短期間・低コストでキャッシュレス化を実現する。
もう1つの特徴は、各省庁個別の業務要件に柔軟に対応できることだ。取り扱う手続きの内容や、行政サービスの対価である手数料額は各省庁で異なるため、それぞれに適した決済手段やシステム連携が求められる。このサービスでは、省庁共通サービスの提供に加え、各省庁の窓口業務に合わせたシステム運用設計、地方公金対応やスマホ決済対応等、各省庁個別の要件にも柔軟に対応する。そして、決済代行、決済手数料清算、立替納付および決済端末提供等を含めてトータルで提供できることも強みだ。クレジットカード・電子マネーなどの各種キャッシュレス決済に対応する際に必要となる、各決済事業者との個別調整・契約、決済手数料清算および立替納付(各省庁から委託を受け国庫に納付)といった業務をNTTデータが包括して実施する。また、その他必要となる決済端末提供、基盤運用・監視およびヘルプデスク等のキャッシュレス決済導入に付随する各種サービスについても提供する。
すでに、国内38都道府県および全在外公館において、旅券(パスポート)の更新などの手続きに関する手数料をキャッシュレス決済することが可能になっている。今後については、各省庁にこのサービスを順次提案することにより、国庫金決済のキャッシュレス化推進への貢献を目指す。さらに今後、申請者および省庁職員の負担をより軽減するために、窓口におけるセルフレジ、自動証明書発行機の導入等についても実現を目指す。薄井氏は「NTTデータは決済サービス提供以外にも、公共・金融・法人分野において大規模なシステム提供実績とノウハウを有しています。KOKO PASSはNTTデータの強みを活かし、公共分野の担当と連携しながら開発しました。さまざまな官公庁がキャッシュレス化をしたい時に、官公庁共通の機能は標準機能として搭載し、個別の要件はカスタマイズしながら作り込むことができるので、他省庁や地方自治体などへの展開を進めています」と話す。
もう1つの事例は、ショッピングセンター向けのデジタルバックオフィスだ。ショッピングセンター運営において、消費者・テナントとのコミュニケーション等の付加価値の高い業務を行うため、バックオフィス業務の効率化が急務だった。一方で、多様な決済手段を導入した結果、利便性が高まったものの精算業務の負荷が高まっていた。そこで、ショッピングセンター(SC)のバックオフィス業務をデジタル化してBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を提供するサービスインテグレーションを生み出した。このサービスは、すでにJR東海グループに対して提供している。NTTデータは、キャッシュレス基盤の提供と、SC業務のBPO、デジタル化による徹底した効率化を伴走した。
店舗・ECすべての決済を一元管理
「Omni Payment Gateway」の強みは?
NTTデータの強みであるキャッシュレス決済機能をベースにして、新たな顧客価値を生み出すプラットフォーム「Omni Payment Gateway」(図3)は、サービスインテグレーションを展開する上で強力な武器となる。チャネル統合型の次世代決済代行ソリューションで、利用者へのシームレスな購買体験、および加盟店への業務負荷軽減やデータ活用推進などCX(カスタマーエクスペリエンス)、EX(エンプロイーエクスペリエンス)双方の価値向上を実現する。店舗等での対面決済とオンライン決済に幅広く対応する決済機能の提供はもちろんのこと、店舗とECを跨いだ取引へ対応する機能なども順次提供していく。申し込みや問い合わせ等のデジタル化や、決済データの集約化・可視化により加盟店の目指す快適な購買体験の提供を支援する。
「Omni Payment Gateway」は、2022年4月のサービス開始以降、すでに官公庁や流通企業などでの導入が進んでおり、ネット上とネット以外のリアル店舗などの垣根を超えたマーケティングであるOMO(オンラインとオフラインの統合)や業務DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に貢献している。薄井氏は「これまでは、ネットとリアルの決済のゲートウェイが分かれて導入されているケースが多く、消費者の都合に合わせて、好きな時に、好きな場所・手段でショッピングができるOMOの世界観を実現するには障壁となっていました。Omni Payment Gatewayの提供は始まっていますが、今後私たちが取り組まなくてはいけないことは、決済のインフラを提供するだけではなく、お客様の業務を一部BPOで受け取ることも含め、決済とプラスアルファで付加価値を提供することです。このゲートウェイを自分たちで機能として作り込んでいくケースもあれば、外部の良いサービスとつなぐことで、シームレスでストレスのないキャッシュレスや経営テーマを解決できるインフラに育てたいです。NTTデータはCAFISをはじめとした決済サービスを提供していますが、今後は、さまざまな経営課題に関する良き相談相手としてのさらなる認知を高めていきたいです」と話している。
お問い合わせ先
株式会社NTT データ
ペイメント事業本部
カード&ペイメント事業部
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