2024年4月12日8:30
ソニー銀行は、Polygon LabsおよびSettleMint NVと、Polygon PoS上でステーブルコインの発行を目指し、実証実験の検討を開始したと発表した。同社がステーブルコインやweb3に注目する理由、決済領域での活用の期待、web3エンターテイメント領域向けアプリ「Sony Bank CONNECT」との連携などについて説明してもらった。
池谷貴
今までにない体験の金融機能の提供を目指す
ライブイベントやアプリなど、NFT活用にも注力
ソニー銀行では、デジタル証券を皮切りに“ソニーグループの銀行”として、社会・顧客の課題解決を通じ、統合的な企業価値を向上させるためにBorderless Digital Banking for more “Fun”を掲げ、エンターテイメントを軸とした「今までにない体験の金融機能の提供」を目指して活動している。
これまでの発表として、2023年7月に、ブロックチェーンを活用したマンションローン債権などを裏付け資産とした、優先受益権で運用されるデジタル証券の取り扱いを開始。2024年2月には、音楽イベント「デジタル看板 スナックJUJU東京ドーム店」でデジタルコンテンツ(NFT:Non-Fungible Token)を配布した。2024年3月には、web3エンターテイメント領域向けアプリ「Sony Bank CONNECT」を今夏にリリースする予定と発表。 SNFTが運営するサービス「SNFT」との接続により、SNFTで保有しているNFTを表示し、利用できる機能を提供する。また、デジタル証券の第二号案件(米ドル建てグリーンファイナンスセキュリティトークン)の募集受付を開始し、購入者限定のNFT配布キャンペーンを実施している。
ステーブルコイン発行に向け法的整理や要件定義
安心・安全で利便性の高い利活用に向け検証
今回の実証実験では、ソニー銀行がステーブルコインの発行に向けた法的整理や要件定義を実施する。また、ブロックチェーンに「Polygon PoS」を採用し、ブロックチェーン関連の開発実績を持つSettleMintが実証実験の基盤の開発・構築を担うそうだ。
同実証実験により、ソニー銀行はステーブルコインの発行・償還・流通による技術的・法的な課題点を抽出し、今後のステーブルコインの普及および、web3時代における安心安全なクリエイター・ファン層で構成される経済圏での利活用の拡大に向けた検討に継続して取り組むという。
ソニー銀行では、「ステーブルコインは大きな流通量を誇る市場に成長している一方で、ブロックチェーンになじみのないかたにとっては接する機会の無い決済手段となっています。また、一部のステーブルコインプロジェクトの価格崩壊が発生するなど、多くの問題・課題が残る領域でもあります。そのような背景がある中で、日本においては昨年度、資金決済法が改正され、電子決済手段としてステーブルコインが明確に定義づけされ、多くの企業や金融機関が参入可能な素地が世界に先駆けて形成されています。当社では、web3のエンターテイメント領域への拡大に向けた1つの取り組みとして、安心・安全で利便性の高いステーブルコインの利活用の拡大が必要と考え、今回の取り組みを開始することを決定しました」と説明する。
ステーブルコインの活用領域としては、ソニーグループ内でのシナジーの有効活用を主軸におきつつ、エンタメIP(ゲーム・音楽・映画)との連携や、日常生活におけるさまざまなユースケースの拡大が期待できるとした。
今回の実証実験では、ブロックチェーンの技術を用いたステーブルコインの発行・償還・流通のしくみの構築および検証の実施に加えて、本人確認などの観点でゼロ知識証明という技術を活用することも検討している。ソニー銀行では「ゼロ知識証明を活用することで、個人の情報を相手に明かすこと無く、必要な本人証明が可能となるため、ある一定以上の匿名性は担保しつつ、個人情報・本人確認を取り巻く背景や課題に対する解決策として、新たな安心・安全なサービスを提供できる可能性を秘めていると考えており、今回の実証実験での検討を予定しています」とした。
Polygon Labsと連携した3つの理由
決済活用も期待?「Sony Bank CONNECT」との連携も
ソニー銀行によると、今回、Polygon Labsと連携した理由は3つあるという。
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