2024年4月18日7:30
大日本印刷(DNP)は、循環型社会の実現に向けて、非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分全体をリサイクルPVC(ポリ塩化ビニル)で製造することを可能にしたと発表した。同製品の販売を2024年4月に開始する。
DNPは、国内製造シェアでトップを獲得しているICカードについて、環境に配慮した原材料の使用などを進めており、その一環で2021年には、リサイクルPVCを一部に使用した非接触対応ICクレジットカードの製造を開始した。PVCは世界的に最も一般的に使われているカード基材であり、リサイクルPVCのCO₂排出量削減効果も比較的高いため、今回、リサイクル材の使用比率を極限まで高めた非接触対応ICクレジットカードを環境に配慮した製品のラインアップに追加した。DNPは同製品の提供により、プラスチックの一層のリサイクル推進やCO₂排出量の削減を実現し、環境負荷の低減につなげるそうだ。
同製品では、非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分を、すべてリサイクルPVCで製造する。
カード用リサイクルPVCを提供するサプライヤーと連携し、パッケージ工場で排出されるPVCの廃材・中間材を回収して加工したリサイクル材を使ってカードを製造するという。
従来、プラスチック部分をすべてリサイクル材で製造することは材料の特性上困難だったが、今回、ICカードの設計に工夫を施すことによって、プラスチック部分をすべてリサイクル材に置き換えることを実現した。
DNPは、自社製品のカーボンフットプリントを算定・検証するシステムにおいて、一般社団法人サステナブル経営推進機構の「SuMPO/第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度」の認証を取得した。2024年4月から、ICカード・ビジネスフォームを含む「証券印刷物」にあたる同製品でも、信頼性の高いカーボンフットプリントデータの提供が可能になったそうだ。
カード基材にリサイクルPVCを100%使用することで、DNPで製造したリサイクルPVCを使用しない従来品との比較において、原材料調達から製造・輸送・廃棄までのライフサイクル全体でカード1枚あたり約19.5gのCO₂排出量を削減する効果があるという。
同製品は、カード基材としてのVISA認定を取得した。同製品は、リサイクルPVCを利用しない従来のカードと比較して、5~10%程度の価格上昇を目処として提供していく予定だ。
DNPは、環境負荷の低減や循環型社会の実現に取り組む金融機関のほか、電子マネーカードやポイントカード、会員証等を発行する事業者などに本製品を提供していく。また、カーボンフットプリントや、植林や森林保護等の取り組みを通じて企業活動で排出するCO₂を直接・間接に吸収するカーボンオフセットと組み合わせて本製品を提供するなど、一層の環境配慮施策についても提案していくそうだ。DNPは、環境配慮型のICカード関連で、2028年度までに累計約400億円の売上を目指す。