2021年4月8日18:38
大日本印刷(DNP)は、ICカードの材料をリサイクルしたプラスチック材に切り替え可能とし、2021年4月に製造を開始すると発表した。これによってDNPは、プラスチックのリサイクル推進やCO2排出削減を実現し、環境負荷の低減につなげていく。
リサイクルプラスチック材を使用したICカードの第一弾として、丸井グループがみんな電力と提携して発行している「みんな電力 エポスカード」で採用された。DNPは2018年頃から丸井グループと共に環境に配慮したICクレジットカードについて検討を進めており、今回、日本初となるリサイクルPVC(ポリ塩化ビニル)を使用した非接触対応のICクレジットカード(カード重量に対するリサイクル素材使用率約70%)を提供する。
日本政府は、プラスチック関連の資源・環境両面の課題に対して、2019年5月に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、プラスチックの使用量削減やリサイクル推進に取り組んでいる。また、2020年12月には、経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表するなど、脱炭素社会の実現に向けた取り組みも行われている。
こうしたなかでDNPは、2020年3月に「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、2050年の温室効果ガス実質ゼロや資源の効率的な循環利用を掲げ、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを進めている。今回ICカード製造用のプラスチックをリサイクル材に切り替えることにより、プラスチックのリサイクル推進やCO2排出削減、環境負荷の低減を実現していく。
今回、欧州のカード用リサイクルPVCを提供するサプライヤーと連携し、欧州のパッケージ工場から排出されるプラスチックの1つであるPVC(ポリ塩化ビニル)の廃材・中間材を回収し、リサイクル材の使用率99%に加工したシートを使用してカードを製造する。リサイクルPVCをICカードのコア部分に使用することで、リサイクル素材の使用率が約70%(重量比)になる、リサイクルプラスチック材を使用した非接触ICクレジットカードを日本で初めて実現したそうだ。
また、リサイクルPVCを使って製造することで、カード1枚あたり約9.8gのCO2排出量を削減する効果がある。「みんな電力 エポスカード」1,000枚で、約10KgのCO2排出削減効果を実現する。
同製品は、リサイクルPVCを利用しない従来のカードと比較して、5%程度の価格上昇を目処として提供していく予定だ。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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