DNPがプラスチック部分全体を100%リサイクル材にしたICカード提供、環境配慮型カードの展開は?

2024年4月25日8:30

大日本印刷(DNP)は、クレジットカード会社など、金融向けのセキュアなICカードに強みを持つが、さまざまな素材の環境配慮型カードの製造に力を入れている。2024年4月からは、非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分すべてをリサイクルPVC(ポリ塩化ビニル)で製造することを可能した。DNPの環境配慮型カードの取り組みや市場での反応、他社との差別化、今後について説明してもらった。

池谷貴

リサイクル材の比率を極限まで高め環境に配慮
ICカードの設計に工夫を施す

プラスチック部分全体をリサイクル材にしたICカードは、非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分を、すべてリサイクルPVCで製造するものだ。カード用リサイクルPVCを提供するサプライヤーと連携し、パッケージ工場で排出されるPVCの廃材・中間材を回収して加工したリサイクル材を使ってカードを製造する。

プラスチック部分全体をリサイクル材にしたICカード。リサイクルPVCを利用しない従来のカードと比較して、5~10%程度の価格上昇を目処として提供するという(DNP)

従来、プラスチック部分を全てリサイクル材で製造することは材料の特性上困難だったそうだが、ICカードの設計に工夫を施すことによって、プラスチック部分をすべてリサイクル材に置き換えることを実現したそうだ。DNPでは、「ノウハウ部分にあたるため詳しいことは申し上げられませんが、厚み・熱特性・色等の特性の違いが出ないように、リサイクル材料シートの組合せや加工条件を試行錯誤し、基準を満たす品質の製品を作り出すことができました」と説明する。

発行会社の環境配慮の意識も高まる
市場の流れも見据えて製品・サービス開発へ

DNPでは、大手カード会社や金融機関などに対し、接触・非接触対応のデュアルインターフェースカード、指紋認証カード、金属素材のメタルカードなど、さまざまな素材・形状のカードを提供している。

DNPでは、印刷会社としてさまざまな印刷を手掛けているが、2020年に策定した「DNPグループ環境ビジョン2050」では、持続可能な社会の実現に向けて、P&Iイノベーションによる新たな価値の創出により「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」を目指すとしている。環境素材型カードに取り組むのもその一環となり、「事業活動を通して環境負荷軽減に貢献する取り組みの一環です。ICカード分野ではさまざまな企業のニーズに答えるべくラインアップを拡充してきました。パートナー企業と連携して人々の期待に応えるとともに、社会課題を解決する革新的な新しい価値の創出に取り組むための1つの製品であると考えています」とDNPでは説明する。特にICカードはリサイクルが難しいこともあり、環境に配慮した資材を使うことでSDGsへの貢献につながると以前のインタビューでも述べている。

これまでの取り組みとして、2021年4月に、塩ビ材料メーカーで発生する不良品や端材を回収してリサイクル可能な「リサイクルPVC(ポリ塩化ビニル)カード」を発表した。2022年4月からは、加工段階で排出される端材等をリサイクル加工して、ICカードに使用可能な「リサイクルPCT-G(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)」を販売している。2022年6月には植物由来の原料(バイオマス)を一部に使用した非接触対応ICクレジットカード「バイオマスカード」の提供を開始した。

リサイクルPCT-G(左)とバイオマスカード(右)(DNP)

すでにDNPの環境配慮型カードはジェーシービー、イオン銀行、エポスカードなど、国内の主要なイシュア(カード発行会社)が採用しているが、「環境配慮に対する意識の高まりを感じています。今後はそうしたニーズを汲み取りつつも、マクロトレンドとしてどういった方向に市場が進むのかも捉えながら製品・サービス開発を進めてまいります」とDNPでは意気込む。

他社との差別化は?
さらなるラインアップ拡充へ

現在、環境素材型カードは他の印刷会社も発行に力を入れている。そんな中、DNPとして他社との差別化をどのように図っていくのだろうか?

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