2024年5月9日9:12
みんなの銀行では、BaaS(Banking as a Service)事業の取り組みを進めている。日本の銀行では参照系APIに比べ、お金を動かす、情報を上書きするといった更新系のAPIの活用は進んでいないが、みんなの銀行では銀行口座引き落としサービス「A2A決済」を複数の企業に提供しており、今後も導入は広がる見込みだ。日本の銀行では初めてFAPI(Financial-grade API)に準拠したBaaSプラットフォームを開発。A2Aは口座をダイレクトにAPIでつないで決済や振り替えに使ってもらう仕組みだが、FAPIを使うことで取引をよりセキュアにサポートできるという。みんなの銀行 ビジネスアライアンスグループリーダー 吉冨史朗氏に、A2A決済の取り組みについて説明してもらった。
池谷貴
5社とAPI連携、4社とMOU締結
直接のAPI連携で「安い」「早い」を実現可能
昨今、日本でもA2A決済が注目されている。従来の支払いの場合、決済事業者やネットワーク仲介のサービスを経由するためトランザクションコストがかかり、事業者の負担増につながっているが、A2A決済は銀行の口座と直結した決済の仕組みの提供により決済コストを安く抑えて提供可能だ。
みんなの銀行によると、A2A決済は、利用シーンに応じてさまざまな使い方が可能だという。例えば、①レジアプリで最後に決済をするようなシーンにおいて口座からダイレクトに落ちるサービス、②ECサイトの支払いにおいてAmazon Payのように〇〇ペイを差し込んでもらうとダイレクトに落ちる仕組み、③銀行口座からチャージする仕組み、④口座振替の高度化として、毎月、都度などでも提供する、といったようなさまざまな生活シーンをカバーできる。
――BaaSプラットフォームのこれまでの成果について聞きたい。
吉冨:2023年5月に更新系API(口座振替API)の外部提供を開始して以降、現時点でSU-PAY様、大和コネクト証券様、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス様、ピクシブ様、三井住友海上プライマリー生命保険様の5社のパートナー企業との間でAPI連携を開始しています。また、それ以外にMOU締結済みのビットトレード様、moomoo証券様、REVOLUT TECHNOLOGIES JAPAN様、イーデザイン損害保険様の4社ともBaaS事業における連携に向けた協議を進めています※。
※参照系APIの外部提供の数は含まない
――「A2A決済」の市場ニーズについてはいかがか?
吉冨:直接のAPI連携による「安い」「早い」点が事業者のニーズとマッチしています。キャッシュレス決済の拡大を背景に、決済手数料負担の増加が企業の課題となっており、ここを削減できる点が最も大きいです。入金のサイクルが短縮できる点にも魅力を感じていただいています。また、クレジットカードを持ちたくない層・持てない層(例:未成年)等に対する新たな決済手段の提供として位置付けられるケースもあります。それから、自社サービスの中に柔軟に組み込めるため、マーケティングに活用しやすい(例:自社ポイントで還元できる)との声も聞かれています。
手数料率は戦略的に極めて低い水準で設定可能
消費者もメリット、A2A決済の普及は加速?
――貴社の「A2A決済」の強みについて聞きたい。また、提供コストの目安は?
吉冨:「安い」「早い」仕組みを柔軟に組み込める点です。また、価格競争力が極めて高いため、決済手数料のコスト削減分をエンドユーザー(消費者)に還元することで『三方良し』の仕組みが構築できる点となります。
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。