「大阪・関西万博」キャッシュレス推進協議会と連携協定、16事業者協力のポスターやロゴ作成

2024年6月21日8:12

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と一般社団法人キャッシュレス推進協議会は、「大阪・関西万博の全面的キャッシュレスに向けたキャッシュレス推進協議会との連携推進協定の締結」に関する記者発表会を2024年6月19日に開催した。当日は、連携推進協定締結のセレモニーを実施。万博の全面的キャッシュレスの全国的な周知及びキャッシュレス教育の普及促進について紹介した。また、キャッシュレスのポスターによる周知やキャッシュレス推進協議会が募集した完全キャッシュレス店舗(キャッシュレス利用可能店舗も含む)の国内初となる標準ロゴも発表した。

池谷貴

左から、一般社団法人キャッシュレス推進協議会 事務局長 福田 好郎氏、公益社団法人(公社)2025年日本国際博覧会協会 企画局長 河本 健一氏、経済産業省 キャッシュレス推進室 室長 松隈 健一、大阪・関西万博公式キャラクター ミャクミャク

支払を意識しないデジタル社会を
JPQRはASEAN諸国との連携進める

当日はまず、キャッシュレスによって目指す社会と大阪・関西万博への期待について、経済産業省 キャッシュレス推進室 室長 松隈 健一氏が挨拶した。

政府がキャッシュレスを推進する理由として、消費者の利便性向上、現金発行や輸送の手間の削減などを実現できる。また、接触しない取引により感染症リスクを避けられ、窃盗など犯罪抑止につながる。さらに、決済データを活用できることなどが挙げられる。中でも業務効率化、人手不足対応に関しては、キャッシュレスを含めたデジタル化により、業務を効率化でき、人手不足に対応できるとした。

中小企業に行ったアンケートによると、キャッシュレス化により「レジ決済時間の短縮」「売上が増えた」などの効果があった一方で、約半数では効果が実感できていないと感じている。また、キャッシュレス比率が1~2割だと効果を感じない企業が多いが、3~4割を超えると、キャッシュレスの導入効果を感じる割合が高まるとした。そこで、大阪・関西万博では万博として初めて全面的なキャッシュレスを導入する。特に現金を取り扱わなくなることで、現金を数える手間やレジ締めの作業が効率化される。松隈氏は「参加する事業者の皆様もメリットを実感していただけると期待しております」と話す。

キャッシュレス推進効果の1つとして、キャッシュレスとデジタルが組み合わさることで、多様な消費スタイルが創造されるという。例えば、手に取るだけで自動決済される小売店、リスクに応じて自動で清算される保険、家計や資産に応じて自動で変動する金利など、「決済を意識せずに消費する(Embedded Finance=組み込み型金融)」新たな消費体験を後押しするとした。例えば、大阪・関西万博では顔認証決済が導入されるため、新たな消費体験を提供することが可能になるという。

日本に訪れる外国人旅行者の困りごとでも「公共交通の利用」「クレジット/デビットカードの利用」「両替」などが挙がったが、それをキャッシュレスで改善することで、インバウンド消費の増加/グローバル経済の取り込みに貢献できるとした。大阪・関西万博では多様な手段に対応した全面キャッシュレスにより、インバウンド消費の取り込みにつなげることが可能だ。

現在はキャッシュレス決済が十分認知され、利用が拡大しつつあるが、支払いを意識しない決済が広がり、データがシームレスに連携されるデジタル社会を実現していきたいとした。今後はキャッシュレス業界とその他の業界が協調したイノベーションが起こり、決済データと他のデータを組み合わせた分析や技術によって、業務効率化、利便性向上に加え、多様な消費スタイルなど付加価値の創造につながると考えている。

大阪・関西万博では、独自に導入するNFTやWeb3サービスを展開。松隈氏は「支払を意識しない決済が広がり、データがシームレスに連携されるデジタル社会の姿を見せてくれると期待しております」と話す。また、BtoCに加え、BtoBや行政の世界にもキャッシュレスが広がっていくとした。

政府の大阪・関西万博に向けた取り組みとして、松隈氏は「JPQR」を挙げた。QRコード決済は日本でも多数のサービスが展開されており、店舗では数多くのQRコードを提示する必要がある。そのため、統一QRコードの「JPQR」にまとめることで、店舗でスムーズな支払いを実現可能だ。JPQRはキャッシュレス推進協議会を中心に取り組んでいるが、政府間の対外調整は経済産業省が実施している。アジアでは、QRコード決済を含むデジタルウォレットの利用率が高いが、JPQR同様に各国でQRコードの統一規格が定められている。ASEANでは統一規格同士の相互運用が進められており、自国で使っているQRコード決済のアプリを旅行先の統一QRコードを読み込めば、支払いができるようになっている。日本でもASEAN諸国との連携を進めているが、「できれば万博開催までには準備が整った国から相互運用を開始したいと考えております」(松隈氏)。相互運用が可能になれば、例えばインドネシアの人が普段使っている支払い手段でJPQRを読み込めば決済できるようになる。これにより、利便性向上、観光消費額増大が期待できる。

キャッシュレス推進協議会の福田氏は「各国と調整しており、8を超える国と会話はしているところで、準備が整い次第、万博の会期を待たずに接続をしていきます。目標数は設置していませんが少なくても複数は目指すところです。利用店舗は会場外においては数万店舗を万博開始前には獲得してご利用いただく環境整備を整えていきたいです」と語った

デジタルウォレットは7月リニューアル
金融連携サービスを新たに開始

続いて、2025年日本国際博覧会協会 企画局長 河本 健一氏が大阪・関西万博のキャッシュレスに向けた、キャッシュレス推進協議会との協定内容の概要、キャッシュレスポスターのデザインを発表した。

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