2011年5月25日7:00
海外のNew Paymentは国内以上の成長を遂げる!
日本カードビジネス研究会の「New Payment Report 2011」では、国内だけではなく海外のトレンドもまとめることで、今後の国内の市場と今後のトレンドについて解説している。
国際ブランドの取扱高は18%強の伸びを見せる
全世界でモバイル決済加速
――New Payment Report2011では海外のトピックもまとめていますね。
佐藤:2010年の海外のトピックスの1位は「主要決済ブランド取扱高18%強の伸び」です。Visa、MasterCard、銀聯、Amex、Discover、JCB、PayPalの7ブランドの取扱額は10.782兆ドルとなっています。確実に世界はキャッシュレス化の方向に向かっており、2011年も二桁成長が見込めると考えています。
2位は「全世界でモバイル決済加速」です。スマートフォンの登場により、新たな決済手段が次々に登場しています。また、2011年は非接触決済機能をつけたスマートフォンが多数登場する予定となっています。3位は「英国でデビットカードが現金を抜いて王座に」で、2010年8月30日に、デビットカードの利用額が現金を上回りました。
4位は「プリペイドカードへ熱い視線」で汎用性の高い国際ブランドのカードが急成長しています。5位は「ソーシャルメディアの躍進と新決済スキーム」です。Facebookは拡大しつづけるソーシャルネットワーク上の決済スキームとして、すべてのコンテンツ提供者に対し、「Facebook Credits」という共通通貨で決済するよう通達しました。
――海外ではスマートフォンを活用した新しい決済が次々に生まれていますね。
佐藤:海外では、スマートフォンを各キャリアが最重点ツールとして位置付けています。今後、スマートフォンはカード以上に決済ツールとしての役割が大きくなるかもしれません。例えばスターバックスでは、カードを利用した決済を行っていましたが、スマートフォンを利用したバーチャル決済が登場し、すでに300万人の会員数を達成しています。すでに、その会員はリピート率の高いお客になっています。また、海外のキャリアの多くはスマートフォンにNFCチップを搭載して日本でも利用できるようにするでしょう。
今後は、サーバ管理型のギフトカードもバーチャルに変化する可能性があります。例えば、スマートフォンで位置情報を出して、その近くの店舗で利用するとポイントが貯まったり、割引が受けられるなどのサービスが考えられ、すでに海外ではトライアルが行われています。
最近では、タブレット型端末も登場していますので、オンライン決済やモバイル決済は間違いなく伸びるでしょう。
――NFCなど、非接触技術を活用した決済にも注目が集まりますね。
佐藤:非接触決済ではICチップやバーコードを利用したもの以外にもスマートフォン同士をコツンとするだけで情報を交換できるBump機能も出てきています。すでにGoogleの会長は、Android2.3以降の端末にBumpを標準で搭載すると発表しており、PayPalもこのサービスを行っています。PayPalはブリングネイションと協業し、リアルの加盟店でも非接触ICタグを使ったサービスを行っています。モバイルを利用してオンラインとフィジカルの世界をつなぐことで、グローバルシェアの24%を目指すと打ち出しています。
当然、利用者だけではなく加盟店端末も変化すると思います。従来の地上回線がベースのシステムだけではなく、柔軟性や回復力に優れた無線ベースのシステムに変化するでしょう。タブレット型であれば、アプリをインストールしてリーダをつければすぐに決済が行えます。すでにbumpを搭載したVerifonの端末も出てきています。今後は、日本の端末メーカーも大変になると思いますが、世界はそういった流れで動いています。
「ニューペイメントチャート」の活用で
新たな決済市場やニューペイメントの商品企画が見える
――新しい決済に着目した「New Payment Report 2011」の内容に注目が集まっています。
佐藤:2010年はNew Paymentもかなり進化しました。2011年もこの進化は続くでしょう。New Paymentは継続的にウォッチすることでよりトレンドや方向性が見えてきます。当研究会では、「New Payment Report 2011」を発行しましたが、前年に比べてデータもより精緻な内容にシフトしています。「ニューペイメントチャート」では、ニューペイメントの世界的潮流を10 のキーワードで概観しましたが、このチャートを活用すれば、新たな決済市場やニューペイメントの商品企画が見えてくると思います。
決済イノベーションが世界各国で起きています。情報通信技術が急速に進展するなか、プリペイドカードで米国初の市場公開を果たした「グリーンドット」のSteven Streit CEOやスマートフォンを活用した加盟店端末「スクエア」を開発したJack Dorsey CEOなどが寵児になれる時代となりました。また、GoogleやPayPalも仕様をオープン化して一般にも広く開放しています。決済ビジネスで成功するためのチャンスは間違いなく訪れています。
決済ビジネスで成功するためには、頼るべき羅針盤が必要です。New Payment Report 2011には間違いなく新しい決済ビジネスを創出するアイデアとチャンスが詰まっています。是非、本レポートを皆さまのビジネス発展の一助としていただければ幸いです。
――本日はありがとうございました。