2024年9月27日8:00
A2Aペイメント(Account to Account Payment、口座間決済)の3回目は、A2Aペイメント(口座間決済)サービスが急速に拡大するヨーロッパの現状と、いくつかのA2Aペイメントのスキームプロバイダーを紹介してみたい。今回は前編となり、A2Aペイメントスキームの概要を紹介する。
■連載
(1)A2Aペイメント(口座間決済)スキームとは
(2)A2Aペイメント(口座間決済)サービスのスキームとテクノロジープロバイダー
(3)ヨーロッパのA2Aペイメント(口座間決済) 前編・後編
(4)プッシュペイメント(Push Payments)とプルペイメント(Pull Payments)Pull Payments
ヨーロッパのペイメントマーケットでは、オープンバンキングベースのペイメントが定着を図る兆しが見える一方で、A2Aリアルタイムペイメント(即時決済)の銀行口座ベースのA2Aペイメント(口座間決済)の代替支払いスキームが拡大している。また、ヨーロッパではスマートフォンの急速な普及によるM-コマースの拡大により、ヨーロッパ全体でモバイルバンキングベースのA2Aペイメント(口座間決済)スキームが急速にシェアを高めている。ヨーロッパにおけるこれらのA2Aペイメントスキームの多くは、ローカルベースのオンラインデビットカードのネットワークを運営する“銀行連合”によって所有されているものの、その全てが“銀行連合”によって所有されているわけでもない。
一部のA2Aレガシー決済ともいえるA2Aペイメント(口座間決済)スキームは、E-コマースの比較的初期(2005年頃)に立ち上げられ、紙のGiroペイメントオフラインのクレジットトラスファーを置き換えるために設立されている。他の類似のA2Aペイメント(口座間決済)スキームは、モバイルアプリとMコマースの開発に触発されて、より最近(2015年頃)に設立されているケースが多い。
(表)は、2021年度のヨーロッパの主要国におけるB2Cの E-コマース、M-コマースの決済方法別の決済額のシェア(推計値)を示したものである(決済方法別の決済額のシェアが示されていない場合は、その他に含まれる)。
ベネルクス3カ国のオランダの場合、A2AリアルタイムペイメントソリューションのiDealのE-コマース、M-コマースでの決済シェアが高く、実に75%を占めている。次いで、クレジットカードといったペイメントカードが9%のシェアである。オランダの場合、A2Aレガシーペイメントや電子財布、BNPL(Buy Now Pay Later、後払い)は空欄となっているが、これはその他の16%に含まれている。
(表) B2Cの E-コマース、M-コマースの決済方法別の決済額のシェア(推計値)(2021年)
国 |
A2Aリアルタイム決済 |
A2Aレガシー決済 |
ペイメントカード |
電子財布 |
BNPL |
その他 |
オランダ |
75% |
|
9% |
|
|
16% |
ポーランド |
53% |
|
32% |
8% |
|
7% |
ベルギー |
47% |
|
36% |
10% |
|
7% |
スェーデン |
25% |
|
32% |
7% |
30% |
6% |
ノルウェー |
24% |
|
62% |
5% |
|
9% |
ドイツ |
8% |
28% |
27% |
22% |
13% |
2% |
スペイン |
5% |
|
75% |
13% |
|
7% |
イギリス |
|
|
80% |
16% |
|
4% |
フランス |
|
|
75% |
16% |
|
9% |
イタリア |
|
4% |
49% |
34% |
|
13% |
出典: European A2A Schemes Thriving, Not Yet Open Banking Payments、Flagship Advisory Partners
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