2024年11月22日8:30
JR東日本と松竹は、2024年11月18日に歌舞伎座(東京都中央区)で記者説明会を開催した。両社では、「文化の力」のアップデートによる心豊かで活力ある社会の実現と両社グループの成長を目指し、10年間の包括的業務提携契約を締結している。松竹グループがもつ日本文化とエンタテインメントに関する創造力に、JR 東日本グループがもつ地域に根差した重層的ネットワークをかけあわせるという。記者説明会では、JR東日本の「Suica」を活用したシームレスな予約・購入体験も紹介。Suicaは、リアルの移動や決済で便利に使用されているが、クラウド化によってネットでの予約・決済、チケッティング機能も便利になる可能性を秘めているそうだ。
「文化の力」アップデート
3つの柱を展開へ
JR東日本と松竹では、文化の力のアップデートによる心豊かで活力のある社会の実現を目指す。JR東日本のグループ経営ビジョン「変革 2027」と、松竹グループが掲げる日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化への貢献を目指す「ミッション」について、両社グループが連携することでそれらを加速させるという。
松竹 代表取締役社長 社長執行役員 髙敏弘氏は「今回、JR東日本を力強い共創パートナーとして迎え、日本文化を中心としたコンテンツ力をさらに高め、JR東日本のネットワークを生かしながら、国内外のより多くのお客様に新しい感動をお届けしていきます」と話す。
今回のパートナーシップでは、JR 東日本の重層的でリアルなネットワークと、松竹の文化伝統芸能 や幅広いコンテンツをかけあわせ、「観光・地方創生」「こころとからだの健康増進」「ナイトタイムエコノミー」の3つを柱として、デジタル技術を活用し文化の力のアップデートにより、心豊かで活力ある社会の実現を目指すそうだ。
都市部と地方の交流人口を拡大へ
エンタメの力とデジタル技術を連携
「観光・地方創生」では、地域が持つ文化や歴史を磨き上げ、観光素材や地方創生の核となる文化、エンタテインメントコンテンツを 創り出すという。新たな観光価値の創出により、都市部と地方の間の交流人口を拡大させ、地域の 活力を高めるそうだ。
例えば、地域性のある歌舞伎演目やアニメコンテンツを活かした「聖地化」 の取り組みを進めていく。それを都市部として情報発信するとともに、MRなどのデジタル技術を活用し、旅行の出発地から新幹線等 移動空間の中までも、関連コンテンツを楽しんでもらえるような 新しい没入体験を創出する。将来的には、各地の地域特性を活かした「名所 歌舞伎」 など、新しい歌舞伎演目の創造にも取り組んでいきたいとした。
離れていても同じ場所にいるかのようなコミュニケーションとして、都市部のエンタテインメントを地方にて臨場感を持って体験できるようにする。4K 相当画質の次世代オンライン会議サービス「空間自在ワー クプレイスサービス」と、「駅等のアセット」を組合せ「巡業イマーシブシアター」として各地を巡ることなどを実現させるという。
「こころとからだの健康増進」では、感動・笑い等のエンタメの力とデジタル技術を連携した新たなアプローチによるこころとからだの健康増進づくりを通して、健康寿命100歳社会に向けた心豊かな未来を提案する。
JR東日本では、駅などでの生活導線上でのクリニック、健康診断や医療の展開、スポーツクラブでの健康プログラムの実施、隙間時間を活用した健康チェックプログラムを実施してきた。今回、松竹と連携することで、浜松町・竹芝・東銀座エリアにおいて、JR東日本が持つ「移動データ」と 松竹が持つ「エンタメコンテンツ」を掛け合わせ、そこに「身体・感情データ」 を連携させることで健康増進に資する最適な地域街歩きプランを提案する。それにより、エンタメによる観光と健康に資するエリア活性化モデルの 構築を行う。
例えば、浜松町・竹芝・東銀座エリアのモデルプランでは、「観光を鑑賞しながら、心と体の健康増進につながる新しい価値あるスタイルを構築してまいります」とJR東日本 代表取締役社長 喜㔟 陽一氏は説明する。
浜松町へ到達した人が、AIを活用した健康チェックを行い、最適な心と体の地域街歩きをレコメンドしていく。心と体の健康状態を可視化し、浜離宮や芝離宮での癒し体験や、新橋演舞場、歌舞伎座での学び舎交流、あるいは芸人による街歩きガイドやAR技術などを活用したエンターテインメント体験を通じて、ストレスの軽減や興奮度、身体の健康状態がリアルタイムで可視化できるなど、楽しみながら心と身体の健康増進が図れる活動をサポートしていく。これらの取り組みを広げることで、各地域において、健康増進活動のきっかけ作りや習慣化を日本全体につなげる。
観光立国確立に向けた共創
TAKANAWA GATEWAY CITYの取り組みも
「ナイトタイムエコノミー 」の推進では、両社の施設が東京湾に面して近接して立地する高輪ゲートウェイシティをはじめとする「高輪」「浜松町・竹芝」「東銀座」エリア一体で連携させ、地域の自然や文化施設・史跡や水上交通を活かした、「より豊かな文化的な夜の楽しみ方を提案させていただきたい」と喜㔟氏は話す。例えば、高輪ゲートウェイシティでは、音楽イベントやライブパフォーマンスを楽しめたり、レストランでの充実した飲食体験の提供などを行う。また、東銀座でイルミネーションを楽しむなど、終電までさまざまな体験を提供していく。喜㔟氏は「今までにないナイトタイムエコノミーに貢献していきたい」と意気込む。
TAKANAWA GATEWAY CITY での取り組みとして、松竹の「THE LINKPILLAR 1 SOUTH」への入居やビジネス創造施設「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars’Hub」(LiSH)や「東京大学 GATEWAY Campus」と連携する。複合文化施設「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」での協業では、日本文化とテクノロジーを掛け合わせ、実験や挑戦を繰り返しながら新たな文化フォーマットとして日本全国・海外へと波及することを目指す。
リアルに強いSuicaがネットでも便利に?
クラウド化で予約・購入やチケッティング機能も向上
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。