2025年7月10日8:00
多国籍企業の調達業務を集約・自動化するSaaSソリューションを提供するCandexグループは、日本市場における本格的な事業展開および事業拡大に乗り出す。2025年7月8日にアンダーズ東京で日本での戦略を説明する記者説明会を開催。当日は米国本社より CEO ジェレミー・ラッピンが来日し、Candexの事業概要、日本市場参入に至った経緯、そして今後のビジネス展望について紹介した。
テールスペンド問題を解決へ
調達から支払いまでプロセスを自動化
Candexは2023年にアジア市場へ参入し、日本、中国、台湾、韓国に拠点を新設した。現在、同社は世界40カ国以上、実質的に52カ国でサービスを展開しており、約238人のスタッフがいる。
同社は 、「テールスペンド問題」を解決したという。実際の本質的な問題は、例えば日立やソニー、デルなどが世界中で事業を展開し、多くの小さなベンダーと取引していることにあるという。ジェレミー氏は「これらの会社は数十万ドル規模のベンダーも多く、それらと関係を築き支払いを行うには非常に時間がかかるのです」と話す。総支出の5%が80%の取引先に支払われていることの対処が必要であり、大企業にとって非常に重大な問題となっている。最も一般的なのは、年間140万円以下の取引先に支払うことだ。このような取引先は頻繁に入れ替わり、年間の回転率は約30%~50%だという。対応部門も課題となり社内の多くの関係者にとってストレスの原因となっている。
Candexは、少額・単発の取引先の登録や契約、支払い手続きを簡素化し、購買者にとって使いやすいシステムであることが強みだとした。テクノロジーを活用した「マスターベンダー」として機能することで、企業は迅速かつコンプライアンスに準拠した購買プロセスを利用可能だ。企業の管理者は自動化、可視化、コントロールを向上させ、ベンダーマスター数を最大80%削減しつつ、ベンダーとの取引の効率化を実現することができる。
ジェレミー氏は「この仕組みを利用すれば、これらの企業はPO(発注書)の送付から請求書の受取り、承認、そして支払いまでの全プロセスを完全に自動化できるのです」と自信を見せる。また、企業のコンプライアンスを強化することを可能にする。
日本の投資する理由
既存の購買システムから利用可能
Candexが日本で投資する理由として、日本で対応してほしいというグローバル顧客からの要望があったからだという。また、ソニーや日立など、日本企業からも要望があった。同社の最大の顧客は約45カ国でサービスを提供しており、その中には日本企業も含まれる。ジェレミー氏は「長年にわたり、多くの人が『いつ日本に来るのか』と期待していました。私たちの多国籍クライアントの皆様にサービスを提供し、彼らが私たちの日本進出を望んでいました。世界の国々の中でも、日本はおそらくアジアで唯一、あらゆる場所で私たちのサービスを求める多くの多国籍企業を抱える国です」と述べる。また、日本は文化的に効率性、革新性、コンプライアンス、そしてシンプルさを重視する国であり、Candexはこうした価値観に合った企業だとした。
Candexでは、基本的には国ごとに一度、買い手に対してベンダーとして登録される仕組みだ。例えば、同社は日本の日立、 中国の日立、 ドイツの日立に対して販売業者になる。Candexがベンダーに代わり、企業に請求する。また、SAP AribaやCoupa、Oracle、Workdayなどの既存の購買システムから利用できる点も特徴だ。
Candexのレポーティング機能は、これまで組織内に分散していたテールベンダー(取引額や取引量の小さい取引先)の情報を一元化し、組織全体の透明性を高めるそうだ。これにより部門間のデータと手続きが迅速になり、シンプルな操作で、共通ルールに沿った標準化が徹底されるという。企業の運用上の大きな課題である調達プロセスにシンプルさと整合性をもたらし、サプライチェーン全体の円滑な運営が可能になる。
バイヤー(企業)は購入申請を完了し、購買発注書(PO)はCandex名義で発行される。Candexではそれを入手次第、取引先にメールを送り、その後取引先が登録。次に、企業から渡された標準のPO条件を取引先が承認。最後に、請求書をCandexのシステムに登録する。Candexは請求書の内容を確認し、対応する請求書をシステムに送信する。その後、バイヤーが請求書の受領・承認し、支払いを行う。Candexは取引ごとにバイヤーから3%の手数料を得ている。手数料はベンダーに転嫁することもできるという。
Candexは展開国でデータを収集しており、同データはリアルタイムで更新されている。さらにすべてのPOや請求書もCandexを介さずに既存の購買システムに反映されている点を評価しているそうだ。
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