2026年3月5日8:32
JR 東日本は、Suica・PASMO のコード決済サービス「teppay(テッペイ)」を2026 年秋より提供開始する。交通系電子マネーとして日本の少額決済市場をけん引してきたSuica・PASMO だが、teppay の開始によって何が変わるのだろうか? JR 東日本に話を聞いた。

交通利用との連携が差別化に
30万円まで決済、チャージも充実へ
teppayは、モバイル Suica・モバイル PASMO のアップデートに合わせて、 アプリ内にコード決済機能を提供する。「電子マネー」「コード決済」「残高の送付」「オンライン決済」といった多様な決済シーンをカバーする予定だ。

JR東日本は「Suica Renaissance」によって、 Suica を移動、決済デバイスから、地域の人々のあらゆる生活シーンで利用してもらう「生活デバイス」への進化を目指している。Suicaなどの交通系電子マネーはキャッシュレスが拡大する中で、右肩上がりで成長しており、「物販だけを見ても成長しています」とJR東日本 マーケティング本部 Suica・決済システム本部 決済・金融ユニット 小澤達氏は説明する。Suicaは2万円まで決済できるが、より高額な支払いには利用できず、EC決済は可能だがUI/UXで課題がある。また、送金サービスなども利用できない。そのため、「teppayで二階建てのサービスを構築し、Suicaで実現できないUXを体験してもらうようにしました」と小澤氏は述べる。
アプリ構築で意識したのは、新たにアプリをダウンロードする必要がなく、従来のSuicaアプリの利便性はそのままで使える点だ。小澤氏は「ユーザにとってダウンロードコストや手間をかけるのがストレスになりますので、それを最大限減らしました。アプリとの一体感を出し、teppayの残高からSuicaやPASMOにチャージが可能です」と話す。Suicaの最大の強みは交通利用できる点だ。そのため、従来の強みを活かしたうえで、機能を付加する。
teppayのチャージの上限金額は、前払い式支払い手段の法律に基づき、使い方や本人確認の状況を踏まえて最大30万円となる。また、ビューカードを紐づければチャージ不要で買い物も可能だ。高額利用が可能になることに加え、teppay 残高をインターネットでの買い物に利用できる「teppay JCB プリカ」をアプリ内で発行することで、EC決済にも利用しやすくなる。また、QRコード表示を利用したアプリ連携決済も予定している。
銀行チャージは400公庫を超える金融機関からのチャージを予定している。さらに、「コンビニエンスストアのチャージも、他サービスと見劣りのないレベルで行う予定です」と小澤氏は説明する。クレジットカードチャージは、ビューカードのみに対応。それ以外のクレジットチャージについては、IRF(インターチェンジフィー)の設定が課題として挙げられる。
2027 年春にはパスモと提携し、「モバイルPASMO」でもteppayの提供を開始予定だ。小澤氏は「首都圏では私鉄沿線にお住まいでモバイルPASMO を持っている方も多く、ご一緒いただくことでユーザーのデメリットを解消できます」と述べる。現在、teppayはウェブビューで作りこんでいるため、モバイルPASMO利用者もモバイルSuicaと同じ画面、使用が実現可能だ。
残高授受機能でも鉄道利用が強み
特定の地域に限定したバリューも
teppay では、利用者同士で「残高を送る・受け取る」ことが可能だ。モバイル Suica とモバイル PASMO でアプリを超えたやりとりができる。「残高の授受に関しては、以前からご要望がありました。例えば、徴収した飲み会の割り勘の会費をSuicaにチャージして交通利用できます。お子様に送れば、バリューをSuicaにチャージして電車に乗ったり、定期券の購入が可能です」と話す。なお、給与デジタル払いに関しては、時期尚早と考えており、実施の予定はない。

ポイントサービスについては、「JRE POINT」ではなくteppay独自のポイントを予定している。貯まったポイントはJRE POINTやPASMO各社のポイントサービスとの連携についても検討する。
teppayの加盟店開拓では、JCBの「Smart Code(スマートコード)」との提携を予定しており、サービス開始当初から約160万カ所でサービスが利用可能だ。「プレス発表後、加盟店からの引き合いも多く、効果は抜群でした」(小澤氏)。また、JR東日本の直接契約でも開拓する予定だ。QRコードの読み取り方式は、CPM(Consumer Presented Mode)に加えて、MPM(Merchant Presented Mode)への対応も予定する。

なお、「コード決済はエリアの事業者はなく、大手コンビニなどでは全国一律でご利用可能です」と小澤氏は話す。2027年春にはモバイルSuicaで「Kitaca」エリアの定期券購入も可能になる予定であり、北海道地域でのteppay拡大も期待される。
地域展開では、「バリチケ」により、特定の地域に限定したバリュー(残高)を用意する。例えば、自治体のプレミアム商品券やキャッシュレス還元事業などでの活用を見込む。「自治体の施策では、主要なコード決済同様にお選びいただけるようにしていきたいです」(小澤氏)。また、地方の交通事業者はコード決済を導入するケースもあるが、そこでのteppayの利用も考えられるという。
手数料に関しては、他のコード決済事業者を意識しながら提供する。小澤氏は「Suicaと違い、クレジットリスク、リワードも付与されますので、その分は決済手数料の中からいただきます」と話す。
SNSやニュース記事などではteppayの名前に関して、ネガティブな意見も見受けられたが、決して人名ではなく、「Travel」(移動・旅)、「Easy」(簡単、誰にでも優しい)、「Partnaership」(人と人、地域をつなぐ)という大切にしたい3つの想いが込められているとした。
teppayは、2026 年夏頃より加盟店を募集開始予定だ。JR東日本では、Suicaアプリの進化を目指しており、今後は同アプリと連携した新たな活用も考えられる。小澤氏は「teppayが成功する自信はあります。Suicaをご利用されている方が、身近でシームレスに使用いただけるようにしていきます」と意気込みを見せた。
















