2026年7月17日8:00
和田 文明
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プロフィール キャッシュレス、電子マネー関連のジャーナリスト/ライター、主に欧米、アジアのセキュリティを含むキャッシュレス情報、カスタマーロイヤルティプログラム情報を取材 |
ステーブルコイン(Stablecoin)とCBDC(Central Bank Digital Currency)(第1部)の5回目は、欧米のステーブルコインの法規制、およびオランダのペイメント分野のリサーチ会社であるThe Paypersが2026年3月に公表した欧米のステーブルコインに関する最新のレポートである『Global Stablecoins Report 2026』(全72ページ)の注目ポイントを紹介してみたい。
ステーブルコイン(Stablecoin)とCBDC(Central Bank Digital Currency) 第1部
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Index(目次) (1)ステーブルコインとCBDCのキーワード (2)ステーブルコインとCBDCについて (3)デジタル通貨の分類について (4)世界の主なステーブルコイン、CBDC、トークン化預金 (5)欧米のステーブルコインの法規制について |
ステーブルコイン(Stablecoin)とCBDC(Central Bank Digital Currency) 第2部
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Index(目次) (1)PayPalのステーブルコイン“PYUSD” (2)PayPal のデジタル通貨決済ソリューション“Pay with Crypto” (3)PSPと暗号通貨決済 (4)デジタル通貨のハイブリットモデル (5)未来の財布 |
ステーブルコイン(Stablecoin)の規制枠組み:民間発行通貨の制度化と地域的特色
〇アメリカのGENIUS Act
アメリカにおいて、2025年7月に署名されたGENIUS Act(アメリカのステーブルコインのためのイノベーションの指導および確立に関する法律)は、デジタル資産の歴史における記念碑的な法令となっている。この法律により、ステーブルコイン(Stablecoin)は支払ステーブルコイン(Payment Stablecoin)として明確に定義され、証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)の管轄から除外されることが確定し、民間発行のデジタルマネーが、投資商品ではなく通貨の代替としての地位を法的に得たことを意味するものである。
GENIUS Actの核心は、発行体を銀行、信用組合(Credit Union)、またはOCC(Office of the Comptroller of the Currency:通貨監督庁)から特別ライセンスを受けた非銀行発行体に限定した点にある。2025年12月には、CircleやPaxosを含む5つの非銀行金融機関に対して、OCCが国法信託銀行(National Trust Bank)のチャーターを条件付きで認可した。これにより、これらの企業は中央銀行マネーを用いた直接的な清算と決済を行う権利を獲得し、決済の信頼性と流動性が飛躍的に向上させることができた。
GENIUS Actでは、準備資産の要件についても厳格な基準が設けられている。GENIUS Actは、1対1の裏付けを義務付けており、その対象資産は米ドル現金、93日以内のアメリカ財務省短期証券(T-bill)、リポ取引、またはそれらを保有する政府系MMF(Money Market Fund、マネー・マーケット・ファンド)に限定される。また、発行体による利息(報酬)支払いは明示的に禁止されている。これは、ステーブルコイン(Stablecoin)が銀行預金から資金を吸い上げることを防ぎ、金融システムの安定性を維持するための通貨の一体性(Singleness of Money)を確保する意図があるとされている。
〇カナダのテーブルコイン法(Stablecoin Act)
一方、カナダも2025年の予算案(Budget Implementation Act, 2025)を通じてステーブルコイン法(Stablecoin Act)を導入している。中央銀行であるカナダ銀行を規制主体とし、ステーブルコイン(Stablecoin)を純粋な支払手段として管理する方針を固めている。カナダの規制モデルが特徴的なのは、ステーブルコイン(Stablecoin)を将来のホールセール型CBDCと連携させる構想を持っている点である。これにより、民間のステーブルコイン(Stablecoin)の発行体が中央銀行の流動性にアクセスし、異なるプラットフォーム間でのシームレスな決済を保証する二層構造の確立を目指しているとされている。
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比較軸 |
北米(アメリカ・カナダ) |
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主要法規 |
GENIUS Act (2025年) / Canada Stablecoin Act (2025年) |
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法的定義 |
ペイメントステーブルコインとして独立し、証券・商品から除外 |
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発行主体の制限 |
銀行、信用組合、認可を受けた非銀行発行体(OCCチャーター) |
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準備資産の構成 |
現金、短期財務省証券(93日以内)、リポ取引 |
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利息/報酬の支払い |
原則禁止、Distributor(取引所)経由の提供は継続議論中 |
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政策的重点 |
ドルのデジタル覇権、民間主導のイノベーションを規制で裏打ち |
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北米、特にアメリカにおける“CBDC”(Central Bank Digital Currency、中央銀行デジタル通貨)の議論は、プライバシーと監視への懸念から極めて政治的な論争となっている。2025年にはAnti-CBDC Surveillance State Act(反CBDC監視国家法)が議会に提出され、連邦政府によるリテール型CBDCの発行を事実上禁じる動きが強まっていった。アメリカ政府は、「民間発行の規制済みステーブルコイン(Stablecoin)こそが、ドルのデジタル化を担うべきである」という方針に傾斜しているといわれ、公的なリテールCBDCの発行可能性は2026年時点では極めて低いといわれている。 一方で、中央銀行の役割を担うFRB(Federal Reserve Board、連邦準備制度)は「ホールセール型」のCBDCの研究は継続しており、銀行間決済の効率化やリスク管理の観点からはホールセール型CBDCの有用性を認めている。これに対し、カナダは前述の通りステーブルコイン法(Stablecoin Act)を通じて、民間ステーブルコインと中央銀行のホールセール型CBDCインフラを接続するハイブリッドモデルを模索しており、アメリカとは一線を画しているとされている。 |
〇ヨーロッパ(EU)のMiCA(Markets in Crypto-Assets)
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