2026年9月14日9:10(JST)
【日本】三井住友カード(日本・東京)は、2026年9月8日、福岡県福岡市で、公共交通機関向けソリューション「stera transit」の新サービス説明会を開催した。同社は福岡エリアにおいて、2022年より、福岡市交通局、JR九州、西鉄グループで「stera transit」を導入しており、国内外の利用者に「クレカ乗車」サービスを活用してもらっている。当日は、三井住友カード Transit本部長 兼 Transit事業企画部 部長 石塚 雅敏氏より、福岡県におけるこれまでの取り組みの成果や利用傾向等の実績を紹介した。また、JR九州と連携して開始したイベント時の駅周辺や道路の混雑緩和につなげる「イベント割引」、事前登録型サービス「Pass Case(パスケース) エントリー」を活用した公共交通機関と周辺サービスの連携について発表した。

「放生会」に合わせ乗車運賃が最大20%割引 福岡市地下鉄とLUUPの乗換醸成
三井住友カードでは、クレカ乗車の新サービスを福岡からスタートした。1つ目は、イベント割引だ。福岡では、さまざまなイベントが年間を通して開催されている。その際に、駅や券売機への集中、周辺道路の渋滞、公共交通の混雑といった課題も発生している。そのため、クレカ乗車の仕組みを活用し、混雑する時間帯や駅の利用周知を分散させる取り組みをスタートする。2つ目は、「Pass Caseエントリー」を活用した公共交通機関と周辺サービスの連携だ。例えば鉄道への接続性の向上や、乗り換えの利便性の向上に繋がるような取り組みを行うという。

イベント割引は、第1弾として、2026年9月12日~18日まで、福岡県で開催されている「放生会」に合わせ、JR九州において普通旅客運賃を最大20%割引する新たな施策を実施する。JR九州の放生会開催時、乗車人員が約1.7倍に増え、うち定期外は約2.4倍と利用者が集中する。
交通事業者や地域にとっては、イベント期間中の駅周辺・道路の混雑緩和、公共交通機関利用の促進、イベント時における柔軟な運賃施策の効果検証につながると期待している。
また、事前登録型サービス「Pass Case エントリー」を活用し、公共交通機関の利用を条件として、さまざまな事業者が提供する割引・クーポン等の特典を受けられる仕組みを提供する。同サービスにより、公共交通機関の利用を通じて、移動の目的地やその周辺で利用できるサービスをシームレスにつなげる新たな体験を提供する。今後は、商業施設のようなお出かけの目的地等との連携も視野に入れ、移動を起点としたサービス連携の拡大・相互送客により、地域回遊・消費機会等、地域における新たな価値創出を目指す。
「Pass Case エントリー」を活用した公共交通機関と周辺サービスの連携の第1弾として、Luupによる実証実験を2026年10月1日より福岡県で実施予定だ。
同実証実験は、公共交通機関を都市移動の基幹とし、Luupが提供するマイクロモビリティのシェアサービス「LUUP」をラストワンマイルの移動手段として組み合わせ、対象事業者での「クレカ乗車」を条件に「LUUP」のクーポンコードを提供することで、公共交通機関とシェアモビリティの相互利用促進を図る。
これにより通勤・通学や買い物、休日のお出かけ等における交通手段の選択肢を広げるとともに、公共交通機関の利用促進および市内の回遊性向上による効果を検証するそうだ。石塚氏は「このデータをベースに、全国の地域への展開を考えていきたいです」と意気込みを見せる。今後は、商業施設、レジャー・観光施設、シェアモビリティ、駐車場(パーク&ライド)など、公共機関とさまざまなサービスをつなぎ、地域課題を解決させていきたいとした。
全国共通の社会インフラへ成長 2年間で利用件数10倍超に
三井住友カードの「stera transit」はこれまで、JR九州、西日本鉄道、福岡市交通局を始め、さまざまな交通事業者と連携しながらサービスを広げてきた。交通業界を取り巻く環境は人口減少や人手不足などの経営インパクトの悪化に加え、インバウンド利用者の急拡大など、需要の変化も大きくなっている。そんな中、三井住友カードでは、クレカ乗車を決済サービスとしてだけではなく、公共交通の持続可能性を支える社会インフラとして、育てていきたいと考えている。
国内のキャッシュレス市場の変化として、2025年の国内キャッシュレス決済比率は58%、決済額は約163兆円となった。政府は将来的に80%の比率を目指して社会全体でのキャッシュレス化を進めていく方針だ。
その中でも特に、存在感を高めているのがクレジットカードとなる。キャッシュレス決済全体の約8割をクレジットカードが占めており、この5年間で取扱高は50兆円以上伸びている。
一方で、交通分野をはじめ、国内の少額決済を牽引してきた電子マネー決済額は、近年横ばいから減少傾向に転じ、キャッシュレス市場全体に占める割合も5年間で約4割減と縮小しているとした。また、国内で最もキャッシュレスが普及している地域の1つである東京都において、2025年度の実施したキャッシュレス利用実態調査では、電子マネーに加えて、コード決済も前年と比較し減少傾向となった。
クレジットカードのタッチ決済の利用率は2020年の1%台から2024年には40%まで伸びており、2026年には70%を超える見込みだという。三井住友カードではクレカ乗車を交通分野に広げていくことに加え、利用者の日々の決済行動そのものの変化に対応していきたいとした。石塚氏は「その変化が最も早く表れているエリアの1つがここ福岡であると考えています」と話す。
三井住友カードの「stera transit」は、Visaをはじめ、グローバル共通の決済手段となり、鉄道やバスに乗車できる仕組みとなる。現在、国内最大規模のクラウド型交通基盤となり、全国に普及を図っている。クレカ乗車の全国での普及状況として、全国45の都道府県、234の事業に広がってきた(9月8日時点)。
2025年度末時点では約2,200駅、7,000両のバスで利用できるようになっている。2024年以降は、関西圏や首都圏などの都市鉄道路線、熊本でも約900両へ一斉導入した。
利用件数は、2024年7月に約103万件だったが、2026年7月は約1,041万件と10倍超となった。2026年7月には、海外のイシュアカードの利用率が約10%となった。
世界130以上の国と地域からの訪日客が日本滞在中にクレカ乗車を活用し、電車やバスなどの公共交通を利用している。日本国内での利用エリア利用件数構成比は九州が32.5%で関東の24.5%を上回った。利用者のカード発行国第一位は韓国で、台湾、米国が続く。福岡は、空港アクセスと都市機能がコンパクトに集積されており、全国の中でもクレカ乗車が人々の生活の中に浸透しやすい街だという。
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