2012年2月17日8:00
国際ブランドプリペイドが普及の兆しを見せる
「インターネット」と「トラベル」分野を中心に推進
2011年は、クレジットカード会社のライフカードとクレディセゾンが新規にプリペイドカードの発行を開始し、2012年も旅行会社のジェイティービー(JTB)がVisaブランドの付いたプリペイドカードを発表したように、日本国内でも国際ブランドプリペイドが着実に広がりつつある。ビザ・ワールドワイドジャパン(Visa)では、「インターネット」と「トラベル」分野を中心に、国内のイシュア(カード発行会社)に対し、国際ブランドプリペイドの発行を積極的に勧めている。
ビザ・ワールドワイドジャパン
米国では国際ブランドプリペイドが1年で38.3%伸びる
JTBでは3月からトラベルプリペイドカード「MoneyT Global」の発行を開始
Visaでは、一般消費者向けの「汎用プリペイド」「ネット専用」「トラベル」「送金」「若年層向け」「ギフト(プラスチック/eギフト)」、企業/政府向けの「給与」「日当」「報奨金」「福利厚生」「政府支払」「保険支払い」など、さまざまなプリペイド商品を世界中で展開している。米国・The Nilson report(ニールセンレポート)によると、米国では、国際ブランドプリペイドの取扱額が、2009年の482億ドルから、2010年は696億ドルとなっており、38.3%の伸びを示している。
「海外では政府支払いの分野が非常に伸びており、米国では多くの州がガバメントのプログラムを展開しています」(ビザ・ワールドワイドジャパン プリペイド商品担当金子匡氏)
米国では現在、育児給付、失業保険、貧困家庭向け一時給付プログラムなど、39の州で71の州政府によるプリペイドプログラムが展開されている。また、ギフトカードの市場も成長しており、小売店の店頭ではさまざまなギフトカードを陳列して販売する「ギフトカードモール」が広がっている。
Visaでは、日本においても国際ブランドが付いたプリペイドカードは、将来的に大きな成長が見込めると期待している。なかでも同社が注力して展開するのが「インターネット」と「トラベル」の分野だ。
「現在の国内の決済市場を見た場合、特に伸びているのはEC市場です。トラベルも2011年から日本人の海外旅行の数は回復し始め、伸びる傾向を見せています。まずはこの2分野にフォーカスしていきたいと考えています」(金子氏)
国内においては、2011年から、ライフカードがネットショッピング専用のVisaプリペイド「Vプリカ(V-PreC@)」、クレディセゾンが海外渡航者向けにVisaトラベルプリペイドカード「NEO MONEY(ネオ・マネー)」の発行を行っている。
また、2012年3月からは、JTBが、Visaトラベルプリペイドカード「MoneyT Global(マネーティー グローバル)」の発行を開始する予定だ。個人利用に加え、法人利用のプランも用意しているのが特徴的だ。利用者は、個々人に割り当てられたカード専用口座に、日本国内のATM・窓口だけでなく、インターネットバンキングで入金が可能である。個人利用プランは、3月1日から、専用Webサイトで申し込みを受け付けるほか、JTBグループ800店舗以上での受付取次を行う。法人契約プランは、JTBグループの法人営業網に加え、日本国内約40万社との取引実績があるリコーリースと協業して営業を行う予定となっている。
プリペイドに興味を示すイシュアは増加
クレジットカードとは違うプレイヤーとのリレーションを
金子氏は、カード会社などに対し、積極的にVisaプリペイドの説明を行っており、イシュアの中にはプリペイドカードの発行に興味を示す企業も増えてきたという。
「これまで、国内で先行していたハウス型プリペイドの場合、店舗のプロモーションの一環として発行するケースが多かったですが、ブランド付きのプリペイドの場合はイシュアが単独で収益を上げる仕組みにする必要があります。また、他のビジネスとのクロスセルも考えなければなりません。ライフカードがVプリカの発行により、発行手数料収益を得ているように、発行企業には新しいビジネスモデルを構築していただきたいと思います」(金子氏)
また、現状、プリペイドカードの発行により、これまでのクレジットカード市場とは異なるプレイヤーとのリレーションを図り、新たなマーケットに参入できる点も金子氏はメリットとして挙げる。例えば、ライフカードでは、世界最大の旅行予約サイトであるエクスペディアと提携し、Vプリカをインセンティブ用のカードとして活用している。