2012年3月7日8:00
「NFC」のTypeAプロトコルを用いたサーバ管理型電子マネーシステム
顧客の決済データをリアルタイムに販促に活用
ビットワレット、KDDI、大日本印刷(DNP)は、3社共同で近距離無線通信技術「NFC」のTypeAプロトコルを用いたサーバ管理型電子マネーシステムのプロトタイプを開発した。電子マネーのバリューや購買データはサーバで管理するシンクライアント方式となる。
ユーザーの嗜好に合わせて最適化された
クーポンや広告、割引サービスなどを提供可能に
これまで日本国内では、FeliCa方式を利用した決済が中心であったが、今後は、国内製スマートフォンがFeliCaとISO/IEC14443 TypeA/Bの両方式を採用することが予想される。また、海外製のスマートフォンの場合、TypeA/B方式のみを搭載した機種がリリースされる可能性もある。
ビットワレットによると、今回のシステム開発の狙いは、ネットとリアルの決済・各種サービスをシームレスに連携し、新たな価値を創出することにある。すでにビットワレットは、6,900万枚のEdyカードを発行しており、29万箇所以上の加盟店で利用できる。また、親会社である楽天は、国内グループ年間流通総額約3兆3,000億円となり、約7,300万人の「楽天スーパーポイント」会員を有している。
今回のプロトタイプでは、今後世界各国で普及が見込まれるNFC機能搭載のスマートフォンへの実装が可能であることを確認できたという。同プロトタイプはTypeAを採用。海外製のNFC機能搭載スマートフォンにも対応できるモバイルペイメント環境を実現している。
また、サーバ管理型電子マネーのオンライン方式をリアル店舗で実現した。従来の電子マネーの決済端末は“リッチクライアント”と呼ばれる、オフラインで決済処理を行う仕組みが多く用いられている。今回のプロトタイプでは、決済端末にリーダライタ機能だけを残し、決済処理や暗号化などのセキュリティ主要機能はサーバ側に集約する“シンクライアント方式”を採用した。
これにより、決済時にリアルタイムでユーザーの購買履歴や嗜好、店舗情報などを分析し、ユーザーの嗜好に合わせて最適化されたクーポンや広告、割引サービスなどを提供可能だ。
加盟店は、店舗周辺のユーザー分布や購買傾向、売れ筋商品など、自らが必要なデータをデータベースから抽出し、分析が可能だ。ビットワレットでは、加盟店の販促活動をサポートするシステム環境を提供することも検討している。
決済サーバや端末はビットワレットが独自に開発
NFC対応UIMカードの提供はKDDI、UIMアプリの開発はDNPが実施
なお、国内でもシンクライアント方式の電子マネーサーバや決済端末が登場しているが、今回の次世代電子マネーサーバープロトタイプや決済端末については、ビットワレットが独自に開発している。
KDDIはAndroid搭載スマートフォンおよびNFC対応UIMカードの提供に加え、AndroidアプリケーションおよびUIMカードにかかわる技術支援を行った。DNPはTypeAカードの発行や提供、次世代電子マネー対応UIMアプリケーションの開発と提供を行うとともに、UIMアプリケーションの開発と提供、UIMアプリケーションへのパーソナライゼーションを担当した。
なお、今回使用したNFC機能搭載のスマートフォンの研究は、2011年6月にKDDIと楽天が業務提携を発表した電子マネーを核とする取り組みの一環となっている。両社では「Edy|au(エディエーユー)」のコンセプトのもと、今後も共同で新規事業の拡大を検討していく。また、DNPはNFC機能搭載端末を利用したサービス開発などを積極的に行う方針だ。