2012年4月25日14:53
大日本印刷(DNP)は、黒色のカード基材に、高いセキュリティ性能をもつリップマン型ホログラムを組み合わせたプレミアムICカードを開発し、九州カードが発行する「Visaプラチナカード」に採用されたと発表した。Visaプラチナカードは、デザインの独自性と高度なセキュリティ性能などが評価され、2011年8月度にアジア太平洋、中央ヨーロッパ、中東、アフリカ地域における「Visaベストカードデザイン賞」を受賞したという。
DNPが開発したリップマンホログラムは、フィルム上に塗布する特殊なポリマー層内に、屈折率の変化による干渉縞を形成させ、この干渉縞に光が入射すると、回折現象によるホログラム像が再生する技術である。上下左右に視線を動かした際の立体感や奥行き感に優れ、より本物の物体に近い表現が得られるという。
従来、クレジットカードのプラチナカードやプレミアムカードには、高級感やプレミアム感の演出のため黒色をベースとしたデザインが多く採用されている。しかし、従来使用している白色のカード基材では、カード側面やICチップ周辺に白色が見えてしまうため、今回DNPは、カード基材のすべてを黒色に変更した。その上で、立体表現に優れたリップマン型ホログラムを、カードを形成する複数の層の間に挟み込んで一体化している。
リップマン型ホログラムを組み合わせたプレミアムICカードは、より一層の高級感を演出するために、輝度が高く、よりリアルな3次元表現や、見る角度によって複数の立体画像の切り替えができるリップマン型ホログラムを中央に大きく配置している。
また、ホログラムの材料やカードの製造プロセスを見直すことで、ホログラムのサイズや配置の自由度を高めている。さらに、カードを形成する層の間にホログラムを挟み込む仕様にすることで、ホログラムの耐久性を向上させ、より高い偽造防止効果を実現した。
同カードは、接触ICだけでなく、電子マネーなどに使用される非接触ICの搭載も可能だ。
DNPは、今回開発した黒色のカード基材にリップマン型ホログラムを組み合わせたプレミアムICカードを、クレジットカード会社をはじめとした金融業界のほか、会員証を発行する多様な業種に向けて販売し、2013年度までに3億円の売上を目指す。