2012年5月25日11:47
秋田県大館市と同八峰町は、2012年6月1日~2013年3月末日までの平成24年度自治体事業として、住民のエコ活動参加促進による環境意識向上と地域活性化を目指し、CO2削減量が可視化できるスタンプ方式による地域ポイントスキームを、それぞれ「大館市エコ・アクション・ポイント事業」、「八峰町エコ・アクション・ポイント事業」として実施すると発表した。両自治体は、同事業の基礎となるポイントスキームとし、ジェーシービー(JCB)が運営する環境省推進事業「エコ・アクション・ポイント(EAP)」を自治体向けにアレンジした「エコ・アクション・ポイント自治体モデル(EAP 自治体モデル)」を活用するほか、同事業の各種業務を、一般社団法人あきた地球環境会議(CEEA)に委託し、共通事務局として運営するという。
大館市は、平成11年度から秋田県北部エコタウン計画に基づきリサイクル事業を開始している。古くからの鉱業関連基盤の活用と地域産業の連携による新しい資源循環型産業の創出などから環境と調和した地域社会の実現を目指すもので、代表的なものとして、家電リサイクル事業、土壌浄化事業、廃プラスチック利用新建材製造事業がある。さらに、豊富に存在するバイオマス資源を活用した新産業の創出と、農山村の活性化などを目指すため、2009年に大館市バイオマスタウン構想を策定し、特にバイオマスの利活用に積極的に取り組んでいる。これまで公共施設にペレットボイラーを4基、ペレットストーブを110台導入したほか、平成23年度から、市民、事業所向けにペレットストーブ設置費用に対する補助金の交付などを行っている。
一方、世界自然遺産である白神山地など自然に恵まれた八峰町は、平成19年度に「八峰町地域省エネルギービジョン」を策定し、地球温暖化の大きな要因とされるCO2を削減するため、省エネ対策をはじめ、町民向けにペレットストーブ設置費用に対する補助を実施するなどさまざまな取り組みを実施し「低炭素社会」の構築に取り組んでいる。
EAP自治体モデルは、JCBが4年間にわたるEAP運営において、各地自治体との対話で見えてきた課題を解決しながらエコアクションを普及させるために構築した地域版ポイントプログラムである。同プログラムの特長として、通常の全国版EAPの前提となるインターネットや携帯電話に馴染みの薄い人々にも利用しやすいように、スタンプ台紙を使用する方式を推奨していることや、「どのエコ活動に何回参加し、どの程度のCO2削減効果を生み出したのか」を、環境省が制定し毎年改訂している「ガイドライン」に基づき規定し、事業終了後に自治体としてトータルで積算、報告できることが挙げられる。
導入する自治体は、NGOやNPO、企業などが個別に実施する各種エコ活動を同モデルのポイント付与対象とすることで、より多くの住民にエコ活動への参加を促すことができる。さらに、全国で展開しているEAPの交換商品(環境寄付・一般商品・商品券など100品目超)に加え、導入自治体の域内で利用可能な地域商品券などを交換商品として用意し、市民のエコ活動を地域商店への送客に結びつけることで、エコロジー(環境配慮行動)とエコノミ―(地域経済活性化)の両立が可能となる。
両自治体から事務局を受託するCEEAは、地球環境保全や地球温暖化防止に資する活動を推進し、他の団体と協力・連携して事業を行うとともに、その活動をより効果的なものとするための情報収集・発信や技術的支援、環境教育および保全活動などを推進することにより、持続可能な循環型社会の構築・形成を図るプラットフォームとなることを目的として地域に根ざした活動を展開している。環境省などの各行政から多様な事業を受託しており、2011年11月には秋田市地球温暖化防止活動推進センターの指定を受けた。
今回、大館市と八峰町が導入するスキームとしては、まず住民が、自治体所定の場所(役場・指定店舗等,自治体広報紙等で案内)で「エコ・アクション・ポイント クラブ」スタンプ台紙を入手する。次に、自治体が指定した参加店(直売所など)での所定エコ商品の購入や、指定エコイベントへの参加(=エコアクション)ごとにポイントスタンプ(各エコアクションによりスタンプ柄や色が異なり、それぞれあらかじめ定めたCO2 削減量が判別可能)押印を受ける。住民は、スタンプ欄が満点になった(大館市:10ポイント×50個、八峰町:25ポイント×20個)スタンプ台紙を、両自治体があらかじめ指定した店舗に持参すると、その場で500円相当の商品と交換するか、全国版EAP500ポイント(Web 上のマイページにて登録すれば100商品以上と交換可能なEAPとなるアクションナンバーシート)に交換する(以降、通常の全国版EAPとして対応)。CEEAは、定期的に参加店と満点スタンプ台紙の交換金額を精算するとともに、回収したスタンプ台紙のスタンプ内容に基づき同事業でのCO2削減量を積算し、年度末に、両自治体は事務局のデータ積算に基づき、参加住民による本事業全体の成果(CO2削減量等)を自治体広報紙等で報告する流れとなる。
両自治体とJCB、CEEAは、秋田県内の自治体や企業に同事業モデルの参加を積極的に呼びかけることで継続的に発展させ、地域における環境行動の浸透・拡大を目指す。