関西最大級のO2O実証実験「SMART STACIA」を展開(阪急阪神ホールディングス)

2013年5月1日8:00

関西最大級のO2O実証実験「SMART STACIA」を展開
スマホとNFC等の技術を活用し、「楽しく」「便利な」サービスを提供へ

阪急阪神ホールディングスはモバイル会員向けO2Oサービス「SMART STACIA(スマート・スタシア)」を展開している。同サービスでは、西日本最大級のショッピングセンターである「阪急西宮ガーデンズ」利用者向けの「阪急西宮ガーデンズアプリ」、梅田の「阪急三番街」・「HEPファイブ(ヘップファイブ)」・「NU chayamachi(ヌー茶屋町)」を中心とした「ウメダ・スタイルクリップ」の2種類のスマートフォンアプリを無料で提供し、新たなショッピングスタイルの可能性をテストしている。

O2Oにより沿線のリアルなサービスをさらに便利に
「阪急西宮ガーデンズアプリ」「ウメダ・スタイルクリップ」を提供

SMART STACIAは、阪急阪神沿線のショッピングセンターを中心に「おトク」で「楽しい」情報を利用者のスマートフォンや携帯電話に配信するサービスである。

阪急西宮ガーデンズでは、「阪急西宮ガーデンズアプリ」の懸垂幕を吹き抜けのゾーンで大々的に告知

同サービス開始の経緯として、阪急阪神ホールディングス子会社の阪急阪神カードでは、阪急阪神グループのクレジットカード「STACIA」カードを発行しているが、クレジットカードの場合、すでに複数枚をお持ちの場合や、個人情報の記入が必要など、入会のハードルが高い。そのため、カードを保持していない人に対しても有益なサービスを提供できるツールとして、今後さらなる普及が期待されるスマートフォン等のモバイル端末に着目したという。

阪急阪神ホールディングスでは、宝塚歌劇団の公演や甲子園球場での野球観戦など、電車などを利用して実際にリアルな場に行って体験してもらうような業種が多い。昨今、オンラインサービスが浸透する中、O2O(Online to Offline)により、リアルなサービスをさらに便利にできると考えて、SMART STACIAの開始に至った。

また、阪急阪神ホールディングスと協力してサービスを展開するNTT(日本電信電話)とは、以前からコンテンツ配信などの協力をしている。SMART STACIA は、NTTドコモやNTT西日本、NTTコムなどを含めたNTTグループ、広告代理店の博報堂と協力してシステムを構築し、2012年10月からサービスをスタートさせたものだ。

今回は主に2つのサービスを提供。まず、阪急西宮ガーデンズで利用できる「阪急西宮ガーデンズアプリ」ではAndroidに対応しており、利用者が如何に買い物を楽しんでもらうかを意識してサービスを構築している。

阪急西宮ガーデンズではNFC活用の来館ポイントで成果
店舗にNFCタグを添付したスマートポスターも展開

阪急西宮ガーデンズは、大阪と神戸の中間に当たり、京阪神の富裕層を中心に利用されている。一般社団法人日本ショッピングセンター協会の日本ショッピングセンター大賞(金賞)を受賞しているように、不景気の中、売り上げを伸ばし続けている。その顧客に、買い物を楽しんでもらう目的で開発されたのが「西宮ガーデンズアプリ」である。

NFCスマートフォンを活用した来館ポイント

同アプリでは、FeliCa/NFC技術を活用した来館ポイントを提供している。来館ポイントについては、FeliCaのIDmを利用してサービスを展開。阪急阪神ホールディングス グループ経営企画室 事業政策部 課長 富永憲氏は、「従来、阪急西宮ガーデンズの一カ月の平均来店者数は約3回でしたが、来館ポイントをタッチしている人は5回近く来ていただいている結果となっており、リピーターの方にサービスを利用していただいている傾向が見受けられます」と成果を語る。また、期間限定キャンペーンとして、ポイントを10倍にする取り組みも行っているが、その際は圧倒的に利用が伸びるという。

NFCスマートフォンの“リーダライタモード”を活用した取り組みとしては、ドコモショップやロフトなど、約60店舗に添付したスマートポスターを読み取ると情報が取得できるサービスも展開。タッチ数は1,000を超えているそうだ。そのほか、NFCスマートポスターにスマートフォンをかざすと、車を駐車した位置をアプリに記録できる機能も提供しており、利用者は広い駐車場であっても迷う心配はない。

左からロフトの店舗入り口、ドコモショップのカウンターに設置されたNFCスマートポスター

NFC機能の訴求に向けては、お客様に携帯電話をかざしてもらう行動を認知してもらうため、統一したステッカーを作成。同ステッカーを各店舗に添付してもらうことでサービスの認知に努めた。

さらに、アプリのフロアマップ上に店舗情報やルートを表示。利用者は、お気に入りの店舗を登録しておければ、お店付近で最新の情報を自動で取得できるという。そのほか、登録会員限定で、阪急西宮ガーデンズ館内で利用できるWi-Fiインターネットサービスを無料で利用できる。

「お客様にとって、あったらよかったと思える機能を考えてシステムを構築しました。例えば、お客様自身が車を止めた駐車場の位置がわかったり、サービス対象レストランでは、順番待ちする際に自動で呼び出しがかかるサービスなど、利用者に受け入れられていると感じています」(富永氏)

プッシュ型のサービスとしては、バレンタインデーにある店舗でチョコレートを買うと、もう1個プレゼントする告知を約4,000人に行ったところ、12%が実際にクーポンを閲覧し、そのうちの3割がクーポンを使用したという。

お気に入りの情報を登録できる「ウメダ・スタイルクリップ」
店舗が提供したい情報も簡単に更新可能

一方、「ウメダ・スタイルクリップ」は、クーポンの提供など、梅田に訪れてもらうためのアプリとなり、iOSとAndroidに対応している。「阪急三番街」・「HEPファイブ(ヘップファイブ)」・「NU chayamachi(ヌー茶屋町)」の3つの施設で利用でき、それぞれターゲットとなる年代も異なるため、幅広い層に響くサービスを目指している。利用者には、各店舗から欲しい情報が届き、お気に入りの情報を登録可能だ。また、フィッティングルームで自分撮りすることにより、おススメフォトを友達に見てもらうことができるサービスを提供している。「ウメダ・スタイルクリップ」でも新しい機能を積極的に追加。特に店舗が提供したい情報を簡単に更新できる仕組みは喜ばれているという。

左から阪急阪神ホールディングス グループ経営企画室 事業政策部 課長 富永憲氏、NTT 新ビジネス推進室 サービス戦略担当 担当課長 冨永隆氏

「例えば、ヌー茶屋町でスイーツパーティがあり、それを『ウメダ・スタイルクリップ』登録者に通知したところ、約2割が閲覧し、30パーセント以上の方が参加しました」(富永氏)

スマート・スタシアの会員数は現状、5万5,000~6,000人。NTT 新ビジネス推進室 サービス戦略担当 担当課長 冨永隆氏は、「地域に密着したサービスとしては十分に価値のある数字」と成果を口にする。年代としては、30代、40代の利用が多いという感触がある。また、「STACIA」カードと双方の利用者の場合、アプリの登録時に「STACIA」カードを所有している、という申請を行うが、「STACIA」カード会員のほうがアクティブな傾向が見受けられるという。

今回は、阪急阪神ホールディングスの施設内での提供のため、プロモーションを展開しやすいメリットもあった。例えば、阪急西宮ガーデンズでは、アプリの懸垂幕を吹き抜けのゾーンで大々的に告知している。そのため、来店客の多くがアプリをダウンロードしているそうだ。

現在は会員を集め、情報を収集している状況のため、利用者の傾向分析など、ビックデータの活用はこれからとなる。今後は、「このお店に行った方は、このお店で購入する傾向があるなどを分析し、各エリアに訪れた段階で情報を配信することも展開したいと考えています。国内で、これだけ複数のサービスを展開するケースは初めてなので、グループ各社、サービスの展開はこれからですが、有効な結果が出てきています」(NTT 冨永氏)。NTTでは、関連会社のNTT西日本を含め、今回の実験でスマートフォンが購買の役に立つかを検証しており、ビックデータの分析を行うことで今後のビジネスにつなげていきたいとしている。

SMART STACIAはトライアル終了後も継続
顧客に支持されるサービスとしてさらなる進化を目指す

アプリを活用した実験は期間限定で行うが、SMART STACIA自体のサービスは今後も継続する方針だ。

阪急阪神ホールディングス 富永氏は、「サービス開始後も継続してサービスを追加しており、データも増えているため、お客様の参加や店舗の協力も得られていると感じています」と笑顔を見せる。その上で、「阪急阪神グループは、京阪神でお住まいの方が数多く利用されています。お客様にとってこの街に住んでよかったと思っていただけるようにしたい。そのツールの1つがSMART STACIA。これを使うと“楽しい”、“便利”というワクワク感を提供することができればと考えています。送客や誘客は結果論であって、お客様に支持していただき、楽しんで使ってもらえるサービスにしたいと思います。SMART STACIAの機能は欲しいときに欲しい情報を手にできるため、沿線の情報とお客様の行動を上手く連携させていきたいです」と意気込みを語った。

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