柏市がITSを活用した街づくり、CO2排出量をタブレット端末で可視化

2013年10月11日8:30

柏市や東京大学などで組織する柏ITSスマートシティ協議会は、2013年10月10日、移動・交通をITSで支援する「柏ITSスマートシティ」における取り組みを発表した。

柏市は、2009年6月に内閣府の社会還元加速プロジェクト「情報通信技術を用いた安全で効率的な道路交通システムの実現」にて「ITS実証実験モデル都市」に選定。また、2011年12月に「環境未来都市」構想のモデル都市として選定を受けた。

目に見えないCO2排出量をタブレット端末で可視化
目に見えないCO2排出量をタブレット端末で可視化

柏市では、2010年2月に公・民・学の52団体より柏ITS推進協議会を設立。柏ITSスマートシティの街づくりを進めているが、2014年春をめどに「ITS地域研究センター」(仮称)の構築を進めている。同センターでは、都市の移動・交通に関するビッグデータを路側のライブカメラやナンバープレート識別センサーなどを使って解析し、地域の交通課題の解決を目指すという。

また、複合現実感(Mixed Reality: MR)技術を用いた専用ゴーグルとタブレット端末(CO2見える化スコープ)により、自動車から排出されたCO2の排出状況を算出・可視化する社会実験を実施。

さらに、「KASHIWA SMART」のWebサイトでは、現在や過去のCO2発生量を「CO2スコープ」「道路別CO2スコープ」「CO2排出グラフ」等で配信。また、独自開発したスマートフォンアプリ「KASHIWA SMART」では、「道路地図上にCO2排出量が最も少ない経路」「最短時間での経路」「最短距離での経路」の3種類の経路を記録。スマートフォン(Android)のGPS機能を利用し、自身の交通行動を記録し、自身のCO2排出量とCO2排出量の最も少ない経路を比較することができる。また、非接触ICカードを利用した地域共通カード「柏の葉キャンパスカード」の「柏の葉キャンパスプログラム」と連携し、スマートフォンアプリ「kashiwa SMART」の実験参加者にはアプリの使用回数に応じてポイントが付与される取り組みを展開。貯まったポイントは、地域の交通サービスやイベントなどで利用可能だ。

次世代公共交通システムの開発としては、予約制の乗り合いバス「オンデマンド交通」。1つのIDとICカードで共通のインターフェースからサービスを利用可能な「マルチモビリティシェアリング」、ジェットコースターの技術を応用して街を移動できるシステム「エコライド」を検討している。

「KASHIWA SMART」でのCO2スコープ
「KASHIWA SMART」でのCO2スコープ

次世代のモビリティシステムとしては、キャパシタ蓄電とワイヤレス給電システムを用いた「未来型EV」を研究開発している。また、電磁誘導技術と小型電動カートを用いた「自動走行型コミュニティカート」の予備実験を実施。さらに、自転車モードと並行二輪車モードを状況に応じて使い分けるハイブリッド方式の「パーソナル・モビリティ・ビークル(Stavic)」の研究開発も行っている。

柏ITS推進協議会では、2013年10月14日~18日まで開催される「第20回ITS世界会議東京2013」において、これまでの研究成果を紹介する。同会議には、60カ国から8,000人が参加予定だ。

柏ITS推進協議会会長/東京大学大学院情報学術教授 池内克史氏によると、柏ITSスマートシティでは、ITS地域研究センターの設立により、CO2の作成を実現する「カーボンフリー」、便利で快適な移動を実現する「ストレスフリー」、自身に適した交通手段を実現できる「モードフリー」の街を作り上げることで、地域活性化につなげていきたいとしている。柏市長 秋山浩保氏は、柏市での未来型交通システムの実装・展開が将来的に、「日本やアジアで使われ、社会の役に立つような取り組みにしていきたい」と意気込みを語った。

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