2015年7月29日12:43
金融リテラシー教育推進委員会は、2015年7月28日、教育関係者や金融関係者、メディアを対象に「金融リテラシー教育フォーラム 2015 ミレ二アル世代の実相と金融教育の必要性」を新丸ビルコンファレンススクエアで開催した。同フォーラムには、ビザ・ワールドワイドジャパン(Visa)が協賛し、日本証券業協会と日本消費者教育学会が後援している。
金融リテラシー教育推進委員会は、2013年にVisaが国内の大学における金融教育の普及を目的として、有識者6名をメンバーに立ち上げた。2013年4月には、国立大学法人横浜国立大学全学教養教育科目して開講し、2015 年で3年目を迎えた。 同フォーラムでは、国立大学法人横浜国立大学 教育人間科学部教授で、「金融リテラシー入門」の授業を同大学で行った、金融リテラシー教育推進委員会の西村 隆男座長が登壇。実際の講義で大学生に伝えたかったことを紹介した。
同講義では、人生のさまざまなシーンを想定し、「情報の非対称性」「機会費用」「時間価値」「リスクマネジメント」「キャッシュフロー」「PBS」の基本概念から授業を実施。全15章からなるテキストでは、ケースやワークを多用し、各講義で使用する参考資料を収録したそうだ。また、実際の授業では、グループディスカッションなど、参加型の授業を中核にして、生徒が参加しやすい状況を意識している。
また、講義後に学生にアンケートを取ったところ、大学教養教育で金融教育を提供することに「大変教育的価値がある」と回答した生徒は82.4%となった(受講前は81.8%)。また、同講座が必修科目として提供する考え方に関する設問では、「大変必要である」が40%、「どちらかといえば必要である」が44%、「あまり必要ない」が13%となったそうだ。
同日には、社会学者の古市 憲寿氏が「現代の若者の価値観とホンネ」、日本体育大学 教授 猪瀬 武則氏が「若者における金融リテラシーの必要性」についてそれぞれ講演した。
なお、Visaが2012 年 3 月に日米の大学生に対し実施した調査(「金融教育に関する日米大学生アンケート」)では、小・中・高等学校のいずれかで金融教育を受けた経験があると回答した大学生は、日本の大学生が 39.7%(124名)に対し、米国の大学生は 72.2%(249 名)であり、約 2 倍の差があるという結果となったそうだ。特に大学においては、大学生が消費者として金融トラブルに巻き込まれるリスクが高いという事実がある一方で、知識と実践力を習得するための体系化された金融教育の教材が国内にあまり存在せず、学生が自主的に金融知 識を学ぶ機会も少ない状況だったという。
金融リテラシー教育推進委員会では、大学における金融教育の普及に向けて同プログラムの開発に着手し講座を新設することになったという。